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駒草の道・硫黄岳

駒草の道・硫黄岳


■前置き
海の日の三連休の初日は、娘らの小学校の校内キャンプということで、おやじ会の幽霊部員な私も朝から設営準備で大汗を流し、午後からは夕飯のカレーを大釜に7つ作るための薪を燃やす係で更に2Lほど汗をかいた。ま、薪の番がしたくて行ったようなものだが..おかげで体の成分がポカリスエットに置き換わってしまった。地域の子供たちに楽しさを演出してあげる、それはそれで楽しいし幸福なのだけれど、朝にはSGT.M氏から常念へ発った旨メールが入っていたり、帰国早々のBB氏も北アに向かうことは聞いていたし、金曜からはrwalker氏も南アに入っていたものだから、、既に彼らは1(2)日目の幸せなキャンプに入っていることだろうと思うと..私だって行きたかったんだがねと、少し涙ぐんだのは薪の煙が目に沁みたばかりでもない。その日は疲れ果てて帰って即寝た。

ん!行けないこともないな、と思ったのは翌日、遅めに起きて気力が戻ったからか。更に、実はその週の水曜に届いた車の慣熟運転をしなければならない。15年乗ったバイエルン発動機製の箱形車が後半5年はミッションの滑りを誤魔化しながら乗っていたのだが、ついに3速に上がらなくなり、いくらふかしても30km/h以上出なくなってしまった。これじゃ環境に悪い..というか、マヂ壊れた。直しは大外科手術になる。毎年クーラーのガスを入れるのにも閉口していたし、シートも破れ、ラジオのつまみもトレて、1月には勝手に窓ガラスも割れたし..庭の桑の木の朝露にやられて塗装もボロボロだったのだ。もう走りたくないと言うことか、と思い修理を断念して後釜を手配していた。15年、充分頑張ってくれた。
かねがねSGT.Mからは車で行くときはベースウエイトに車重をカウントするように言われていたし、別な車を事故でヤッテからは公共交通機関を利用しており、ガソリン高の昨今は独りで車で行くのはアホらしいのだが、仕方ない。慣熟しないと。重量で+1.5tか..仕方ないな、他の物で軽量化するとして、今回は勘弁してもらおう。と構想がまとまってきたのが日曜の昼頃。夏物の荷物のパッキングが済んだのが2時過ぎ。一端出て、帽子を忘れて戻り30分ロス。全然行ける気がしない、お山はなお遠い。
とりあえずの八ヶ岳構想は、桜平駐車場まで走り、オーレン小屋をパスして赤岩の頭に出てビバークし、翌朝は硫黄に登ってから赤岳まで往復。メインはビバーク部分で新しいBivyを試すこと。赤岩の頭は数年前の冬に赤岳鉱泉から登ってオーレン小屋に降りたことがあるから道は分かる。暗くなったらヘッドライトで歩くことにする。
実際は、慣れない右ハンドル車を操って桜平P到着が17:40くらい。歩き始めが18:00。日没まで1時間ほどか。小一時間歩いて着いたオーレン小屋でオヤジさんに誰何され、
今からどこへ?
ちょっと上まで。
硫黄の小屋か?
もちょっと手前で寝ます。テントあります。
ん?地元の人?
いえ、東京だけど、以前、冬に来たことあります。
ん...そか?気をつけての!
お水飲ませてください。帰りに寄ります..
というやりとりで通過は咎められなかった。
幕営地はほぼテントで埋まっており、皆さん夕食も済んで団らんの時を迎えていた。あそこの天場は幸せだろう。水も旨いし、風呂もあるし、トイレは水洗が使えるし、売店には酒が売るほど積まれている。今度ゆっくりしたいのだが、私はもう少し涼しいところへ行きたくて独り歩を進めた。
樹林帯の登山道は良く整備されていたので19:30くらいまでは明かりなしで木の根っこが識別できたが、それ以降はPetzlのTikkaXPを天地逆にして首から提げて歩いた。頭では汗止めを兼用しているORの帽子が邪魔。常日頃、清く正しいハイカーとして日没後は行動しないことをモットーとしてきたが、カモシカ山行という言葉もあるから、何事も経験だからチョトやってみた。TikkaXPの最弱モードでも歩ける程度に明るい。足元ばかりを見て歩いていたが、ふと目を上げると既に周囲は真っ暗闇だったが、もうこんな歳だから別に怖くもない。何かに会ったら、それは狐狸妖怪の類のはずだから無視することに決めていた。知った人なら話も楽しかろう。
ちょうど20時くらいか、ぽっかりと空が開けて赤岩の頭に着いた。ここは砂地に墓場の卒塔婆のように標識が林立する、ちょっと気味悪い場所だ。風があり、ねっとりした霧を運んでくる。カラっと乾いて星空、というわけにはいかなかったのは残念だが、ここはこんな日の方が多いんだろうから、そこにへばり付いている植物に負けずに適応しなければならない。硫黄に登ってしまうことも考えたが、持ってきた装備の失敗に備え、直ぐに樹林帯に逃げ込めるようにと、ここで寝ることにして、吹き上がってきた風が直接に当たらない場所の砂地の上で荷を解いた。
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■装備
今回は寝具系と睡眠形態のテストが主で、目玉はRabのeVent Bivy sackだ。同じeVentでもIntegral DesignesのeVent Crysallis 731gに比べて260gも軽い!が、その代わりno-see-em meshと換気塔が付いておらず使用場面が限定されるが、タープも持って虫もいなければOKだ。
眠る系の構成は、
外皮:Rab eVent Super Light Bivi 472g (w/stuff sack)
寝袋:Backpacking Light UL 60 Quilt 300g
マット:Montbell ULコンフォートシステムエアパッド120 365g
寝間着の餡:Patagonia R2 fleece 402g
寝間着上:全農かっぱ天国 LL 194g
寝間着下:Montbell Rain chaps 131g
快適用具:ULコンフォートシステムピロー 70g(w/o stuff sack)
敷物:Tyvekシート 116g
屋根:MLD Monk Spectralite.60 Tarp 98g(w/guy line set)
その他、
ザック:Golite Dawnで余裕

