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マウントフライ 冬用シュラフ / Mt. fly Winter Sleeping Bag

日本のマウントフライという羽毛シュラフやジャケットのメーカーがある。その広告は雑誌「岳人」とその系統ムック本でしか見たことがない。
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2004年盛夏、暑さに辟易した私は雪中キャンプに憧れてダウンの冬シュラフを探していた。
で、雑誌の地味な広告から目に留まったのがこれ。Hand Pick Down ダウン98%スモールフェザー2%という数値に悩殺されて購入前に調べてみた。通常、高級なダウンでもダウン95%だが、こいつはダウンボールを手で選別した98%だという。ぶったまげなのである。
広告の中から目星を付けたのはHPD-900というダウン封入量900gのモデルだ。Hand Pick Down 900gね。名前は判りやすい。が、困ったことにこのダウン、ダウンの性能の指標になるfill powerが表示されていないし、シュラフとしての適用温度も書いていない。どんなもんか判らない..Webで検索してもほとんど引っかからない。情報がない。
困った。
ので、会社に電話をしてみた。電話に出たのはおそらく社長さん。電話口の後ろでTVの声が聞こえていることから考えて、居間兼オフィスな小さなメーカーなのだろう。
ずばり尋ねてみた。
Q:このダウンは何fill powerなのですか?。
A:うーん、わかんないなー
Q:え””、じゃ800くらい?
A:そのくらいはあるかも知れないなー
Q:...(何fillとか公開するためには面倒くさい試験をして、もしかして認定とか手続きや経費が要るのかなぁと考え込んでしまった。ワインでも日本酒でも格付けしていない隠れた逸品というのはあるし)
A:遠征隊とかにもよく使ってもらってるよ!
Q:ほぉー(隠れ逸品系かも!)
Q:羽毛量900gでネックウオーマーが欲しいのですが
A:要らないと思うけどなぁー。充分暖かいよ。(自信ありげ)
Q:付けられない?(肩から暖気が..)
A:いや、何でも出来るよ!
A:羽毛は100gいくらいくらで、売る時に詰めるから言ってよ。予め外皮は縫い上げているけど、羽毛はどの部位を多く詰めるとかも注文聞くよ。足元に多くとか、そういう注文も多いし。

とこんなやりとりだったと思う。
もう少し話してみると、この会社は本職は羽毛問屋さんで余技で(本人談)シュラフを作っているらしい。問屋だから羽毛は売らせるほど沢山あると。洗浄までしている羽毛で、そこからハンドピックしているということだった。ウヒャー、問屋さんが卸すほどある羽毛の山からハンドピックしてるんじゃ、そりゃ良い羽毛に違いない。
ここまで話したら、思考が停止したので、面倒くさいことは言わずに即お買い上げのお願いをしたのだった。
お願いしたスペックは、ダウン量900gでネックウオーマー付き。となると、羽毛量1000g用のシェルを使って、本体のダウンをHPD-900より減らしてネックに回す..ということ。HPD-1000はHPD-900にネックウオーマーを付けたモデルだ。当時は海外の寝袋を研究して1000gじゃ多いよなぁと100gの差を真剣に拘っていたのだ。いま考えると素直にHPD-1000にしておけば良かった。
ダウンの品質は判らないが、値段から考えてポーランドとかロシアとかそういうのでは無さそう。

電話でお願いして代金着払いで数日で届いた。注文を受けてからダウンを入れてくれたのね..何かうれしい。
第一印象、うわっ、でかい、厚い、こりゃ羽毛布団だ。スモールフェザーが極限に少ないせいか?バサバサ感は無く、しっとりした感じ。
手持ちのモンベルの#7と並べてみると、HPD-900はブリっと太ったマグロで、#7はカラカラに干した目刺し..そんな印象。
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上下面合わせたロフト量はナルゲンボトルの高さを超える。
長さ2m、肩部分の幅は70cm。下面は四角に小分けしたブロック構造で羽毛が偏らない。縫製自体はシングル構造だ。上面はもちろん内部にマチが取ってあるボックス構造となっている。
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このシュラフ、昔ながらで頭の形状が縫製が楽そうな平面半円を紐で絞り込むタイプ、最近の洋モノ達は立体裁断とかしてかっこいいのに比べると少し悲しい。頭部分にも結構大量のダウンが入っている。この分を本体に回せばいいのにとちょいと残念だが、頭が寒くないのは嬉しかろう。絞り込むと鼻と口が出るくらいまでは絞れる。けど、半円を絞り込むのでずいぶんとコードを手繰って引っ張らないと絞れてくれない。
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ネックウオーマーも絞り込める。きっちり絞ると肩部分からの暖気の漏れは少なそうだ。
フルサイズのジッパー付きで、ジッパーからの冷気の侵入を防ぐチューブが付いている。ま、ちょいと噛みやすいのが難点だが、深刻な問題ではない。
色は、外面が鮮やかなターコイスブルーで、中面は何とも言えないビミョーな紫。ま、ナイティーな用具なので、それもよかろう。その他、飾りも模様も何もない。質実剛健なのだと思いたい(いろいろ縫うのめんどくさそうだし)。メーカー名を示すのは内に縫い付けられた小さな洗濯タグにこれまた小さく「マウントフライ」と書いてあるだけ。
肩のベルクロは小さくて、すぐに外れるのがちょいと不満。
スタッフザックは締め上げる紐が2カ所縫い付いていた。要所要所補強されている。こんなに大きな羽毛布団がきゅっとΦ22cm長さ34cmに絞り込め、60L超のザックなら横向きで楽に入る。

