二年前、仕事でフィンランドへ行った時、自分用の土産にKUKSAを買った。北欧バックパッカー御用達のカップと聞いていたからだ。
ヘルシンキ、駅前広場横の坂上にある二軒のデパートのどちらだっただろうか、土産物売り場の一角にKUKSAはさほど有難味も見せずに、他の特産品と共にありきたりの土産物として売られていた。その他特産品としては蜜鑞の石鹸やムーミン柄のネクタイなど。 KUKSAはバハカと呼ばれる白樺の瘤を使って作られるため木目も複雑で詰んでおり一部で光沢さえ放っている。バハカは寒風とオーロラが作り出すという。確かにそんな光沢だ。冷たい要素で作られたらしいが、出来たカップは木製で断熱性は高いので、熱い飲み物に使うのに適している。かちゃかちゃと神経質な音を立てない。暖かくて丸い。 さて、飲むにあたって洗礼の儀式が要るらしい。ありがたいことに日本語を含む各国語で書かれていて読んでしまった。儀式か...少し気味が悪いが読んだからには実行せねばなるまい。そう、それが出来ずに今まで仕舞っておいたのだ。 フィンランドのヘルシンキはやはりヨーロッパの都市であり、石で作られた街だった。訪れた教会、レストラン、パブ、全てが石とその凹凸に巣くうシミのような闇とで構成されてる。炎が影を生み、その影を幾重も塗り込んだ、ある種おどろおどろしい地下の部屋でその儀式は執り行われなければ、という気持ちが最近まで私のKUKSAの儀を滞らせてきたのだった。 今日、何かの拍子にラジオでヘルシンキの名前を聞いた。気温は2度らしい。 もう長い夜の季節に入っているのだろう。オーロラは見えるだろうか。ヘルシンキで歓待してくれたスオミな人たちは元気だろうか。地下牢パブの隅に膠着した闇はどうしてる。 懐かしいな。 そうだ今日はKUKSAの魂を呼び起こしてやろう。 洗礼の式: 貴方のククサにラム酒、又はブランデーを注ぎ北極星に思いをめぐらし貴重な液体をすすりながら自然の語りかけをククサを通じて聴きなさい。この儀式で塩味を感じたら儀式は成功です。 とある。塩味を感じなかったら? 少したじろぐが、やってみよう。残念ながらラム酒もブランデーもない。夏の北岳の残りのモルト酒があるだけだ。まぁ良いだろう。やってみる。 いつか、北欧、クングスレーデンを歩きたい。 先ずはククサで酒でも飲んで荒野に思いを巡らせてみるか。 ん、気のせいかな?塩味だ。 私のKUKSAになったのだね。 時々、野山へ連れて行ってやろう。そして私を連れて行っておくれ... 参加中... 秋 風 あ る い て も あ る い て も ...山頭火 オーロラの下に立ってみたいよ、ね ;-) Click! やられた..木地を舐めたら塩味だった....
by ulgoods
| 2007-11-04 00:43
| 生活系
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doting on ultralight gears more than mountains...
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