■テスト
8時時点で気温は13度。屋根は面倒なので張らなかった。Bivyむき出しのゴロ寝である。雨が降らないことは勝算があった。雷だけが怖かったが、Strike Alertに寝ずの番をさせる。
風は弱いがガスが地面を這って流れてくる。地面にへばりついて寝ているので、風の影響は少ない。ちょうど緩い傾斜が水平に変わった場所で寝たので、足下をガスがかすめていくだけだ。寝るときに汗だくのTシャツはファイントラックのシャツに着替えたので暖かいが、やはり下は面倒でパンツは汗で濡れたまま寝た。腰のあたりに汗が溜まっていて不快だが、今までの経験では朝までには乾く感じ。体温で汗が蒸発し、R2 fleeceを通り、かっぱ天国を通り、Bivyを抜けてeVent Bivyの外側まで抜ければ私の勝ちで、中で結露すれば負け。
体温を生成するための夕飯は大事だ。とは思っていたが、八ヶ岳パーキングで食べた味噌ラーメン何やらセットが腹に残っており、空腹でないのでカロリーメートを1袋を食べて水をゴクゴク飲んで済ませた。
標高2650m、風は夜通し吹いていおり、最低気温で8.1度、けっこう冷えたなという感じ。顔に風を感じて時々目を覚ました。ライトをハイビームで照射してみたが、白濁した光跡以外は見える物は無かった。結局、少しBivyの内側に潜って息が籠もらないような格好を編み出して、携帯のアラームをセットした4時まで寝ていたようだ。
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着いてから記録を開始した。明け方に急に冷える感じだ。湿度は95%くらいで安定している。ポーチに入れていたが、朝の5時以降は日に当たったり陰になったりなので当てにならない。車に乗った時刻か、クーラーで除湿されて急激に湿度の低下が記録されている。空気密度はおもしろい。やはり明け方に気温が下がって密度が濃くなる。日が出て暖まったのと高所へ登ったので密度が下がっている。下界に降りてくるにつれて急激に増加している様子が見られる。この測定器、何を計って何を計算で出しているんだろう?ちょと調べないと。