さて、性能だが..判らない。
夏である。クーラーをガンガンにしてもシュラフに潜り込むとすぐに汗だくになった。2分と居られない。
困った...
で、当時いろいろ調べてみた。
国内のダウンの卸元と言うことは、ここのダウンが国内メーカで使われているかもしれない。国内大手のモンベルで考えると、羽毛量や重量は#0とEXPの中間くらいなので、温度チャートから考えると-20度と考えても良さそうだ。モンベルはダウン90%フェザー10%で725fill powerで、マウントフライは98/2%。だいぶこっちがグレードが高そう。マウントフライの広告ページによると90/10%と95/5%ですら嵩が20%違うというデータが示されているので、こっちは800fill powerくらいと考えて良さそうだな、850?ヨダレが出てくる..と根拠のない皮算用をした。

海外の超高級シュラフメーカーWestern MountaineeringとMarmotも調べてみた。
HPD-900ではロフトのはかり方が判らないのだが、一番厚そうな部分(胸)の片面をフワッと置いた時の床からの高さとした。

型番:我がMt.Fly HPD-900
羽毛:???Fill Down 900g.
ロフト:6" Loft
適用温度:-?? ℃
重量:1.42kg
価格:$270(32500JPY)

型番:Western Mountaineering Dakota SDL
羽毛:850+Fill Down 850g
ロフト:7 1/2" Loft
適用温度:-20.6℃
重量:1.42kg
価格:$585(70200JPY)

型番:Western Mountaineering Kodiak Super MF
羽毛:850+Fill Down 850g
ロフト:7" Loft
適用温度:-17.8℃
重量:1.33kg
価格:$455(54600JPY)

型番:Marmot Lithium
羽毛:900 Fill Down
ロフト:7" Loft
適用温度:-17.8℃
重量:1.13kg
価格:$449(53880JPY)

型番:Marmot Couloir EQ
羽毛:800 Fill down
ロフト:7" Loft
適用温度:-17.8℃
重量:1.70kg
価格:$509(61080JPY)

どーだろう。
ロフト量からすると-20度ものは7"超のロフトのようだ。ダウン量とロフト量から推測すると850fill powerは無さそうだな..。ま、計り方にもよるだろうし、スモールフェザーが多い方が見た目にロフトは稼ぎやすい。根拠はないが適用温度は0F程度か?と思った。マウントフライの普通そうなナイロン生地だがShellの重量的には洋モノに負けていないように思う。マーモットはすごく軽そうだが窮屈そうでもある。我がMt.Flyは胡座こそかけないが結構ゆったりしている。
心情的にはモンベルと比較した性能を採用することにした。

洋モノシュラフを航空便で輸入しても+$60くらい取られそうだし、こやつら洋モノ高級シュラフはJPのお店に行くとボトルキープした酒並みに値段が跳ね上がる。新宿の山道具店で見たけど、悲しいくらい、とても買えませんから..

このシュラフは実戦で2回投入。
1回目は2004/12末のオーレン小屋付近雪上キャンプで。このときのテント内気温は-10度だったが、朝までぐっすり熟睡。まだまだ余裕ありそう。
2回目は2005/11の縞枯山雪中ビバークで。外気温約-10度、Bivy内で-5度、空気断熱層のない状態だったが、もちろん余裕綽々。
撮影で取り出したらベタっとしていたが、体を入れて体温で暖めるとダウンが膨らんで、それこそマグロのようになる。

マウントフライのおやじは羽毛量は後で調整できるからと言っていた。中を見ると、なるほど、詰めた後で縫ったような縫い代が見える。現状は体部分は800+g程度と思われるので増量してもいいな。家でも寒くなるともぐって何度か寝てみたりしたが、現状で羽毛の抜けは皆無。スモールフェザーが生地を突き抜けるなんてことも全くない。
これで、Shellが薄々のPartexQuantumだったり、湿気透け透けのeVentだったり選べたら文句ないんだけどな。生地の持ち込みを相談してみようかしら。生地が変わると縫製テクニックも変わるか。fill powerや適応温度の表示、shellの素材やパターンの見直しとか行ったら競争力のある人気メーカーに化けると思うんだが。
山っ気(登山ではない)のある私は漠然と組んで商売してみたいと思った。

雑誌で某シュラフ大手のメーカーの作業行程や作業場をイラスト入りで紹介する記事を読んだが、どうせ大メーカのシュラフだって作っているのは小さな家内製の町工場だし(縫っているのは近所の内職のおばさん達らしい)。イスカとモンベルを持っているが、両者と基本の縫製技術的に遜色あるようには見えない。羽毛はマウントフライのような問屋から仕入れているんだし、羽毛で勝負のマウントフライは卸元だから負けることもないだろう。

値段性能比で大満足だ。
今のところ寒い思いをしたことがない。私が行ける範囲ではこれさえあれば、と充分に信頼が置けている。
こいつの限界を調べるには、厳冬期の高いお山へ行かないとだめだ。あるいはマグロ倉庫か..
デザインと、色が嫌いでなければ検討しても悪くない。
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by ulgoods | 2005-11-29 14:55 | 宿泊系

フォーラム設置

僭越ではありますが、
軽量山道具&山行スタイルの情報集積を目指してフォーラムを設置しました。
http://www.ulgoods.net/forums
です。
フォーラムの興廃は情報の集積如何に因るものであることは承知しております。どれほどの需要や関心があるのかは判りませんし、設置母体が適切かどうかも..
しかし、単に道具好きに留まらず、軽量道具&山行スタイルの情報が多くの方のお役に立つということを信念としサイトの維持には精進してまいります。
よろしくお引き立て下さいますようお願い致します。

なお、投稿には会員登録が必要です。匿名投稿は不許可としていますが、会員登録には何の制約もありませんので、お気軽にご登録下さい。
会員登録をするとメールが行きますので、確認URLをクリックすると登録完了です。
登録会員であればフォーラム中に新たなスレッドを立てることが出来ます。

写真は直接アップロードできません。現状では、いわゆる写真置き場サイトを利用していただき、そこへのイメージタグを貼りつけることで行います。写真の貼り付け方はフォーラム「写真の貼り込み方」で説明していますのでご一読下さい。
将来的に自前の写真置き場の併設も検討しています。

書き込み練習場も設けました。こちらはゲストさんでもオッケーですので、遊んでみて下さい。

各フォーラムに世話人を募集します。また、新規フォーラムの開設希望など承ります。

私自身、あまり多くの情報を提供できないと思います。Blogをなさっている方は自Blog記事の紹介から始めて下さって結構です。多くの方の知恵や経験、さらに考え方を得て話題を深めて行ければ良いと思っています。

よろしくお願いいたします。
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by ulgoods | 2005-11-25 10:23 | 駄文系

GoLite Jam Pack/ ゴーライト ジャム パック

会議室の方に話題が出たので

超軽量路線を行くUSのメーカーGoLiteのTrekking & Mtn Packsシリーズ軽量ザックJam

購入は2004年の春だったか。GoliteのUnlimitedシリーズInfinity,Visionと共に購入した。
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洋梨のような下膨れの変な形。
トップは蓋がなく、巾着の口が露出している。
このザックは重量1 lb 5 ozで600gの軽量である。容積は38リットル+7リットルとなっており、7リットルはフロントポケットやメッシュポケットかな。生地は強靱なダイニーマ製。
兄弟分で76L,590gのGUST PACKもあるが、デカすぎるだろう。

このザック、魔法で軽い訳ではない。省略できる物は省略しきっているので軽い。先ずはフレームが無い。ふにゃふにゃである。少ない荷物の時など情けない感じで荷重をうまくヒップベルトに伝達することすらできない。また、荷物をパンパンに詰めると周が円になるので背中に当たる部分も円の一部になってしまい、背負い心地はすこぶる悪い。更にショルダーベルトもヒップベルトも緩衝材なし。悲しいほどにペナペナと薄い。
軽量ザック故あまり荷物を詰めてはいけない。25から30ポンド(11kg~13.5kg)程度が推奨最大荷重だ。
世の中にはこれより軽いザックも多く存在するが、JamはBPLのフレーム無しザックの荷重をかけた背面崩壊試験で30lbまでは最も良い成績を収めていたのを見ていた。どんな試験かよく判らないが、多少はマシだと思った。

フレーム無しって頼りないが、これにはこれで使いようがある。ふにゃふにゃをシャンとさせるには仮想フレームを作ってやればよい。具体的にはサーマレストのリジットレストを円筒あるいは畳んで差し込み、それを仮想フレームとする。プロライトに少し空気を残して2つに畳んで差し込んでも良いだろう。その方が容積の減少は少ないと思う。
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円筒の場合は荷物は円筒中に納める。これで荷が少なくともザックの形状を保持できるし、マットは荷物の保護にもなる。マットは当然、眠る時に使うので一石二鳥のトリックというわけだ。
この形式で2005年の春に北八つが岳で一泊のウルトラライトスタイルな山行に使用したが
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(シュルター内にちょっとだけJamが見えている)
宿営時は麦草ヒュッテで水を買い水も3Lほど持ち、そこそこの重量であったがサスペンションシステムは崩壊せずによく働いた。

Jamは背中に当たる面にもパッドの類はない。私は汗かきな方なのでカモシカで買ったMINERVAというメーカが出している立体メッシュシートをくくりつけている。
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背中にザック生地が直接触れないし、ある程度の通気性もあるだろう。これ以上細工すると軽量さを犠牲にするので、この程度で手を打っている。

しかし、宿泊を伴わない時にマットを持って歩くのは妙だ。
というので、VisionやInfinityのフレームシートを参考に、ハンズで材料を調達してフレームシートを作成した。これがやりたくて参考用にVisionを買ったくらい。不幸にもそれらのシートはJamには入れられない(Jamの口が狭くて..)、ので作った。
プラスチックのダンボール素材にアルミの棒を通して、体の線に合わせてVisionやInfinityのフレームパネルのカーブに合わせる。
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白く見える縦の筋がアルミ棒。ステンレスの方が強度はあるのだが、どうせ腰に引きつけるから、柔らかいアルミでも曲線は出るだろう。実際、久々に引っ張り出してみたが、曲線は崩れていなかった。
実はJamの背面には元々厚さ1mm程度の断熱材のような物が挟まっている。わざわざ背面はそれを入れるために2重構造になっていたりするので、そこに押し込める。口が狭くて素直に入らないので、上側の両角は少し折り曲げるが、そこにはアルミ棒を通していないので大勢に影響はない。これで、マットを入れなくてもシャンとする。背負い心地も悪くない。芯の通ったJamの出来上がり。
抜き出せば残雪のソリ遊びに使えるかもしれない。

沢山荷物を詰めて重くしてはいけない。軽量なら緩衝材が入っていなくても問題ないのだ。と、自分に言い聞かせる。痛いのは自分が至らないのだ。と、言い聞かせる。
以前書いたInfinity同様、このザックを背負いたいが為に装備パラダイムを軽量化にシフトし、軽量地獄に入ることになる。今思えば恐ろしい..覚悟無くして手を出すんじゃなかった。
ザックの超軽量化は最後にするのが吉だと思う。
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by ulgoods | 2005-11-23 23:19 | 運搬系