4時、いつしか大気は透明に戻って薄すら明るく、高い空にぽかんと月が浮かんでた。満月だったのか、初めて知った。
テスト結果は..申し分ない。すっかり乾いて朝を迎えた。Bivyの外側は朝露で濡れているが、内部はどこも濡れていなかった。
今回は化繊の薄手のQuiltを使った。断熱材はPolarguard Delta (68g/sq. m)で厚さは1cmも無いが、少し着て寝て快適に8度を過ごせる事が分かった。ただし、Bivy無しで吹かれていたらすきま風も背中に入るから無理だったと思う。Bivyの中は暖かかった。
RabのSuperLight Bivyは良く機能した。湿気を出し、外の濡れから保護してくれた。暖かい時期なら、このBivyと簡単な屋根が良いだろう。Bivy+屋根と同じ重さのテントよりは防湿の意味で優れているし、地べたにベッタリ寝るのは耐風的にも理想的だ。問題は雨、雨での過ごしを何とかしないと。全部パッキングして、雨具を羽織って寝ておけばいいかな。打たれ続けるとそれなりに冷えるか...
ま、おおむね良好だった。
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■山歩き
4時に目覚めて、空が染まるのを待っていたら下から話し声が聞こえてカップルが登ってきた。朝日を硫黄の山頂で迎えるのだろう。私も驚いたが、向こうも稜線に登って一息ついたタイミングでおはようと言われたのでビックリしたと思う(笑
目的は果たしたので、このまま帰っても満足なのだが、せっかくだから歩くことにした。5時くらいに撤収して硫黄に登り、爆裂口をウロウロした。
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そこでカロリーメートで朝食とし、7時くらいから歩き出した。最初は赤岳まで登って往復しようと思ったが、その日はなぜか馬力が出ない。足の筋肉も疲労がとれないし、息も切れたしで、休み休みゆっくり歩いた。どちらかというと人に追い越されながら、息も絶え絶えで赤岳下の小屋にたどり着いたが、どーにもあの斜面を登る気がしない。そーだ、まともな飯を食っていないのだが敗因か?と思い、Esbitで湯を沸かしてアルファ米を100gほど食べたが、直ぐには元気にならず、小一時間休憩して登頂を諦めて戻りの半分の行程をこなしにかかった。登山ではなく、ハイキングだから、赤岳に登ったら登山になって負けだと思った。縦走は行きっぱなしで楽しいのだが、車で来てしまって、来た道を戻らなきゃというのはあまり楽しくない。相変わらず横岳辺りの通過はしんどい。と思ったとき、ポッケにアメ玉があるのに気がついて口に入れた。後で納得だが、アメ玉後は少し元気が出た気がする。駒草の道を歩き、硫黄岳小屋ではコーラ500ccが400Yen也を飲んでからは通常戦力に戻った気がした。朝に塩タブを飲んだのだが、直ぐに使える糖分も摂らなきゃ駄目なんだな、たぶん。次回からは食事も気をつけてみよう。
水は背負った3L(うちポカリ1L)で間に合った。ま、コーラも飲んだし、オーレン小屋で水も飲んだので残りを差しい引いて3.5Lくらい消費した勘定。

■余談
・Strike Alertだが、あまり当てにならない。しょっちゅう最高レベルの警報を発する。耳で雷鳴が聞こえる距離の警報なのだが周囲に雷雲はなく..オオカミ少年的な警報にいちいち避難態勢に入っていられない。そのうち当てにしなくなった。
・硫黄岳小屋上斜面の駒草だが、あれは夏沢鉱泉のご主人が保護しているらしい。鉱泉でカレーを食っているとき話を聞いた。上で聞いた話で、等間隔で駒草が咲いているので植えているみたいと言う話をご主人に言ったら、あれは水分を取り合うので自然と等間隔以外は育たないんだということだった。なるほど、植えたのではなくて残った訳だ。種の袋ができて、岩ツバメ(ヒバリ?)が突いて散らしてほとんどは食われるが、数個が岩の隙間に落ちて、運が良ければ育つらしい。株分けもできるとか。お陰様で駒草の道を歩くことができた。朝の早い時間では露に濡れて美しかった。
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ピンクの点々が全て駒草の株だ。凄い数。
・靴、MontrailのHardrockで全然問題なし。街で1,2度履いただけの新品に近い靴であったが、靴擦れもなく快適。ただし岩場を8時間も歩くと足の裏が痛くなる。
・帰りはやはり激しい渋滞に巻き込まれた。早めに出たつもりだったが..みんな考えることは同じということか。
・全農のかっぱ天国
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まだ雨には降られていないが、このカッパ天国マスターは生地も強いらしい。たまにしか使わないのであれば、低山日帰りのお守りにならGore-Texである必要も無かろうかと思い、その点の検証をしたい。サイズは、ザックを背負うと腕が詰まるらしいのでLLにしたが、ズボンはしゃがんでも破けないように太めに作ってあり、土管状態なので歩きにくそうで、代わりにレインチャプスを持った。