この時期の北八つ 縞枯山 大岳 横岳

■仕込
もろもろ溜まった検証があったので、ちょっと寒い所へ行ってきた。
11月18日(金)、出がけに仕事の用事があり、忘れていたが歯医者の予約もあったから..出るのが遅れ11:30&乗った高速では集中工事で八王子まで信じられない時間が表示されており、すぐに高井戸で降りて地道を走ったりで..苦労して14:40のピラタスゴンドラに乗るのが精一杯であった。いろいろ散策の予定もあったのだが仕方ない、その辺はスッパリ切り捨て目指す縞枯山頂に向うこととした。
ゴンドラ山頂駅周辺は11/12に降ったという雪が根雪化しており、ちょいと想定外。実は雪は融けていると思っていた。結構寒いが、わざわざ寒い所を目指して来たのだから仕方がない。テストの第一弾には申し分ないだろう。ゴンドラ頂上を14:50に出発して、途中、坪庭散策な人々とすれ違い(すいません、逆回りしました)縞枯山荘への分岐後は人はいなくなった。縞枯山荘は人の気配がしたが、こちとら日没との競争である。里心付かぬよう足早に山荘を後にした。
縞枯山からは幸いアイゼン型の下りの踏み跡も付いていたが、雪も凍結していないので私はアイゼンを履かずにガシガシ登った。今日卸したKaylandのSuperRockなるeVentライナーケブラー外被靴も調子良い。来る前に滴るほど防水剤を塗り込んでおいたし、雪も乾燥しており、足元は心配なさそうだった。
同じく今日がデビューのGraniteGear Stratus Latitudeも背負うと妙に重量感を消してくれる。水3.5L入りだが走って行けそうなくらい?軽快だ。
GPSによると山頂到着は15:39。ゴンドラ駅から50分で到着のお手軽な割には厳しい場所に着いた。山頂では木々の頭上で風の音が電車の音のようにゴーゴー鳴っていたが、幸い山頂は樹林の中だから風は体には吹き付けない。
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腹の出た写真だが、タオルなど諸々詰め込んでいるので割り引いて見て欲しい..オネガイ。
到着の安堵もつかの間、予定では白駒池の野営場辺りまで到達するつもりであったが(^^;;、私としたことが!もうすぐ16時ではないかっ、日没まで一時間ない。山の本の鉄則では、これ以後は行動を避けビバーグ体勢に入ることになっている。私も教えに従って今夜の宿を得るべく適所を探した。これは緊急事態なのである!
幸いにも私は用意がよいのでザックにはビバークサックと厳冬期用のシュラフがある、一夜くらいは越せそうだ。

■不時露営
今年の6月にこの尾根を通過した時にビバーク適地を何カ所か頭に入れてあった。ので、迷わず茶臼山方面に歩を進め、途中、尾根道の中間で樹林に囲まれそこだけポッカリと開けた安全な場所に再会することができた。そこはかつて作業用のケーブルが張られていたのだろうか、ワイヤーの残骸があり、4m四方ほど樹木が切り開かれている。この尾根には似たようなボッカりがあと2箇所、その他Bivyを敷くだけなら使えそうな疎林箇所が数カ所ある。
登山道から僅か2m分け入り、まずは雪を踏み固めてBivyザックの広さを確保する。今宵の断熱システムは、雪の上にTyvekの防水シートを敷き、その上に銀マットとした。Bivyを乗せて内部にサーマレストのリジッドレストの半身用を敷く。プロライトを持ってこなかったのは膨らませたり畳んだりが面倒に思われたから。テントのない生活では全てが野外に身を曝して行う必要があるので面倒は減らしたかった。寒いところでは素の指を長時間露出して冷えた物に触れる作業をしてはいけない。ガキの頃から身に付いた防衛策だ。指先はすぐに凍るし融けにくく必要以上に痛いのである。ザックの容量に余裕があったのでリジッドレストはザック内で折り曲げて携行した。ザックスッキリが身上だ。
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当初、SilPonchoで屋根を作るつもりだったが、山頂は水分は全て凍結して空気は乾燥していたし、天気予報に依ると降雨の可能性も低いので屋根は作らなかった。この気温だから液体が降ってくることはなかろう。降ったら急遽張ってもよい。Ponchoはザックカバーに転用することにした。
夏期にせっせと裏庭で道具に慣れたお陰で?適用には余裕があるのだ。
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仕上げとして、斜めに差したトレッキングポールからキャンドルを吊り下げ、一夜の草の庵を結び終えた。

■ヲヤヂストーブ
居を定めたら、まずは体を温めるため、お茶にすべきだ。ここではヲヤヂストーブを使ってみることにした。
先日作成した100Yenストーブ台を広げる。円という形はとても塩梅が良い。凸凹の雪面でも容易に水平を得ることができた。ヲヤヂストーブにアルコールを30cc入れ、ダラっと周囲にアルコールを掛け予熱と同時に400ccの鍋を掛け点火した。予熱の熱も無駄にしたくはない。低温でアルコールの気化が起こるのか不安であったが、一発でマッチの周辺から炎が立ち、ヲヤヂを包み込んで予熱が始まった。明るいので炎は見えにくいが、予熱終了前にはヲヤヂ本体からも炎が立ち上るのが確認できた。穂高でもそうだったが、気圧が低いせいか、平地よりも燃料の気化が起こりやすい気がする。ヲヤヂは時々ジェット音を発しながら元気よく燃え始めた。
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周囲は微風だったので風防は用いなかったし、多少の風なら負けない自信はある。首尾良く余裕を持って燃料切れ前に400ccを完全沸騰させ(気圧低いし..)。ココア用の250ccを得て、残りはテルモスに詰めることができた。
Bivyの上にドッカと腰を下ろし、押し戴くように飲んだ。自分が工夫した道具によって暖かな飲み物を得たのはうれしい。アルコール燃料を熱に変え、熱源を自分の体にインストールする、そんな感じ。
ヲヤヂストーブの性能に自信を持った。扱いやすい。安定している。外気温の影響を受けない。風に強い。狙った性能が全て実証された。これはこれで一つの完成形として良かろう。

■食事
あまり登山にカロリーを使っていないので食事は簡略化した。八ヶ岳SAで買ったブルーベリーレーズンベーグルを頬張りお仕舞い。万が一に備えて水や火が無くても摂れる食事と言うことで急遽追加したのだが、火を得る自信がついたので万が一は無くなったし、旨そうなので最初に食べてしまった。というか、胃の腑に納めなければ腹の空いた動物に狙われるかもしれない。もう一つは時間差で夜中に食うことにした。
17時を過ぎると辺りは真っ暗になった。UCOのブラスのキャンドルに火を入れ、僅かな慰めとした。
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■Bivy内生活
PatagoniaのMicroPuffを着て体を起こし、暖かなキャンドルの明かりに見入りながら、これから過ごす夜のことを考えていた。逃げるなら今だが、この程度では生命に関わるような問題が起こるような装備ではないはず。もしもの時はエマージェンシーシートを使って。VaporBarrierで乗り切る体勢も用意している。このまま不時露営を継続することに決した。
Bivy内ではマウントフライの厳冬期用シュラフの上にVaprBivyを使った。これは結露してもシュラフを濡らさないつもりであったが、後に失敗だったことが判明する。
Integrel Designs社のeVent UniShelterは頭部に一本フレームが入っており、張られる空間は両肘を思いっきり張っても届かないくらいでかい。さらにこいつは外人のExpedition仕様なので長さが98"もある。先ずは足元に靴をスーパー袋に入れて放り込んだ。持ち込んだものは、衣類を入れた袋を枕とし、熊除けラジオ、自分用の気付け薬が入ったチタンフラスコ、凍らせたくないエレキ小物、水、エマージェンシーキット等を持ち込んだ。残りは傍らのザックに入れてPonchoで覆った。このザックは前面がガバっと大開するので、横にしていると組み立ての3段ケースを横に置いているようで整理がよい。
手を伸ばせば何でも届く生活、こりゃ快適だ天国だ。酒を飲み、初めて耳にする地元ネタ炸裂のFM放送を聞きながら、お気楽な夜を迎えた。夜半、何時だろう?風が吹き、キャンドルが吹き消された。Bivy内は-5度程度、思ったより気温は高いかな。

寝るポジションによって寒さの体感が違うことに気が付いた。完全仰向けでは背中や尻から熱伝導で冷やされて少し雪の冷えを感じがしたが、横向けになると半身しか接しないから熱の逃げが減るらしく、ポカポカと暖かくなってくる。なるほど、伝導による熱のロスは大きなものだ。足は冷えないようにモンベルのテントシューズを履いた。これは成功。多少汗っぽいが足元ぬくぬく。VaporBarrier効果もあるかしら。本当はIntegral Designs Hot Socksが欲しかった。そいつは足裏が滑らない材質。モンベルのは滑る。用足しの際に象足のつもりで外に出たら斜面ではツルツル滑って危険だった。用足しで遭難しては格好悪い。
夜中の体温生成の燃料として羊羹を食った。

■夜中
いつしか寝てしまったか、ふと目が覚めた。温度計付き腕時計を野外に放置して温度を測っていたが外気は-9.8度、これまたそんなに寒くない感じ。星は出ていない。風は時折吹く。
やろうと思って出来なかったLEDライトLUCIDO TX-1の照射テストをせねばならない。が、この天国なシュラフから這い出ることなど考えられなかったので身を起こして周囲の樹林にビームを照射してみた。かなり遠くまでシャープな四角なビーム(素子が四角だから?)が届いているのだが、写真では奥行きが判らないなぁ。
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イザとなったらコイツを振りかざせば遠くに自分の位置を知らせることが出来る自信を強くした。ま、普段の生活ではサイドのLED弱火で充分である。

シェルターの凍結の具合を調べた。Bivy内は案の定、若干の霜が付いている。ま、これはeVentと言えども透湿の間もなく凍るのだろうから当然。失敗はBozeman Mountain Works VaprBivyだ。シュラフから出た湿気がVaprBivy内面で霜になり、一部シュラフの熱で溶けてシュラフを濡らしていたのだ。
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シュラフ底面側で甚だしい。こりゃ戦略を誤った。防湿機構は簡略化して、霜は全て外側のBivyに付けるべきだったと悟った。後で掻き取れば済むことだ。面倒なのでこのまま一夜を明かすが、幸いシュラフ表層直下での凝結は起きていないようで、シュラフのロフトは失われておらず大勢に影響は無さそうだ。呼気が結露するとしてもっと盛大に霜御殿になっているかと思ったがそうでもない。昨年の12月のオーレン小屋でBlack Diamond Firstlight EPICテントで過ごした時と余り変わらなかった。一体呼気はどこへ行ったのだろう?Bivyの後頭部に小さな吹き流し状のベンチレーションが付いている。これと顔前面の蚊帳部分を半分くらい開けており、風もあるからここを通風し、それに巻き込まれる形で内気が換気されているのだろうと朦朧とした頭で考えた。低温とは言え、水蒸気が飽和していないのかもしれないし、乾いていくこともあるだろう。朝までこれでも問題なさそうなので安心して寝ることとした。
UniShelterの広告写真で雪の中でBivyを使い半身起きあがっている写真を見たが、ま、あれはウソではないと判ずることにする。

■朝
5時に目が覚めた。まだ辺りは暗い。シュラフのロフトも問題なく、体も冷えていない。ぬくぬくと快適な朝だぁぁぁ..っと気が付いたらいつの間にか7:30だ。寝過ごした。ぬくぬくと14時間以上を過ごしたことになる。
慌てて朝飯の準備を始めた。相変わらず気温は-9.4度、頭部にバラクラバを被って上半身だけ体を起こし、傍らでラーメンを作ることにした。使う火器はMSR WindPro。コイツを液出し燃焼させてラーメンを煮させようという魂胆。
ストーブを100Yenストーブ台にセットし、雪の上に設置する。雪はバリバリに凍結していたが、足で踏んづけた凹部の上で3点が決まり平面を得た。この100Yenストーブ台、我ながら秀逸な出来。足ストッパーがよく効いていて折り畳み部がキッチリ開きストーブ脚の抵抗で平面が固定され、ストーブも滑らずに安心できる。お勧めだ。