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by ulgoods | 2008-07-25 02:47 | 山行 | Comments(22)

硫黄岳

昼過ぎに思い立ち、車を走らせ桜平Pを18時出、オーレン小屋を通過して20時に稜線に出てRab eVent Bivyと繭60Quiltで寝てる。ガスの中いま13℃、涼しくて幸せ。明日、赤岳まで往復予定。
もう真っ暗なので写真なし。
朝を待つ。
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by ulgoods | 2008-07-20 21:15 | Comments(10)

4年生

気がついたら、最初の記事から4年目を迎えた。日記も日ペンも三日坊主だったのだが丸三年って自分でも驚く。完全に何かのツボにハマった状態だったと思う。書きたい気持ちが継続し、書く楽しさを覚え、コメントでつながる感触がうれしくて。

その時は何かが不足していたのだろう、最初のBLOGを書き始めるときの書かずには居られなかった衝動を覚えている。10代で不発に終わったバックパッキングを40を過ぎてから再開しようと思っていた所で出くわした超軽量バックパッキング、その世界を形ち作る鋭さを増した思想や技法に触れて自分の魂が沸騰し、やがて脳を侵し発酵して残渣が溢れ出して支離滅裂な文章を製造するようになった。今見ると脱ぎ捨てたパンツを眺めているようでもあるが、自分の体からはぎ取ったばかりの温もりと少し形が残っているそれは目を背けたい反面で何故かいとおしい。

古来からBLOGの上にも3年とはよく言ったもの。この緩い双方向性の媒体を通じて新たな人間関係群を形作ることができたのは大きな収穫で私の宝だ。仮想といわれるNet空間を通して出会った人々と織りなす現実な交わりは出会いの時点で濃ゆいからお互いの人生にまで関わるほど濃密だ。皆、深い。

最近では国内でのUL道具のインプレや使用例や実物を見られるようになって幸せなこと。もう買わなきゃいけないモノもあまり無くなった。最初は私が試さなきゃ感的な買い物が多かったと思うが、お陰様で買いたい気持ちも治ってきたらい。Blogのページビューやランキングもあまり気にならなくなってきたのは、たぶん良いことだろう。

ウルトラライトバックパッキングというのは見た目には格好良くない。雑誌を賑わすファッション性とも無縁。装備もペラペラ薄くて貧弱だし宿泊の姿などは哀れを放散する。でもそんな見た目はどうでも良かった。身一つでは存在が難しい場所に、ある程度の人としての生活様式を保つための最低限な道具だけを持ち込んで、自然から採らず残さず、半ば身を曝してそこに存在し、暗闇に沈んで静かに一夜を過ごすこと、それが私にとって心地よかった。守るものが薄くて軽いから五感が研ぎ澄まされる感覚は私には麻薬だったのだろう。そのために野外で自分を生かしておける最低限の道具戦略を立ててみるパズルに没頭した。山へ行くのはある意味で度胸試しの要素もあったかもしれない。フィールドは山でも庭でも、電車に乗っているときの脳内でも良く、ことさら高い山である必要はない。低い山なら道具を削ればそれで刺激的だ。登山界とは言わない、ハイキング界の詫び寂びか、削り取って本質を求める俳句のようなもの。

最近はこの国の風土に合った山での過ごしを行いたいと思っている。近代に導入されたアルピニズムのお下がりではなく、もしかそれ以前に存在したことの焼き直しになるかもしれないが、今は何かを新たに組み立てたいの感じが強まっていることを意識できる。意識できたことに気づけば出口も見えるだろう。

どうやら易分解性物による一次発酵は済んだようだ。これからは二次発酵のお楽しみかと思っている。
もう少し歩こうか。

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by ulgoods | 2008-07-11 09:03 | 駄文系 | Comments(40)