■液出し燃焼
シュラフ内をもぞもぞ探してキャニスタガスを取り出し、先ずは気化ガス燃焼でストーブを予熱した。一晩かけて体で暖めた缶の熱量が失われるまではブタンも出るだろうから気化ガスで良かろう。
予熱も良さそうなのでおもむろに燃料缶を逆さにする。3秒程度のタイムラグの後、ストーブが最大火力の炎を吹き出した。先ずは液出し燃焼成功。少し火力を弱めて500ccの湯を沸かした。湯はすぐに沸いたので、先ずはテルモスを湯で満たす。残った湯に水を足し再度500ccとしてラーメン作成に取りかかった。
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どうも火力調整が難しい。弱火領域で敏感、かつタイムラグがある。ま、仕組み的には納得だ。2度ほど吹きこぼれを起こしたが、マルタイラーメンに薄い餅を放り込んだラーメンが出来上がった。病人のようにBivyから半身を起こしたまま食する。
液出し燃焼は成功だったと思う。燃焼中のキャニスタの温度低下は認められなかった。送出部のアイシングなる現象も無いように思えた(注:JSBさんサイトでアイシングはジェネレータ近傍で起こるとのこと。私の理解が誤っていた)。-40度まで沸点が低いプロパンを使い切っていないはずだから圧も掛かっており、原理的にキャニスタガスが気化熱を要求しないので当然だが、目論見通り。テント内で使っても最初の最大火力に驚いてひっくり返しさえしなければ安全だと思う。練習してから臨むと良い。

■その後
今日は蓼科山を目指していたのだが遅すぎる。ま、行けるところまで行こうか。
8:30時に撤収完了。再び縞枯山頂8:35。木々には2cmくらいのエビの尻尾が成長していた。下りは念のため12アイゼンを履いた。雨池峠9:22。初めての12アイゼン歩行で時間掛かりすぎ。ここでアイゼンを外す。雨池方面へは踏み跡はなかったが、登山道は明瞭だし、小動物の足跡が続いている。GPSも好調なのでそのまま歩を進めた。
林道出会いが9:48、ここで麦草方面から楽して戻るか、蓼科山を目指すか思案した。このころから悪い予感がした。実は地図ではなだらかな地形だが、岩ゴロゴロで思うより苦戦したのだ。しかし、林道に出てからは歩きやすいし天気も良い。とりあえず行けるところまでと楽観的に歩を進めた。小動物の足跡を追いかけて林道を行く。
10:34双子池の分岐でもう一度考えた。この時刻だ、蓼科山は諦めざるを得まい。登ってもピラタスへは帰れない勘定だ。麦草へ戻るならここだ..思案の結果、双子池、横岳経由でピラタスへ戻ることにした。
双子池は凍結し、時々ミシミシという氷の膨張音も聞けた。タライの水も凍結し厚さは10cm程度。でもスケートにはまだ早いか。一服して11:00大岳経由で横岳を目指すこととした。大岳までは標高差は約300m、夏場なら1時間程度だろう。幸い雪に踏み跡もあった。人が通った形跡というのは勇気づけられる。道は続いているのだ。それは降りてきた足跡だから逆に辿れば安心だ...が甘かった。巨岩がゴロゴロ折り重なった地形に雪が10cm位で足元の確認ができない。あちらこちら岩のクレパスが開いている。しかも登山道脇の木々は雪の重みで垂れ下がり、行く手を阻む..アイゼン履くにはまだイワイワしてるし。というわけで壷足でバランスを取りながらで歩を進め、予想外に手間取った。木々から雪シャワー攻撃を受けるのでNIKE ACGのハードシェルを着た。こいつはYahooで3000YenでGetしたが、StormFitなる透質素材&脇の下全開できるので蒸れずによろしい。頻繁に雪に触れる手袋も濡らさぬようにBDのGoreWindStopperの上にmontbellのオーバー手袋をはめた。ただ、雪が乾いているのでTNFのハードなゴアパンツは出動させなかった。そこまでやるとオーバーヒートしそう。
結局、大岳到着が13:16。2時間超、予想の倍の時間を要した。ゴンドラの最終は16:00である。かるくヤバイ感じ。横岳山頂が遠くに更に高い位置に見えた。あそこを通過しなければならない。行くも戻るも大変だ。ここは進むこととする。
そこから岩ゴロゴロの稜線を横岳まで伝い、横岳北峰到着が14:34。亀甲池経由の方がよかったか?
横岳南峰14:37、もー時間との競争だ。ま、最悪、煙が昇る北横ヒュッテも見えているし、食料的にももう一泊のビバークは可能だ。女房には日曜の昼まで連絡が無くても動くなと言ってある。ま、怪我をしないように急ぐこととした。
再び下りでアイゼンを履き、ガシガシ下った。北横ヒュッテ14:50、煙が立ち昇り人の生活がある場所にたどり着いた安堵感。が、アイゼンを外すのも面倒だし、時間もないので内部を覗き込んだだけで再び下り始めた。
坪庭到着15:21、もう大丈夫だ。ここでまで人に会っていなかったが、坪庭周辺は最終ゴンドラ前だというのに登ってきた普段着のお客が多い。
ゴンドラ駅到着が15:29。15:40の最終前ゴンドラのアナウンスがあった。もう大丈夫、人の世界に帰ってきた。みな寒い寒いと言っている。一足早い冬を体験するにはゴンドラはお手軽だ。普段着の人々の中で異色な山装束の私であった。
ゴンドラを降りるとそこは雪のない晩秋の風景だ。大岳への登山で冷や汗と大汗かいた私のことなど誰も知る由もない。
ま、ゴンドラ下を歩いて下れる程度だから、そんなにせっぱ詰まらなくても...

雪山をやる人から見れば些細な登山であるが、ひよこな私には大真面目な冒険であった。ピッケルを持っていけば段差の大きなツルツル岩を越すのが楽だったろうな..ピッケルは大げさすぎて持つのをためらったが、あれば良かったと思う。
買い貯めた道具、工夫して作った道具達の性能を確認することができた。あのような環境であれば夜を越せる。もう一歩過酷な環境での確認を行うためには道具を連れて行くための正しい登山技術と生活術の練習が要る。一度、ちゃんと冬山講習を受けるかな。
ま、道具達のためだからな..

■データ
・キャニスタガスの消費量
110gのキャニスタ缶は200gだったはず。帰ってから缶を計ると160gだった。7、800ccの湯を沸かすのに40g消費。少し多い気がする。炎が見えなかったが、火力調整がうまくいけば減らせるだろう。250gキャニスタガスの缶重量は375g。これで単純計算で最低で4.4Lの湯を得ることが出来る。ガソリンストーブの燃料ボトルと燃料込みで375gでは何cc沸かせられるのだろう。テント内で安全に使えることを勘案すれば2泊くらいならガスストーブ液出しも悪くないと思う。どこかでクロスオーバーが起きるだろうから逆転ポイントを見るには比較実験が必要。
・シュラフの重量
シュラフを帰ってから一晩トランクのザック内で放置して今朝計り1527g。半日天日で乾燥させた後は1461g。66g増加だった。さほど深刻ではない。シュラフ表面に防水剤を塗っておくんだった。
・防寒着
今回は羽毛の防寒着は持たなかった。羽毛は汗で湿気るので行動中に着られない。MiceoPuffは縞枯山の下山時に着用したが、軽くて暖かくて汗ばむまでの体の始動用には快適だった。
・LUCIDO TX-1
TX-1は説明書を読んだら1Wだった。3Wは誤り。防水ではないが防滴だ。Bivy内-5度で放置後も問題なく発光した。
・先日の穂高以来1ヶ月以上放置していたチタンフラスコ内のバーボンを飲んだ。味はいつものワイルドターキーだったし、腹は痛くならずに、ちゃんと少しだけ酔った。チタンフラスコ長期保存はオッケー。
・Bivyの上側をリッジラインで数カ所吊って積極的に上部に空間を作り、霜をそこに溜めることができればシュラフを濡らすことは少なくならないか?テントと同じ。足元に開閉可能なベンチレーションがあっても良い。ちまちま透湿するよりも通風で湿気一掃だ。
・JSBさんのサイトを読んでアイシングは送出部分ではなく、ジェネレータ部分で起こることを理解した。が、MSR WindProの場合はジェネレータが必要以上に長いから、ColemanのPowerMaxと同様な働き&金属なので過冷却でパイプがポキっと折れることは無さそう。次回はそこもチェックしたい。


しかし、集中工事が終わったのに小仏で工事渋滞3時間とは納得いかない。工事渋滞が事故渋滞を誘発し、さらに始末が悪い。こりゃ人災だよ>高速会社さん。知らんぷりで利用者のせいにしないで欲しい。
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by ulgoods | 2005-11-20 18:14 | 山行

ちょっくら風に吹かれに


ちょっと寒そうな所へ身を曝しに行ってまいります。
2403m地点でBivy+Poncho屋根で寝ようという趣向。
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by ulgoods | 2005-11-18 11:21 | 山行

落としぶた ストーブ台 / STOVE BASE made from a lid of the milk pan

以前書いた MSR WindPro の逆さ液出しの寒冷季テストを行わなければならない(注:ストーブの脚の形状を覚えておいてほしい)。
液出しをするにはホースを捻らないといけないが、WindProのホースは金属を編んだものなので捻りにくくて、捻っても反発力があるので、軽荷のストーブなら逆捻り倒ししかねない。
寒空の下、テントの中で横向きに火焔放射されると深刻に厄介だ。なんとかしなくては..

そこで、リフレクタも兼ねるストーブ台を作ってみた。
以前、kazoooさんのblogで見たバルサ材をダクトテープで繋ぎ合わせたストーブ台をヒントにしている。
素材は100Yenで買った落としぶた。先日、気になるモノを手当たり次第に買ったので、素材には事欠かないのである。どーせ、へなちょこの素材だから大して重量も無いはずだし。うってつけと睨んだ。
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これの取っ手を切り取り、切出ナイフで平らに均し、
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切り落とした蓋の取っ手部分が3mmほどの深さにホゾが切ってあって材を接合しているので、これに直角に、材の接合方向に並行に二等分する。
片面をダクトテープで貼れば折り畳み機構は完成だ。念のためテープは2重にしている。この場合、蝶番を使わない選択は良いと思う。ガタが来たら張り直せば良いし、ダクトテープは何かと便利だろう。

安定台としてストーブが台の上を滑ると塩梅が悪いので、ストーブの接地部分にある足の折れ曲がりの厚みだけ100Yenで買ったノミで削って一段低く、足の数に合わせて3カ所の窪みを切る。足が窪にはまるとストーブが滑って暴れたりしない。
それだけではストーブの浮きに抵抗できないのでALストーブ用に買ってあった銅板で蓋をして釘で留めた。銅板の角は板に食い込むように曲げてある。
窪みにストーブの接地足を載せてストーブを少し回転させると、足は窪みと銅板の間にきれいにはまる。これなら持ち上げても大丈夫だ。ストーブの足がゲタを履くような感じ。
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さらに、ストーブの真下にはリフレクタ兼焦げ防止のためにスーパーで買った厚手のアルミ(魚グリルに敷くヤツ)を適当なサイズに切って、ステップラーの針で留めてみた。接着剤が焦げて煙りが出てもイヤだしね。
これで安定性と耐熱性はオッケー!と思う。
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ストーブを付けたまま、ひっくり返せば茶舞台にもなるか?ままごとサイズではあるが茶舞台があると文化的な生活が期待できるし、イライラとアタマに来たらひっくり返して発散してもよい。
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2つに畳むとザックの脇のポケットとかに楽勝で入るし、拭けばまな板にもなる。
重量は102g。ちょいと重いかな。
アルミの外側は大幅に肉抜き可能だ。ドリルで穴を開けまくればよい。

準備完了なので、寒いところへ行かねばならぬ。


追記
どこか一カ所に足の逆回りストッパーを付けようと思っている。
100円のノミは悲しいほど切れない。研いでから使うと良いかも。
切出ナイフはガキの頃に持っていたことを思い出して、だいぶ前に神田錦町の菊一文字という店で買ってあったが、これは切れる!短い刃だけど凄味がある。日本刀ってこれの長いの?と思うと恐ろしいね。もう手放さないでチビるまで研いで使うつもりだ。

畳んだ写真を追加します。
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電動ジグソーで切ったら下手な断面になってしまった...素直に鋸で切ればよかったのだが、この鋸も安モノなので切れなくて嫌気がさしてまがさした。
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by ulgoods | 2005-11-16 13:01 | 生活系

銀杏(ぎんなん) / Ginko

匂い立つような写真で申し訳ない。
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近所の公園も昨年は豊作で、うちでもスパーの袋一杯に採ったものだ。しかし、銀杏はビタミンB6を阻害する4'- メトキシピリドキシンなる物質を含んでおり、食べ過ぎると中毒を起こすから、一度に大量(子供は歳の数だけ、オトナもそれなりに)には食べられないという。料理屋で有るだけ取って平らげた友人が一週間ノタうち回った話しも聞いていたし。ので、時々、小型七輪で少し炙って食べていたが、そんなことでは食べきれないほど採ったのだった。もー数年は銀杏大尽だろうと思っていたが、先日、季節柄、久々に食そうと思ったら1年貯蔵した銀杏は中が乾いてダメになっていた。がっかりだ。今年は既に木枯らしも吹き、先日公園を通りかかったが、見える範囲で銀杏の実は無いよいうに思われた。落ちている実が期待できるほど人通りの少ない公園でもない。が、そうも言っていられない。冬が来る前に元旦の茶碗蒸しの分を確保せねば。

ということで、年に一度の木登りをすることにした。TNFのクライミングパンツに着替えた私はサロモンの岩用に近いデザインのシューズを履き、子らを伴い、長く伸びる剪定鋏を携えて公園へ向かった。
公園のイチョウは手が届く範囲は枝が切られて登れない、が私には昨年編み出した秘策があった。自転車を木に立て掛けてそれを踏み台にする。これで最初の枝に手が届く。
わはは、狙いは的中!高いところにはまだ銀杏が房で残っていた。三点確保を忠実に守り、イチョウは折れやすいので主幹だけ伝い4、5m登っただろうか、枝で張られた空間に頭を出すと視点も変わる。強風にも負けずに残った銀杏の王国がそこには在った。
いや、おもしろい。剪定鋏で叩いて落とす、子供らが下で待ちかまえ、嬉々と猟犬のように走り回りバラバラ降る銀杏を袋に詰める。ほらいくぞ!拾え!私も子らに負けぬほど楽しんだ。暫く遊び、昨年の轍を踏まぬよう、家族で時々食べるに充分な量だけを収穫して剪定鋏の矛先を納めることとした。勿論、枝ごと切り落とすような手荒な真似は致さない。

帰り道、これまた目星を付けておいた花梨の木がある。葉は落ちてゴロンとした花梨の実のシル
エットが遠くからも判る。頃合いは良かろう。これも行きがけの駄賃ということで5個ほど落として持ち帰った。こういう作業はさっさと済ませるのが基本。

長く伸びる剪定鋏は公園では無敵であった。焼酎に漬けるなり、風呂に浮かべるなりと、女房に今日の稼ぎを差し出した。
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公園の実のなる木の類、これは採っても良いと公園の管理者から聞いた。昨年の木登り中に公園パトロールが巡回してきて、少し青くなったが、採って良いかと木の上から聞くと「皆様の木ですから..」と、良い返事をいただいた。ついでに折れて落ちそうな枝を落としてくれと言う。合点でぃ!というわけで今年は出遅れたが堂々と木に登って収穫した次第。芝でBBQをしていた人たち、いーけないんだぁという目で見ていたが、私のコレはお墨付きなのである。今年も木登り中に駐車場の管理人がやってきて、ここいらで一番良い実がなる木を教えてもらったり。老人達には昔の自分か、制止するどころか妙に優しい。その木はとても手強そうなので、来年はハーネスでも付け、確保しながら登るかな。

寺田寅彦の「どんぐり」という随筆がある。何度読んでも泣かせるのだが、娘らの嬉々と銀杏を集める姿もまた女房の血筋なのだろう。佳き哉。
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by ulgoods | 2005-11-13 16:03 | 駄文系

ヲヤヂの味噌五徳 / JetBoil

各所で画期的な動きが見られますが、私はまだヲヤヂで遊べるので..もう少しだけ。

昨日は100Yen灰皿五徳兼風防をやったが、同じく購入していた100Yenのミソコシ(味噌濾し)、こいつでも風防五徳を作ってみた。縦方向に取っ手が付いたアルミ製で小さな穴が沢山開いたやつ。

以前、風防五徳を作ろうとハンズで穴あきアルミ板を買ったが、加工が面倒で放置していた。Gore-Texではないが、小さな穴は空気の粘性抵抗によって、低速空気は通すけど、高速空気には抵抗として働く筈!と目星を付けていたが、そいつを試したかったのだ。

夏の夜、網戸を閉めていると、断然風の通りが悪いでしょ。網戸も開放すれば、かなりの微風でも風通りを感じるはずだ..というのはクーラーが無かったビンボー時代に大坂の灼熱地獄で体験済みで..あれは..
短期間だが、環状線玉造駅の近く東雲町に6畳一間を借りたことがある。その夏は暑く、お向かいの屋根からクーラー廃熱の熱風が吹き込むような劣悪な貸間だった。が、その部屋は格安、私は金がなかったのだ。ある晩、辺り一帯が停電になった時、普段は熱風除けで閉めた窓を久々に網戸共に完全に開け放つことができた。窓窓を微風がふぅうっと通り抜けていくのが感じられ、汗した肌には涼しかった。で、悟る。なーんだ、皆で廃熱で外気を熱しながら部屋だけ冷やしいるだけじゃないか、電気屋に買わされたクーラーで皆でその競争をしているのね。クーラーを持たない私は可笑しくなってしまった。おーい、みんなー、一斉に止めるとそれなりに涼しいぞ!と叫びたかった。で、小一時間、電力が回復すると、貸間はサウナ部屋に戻った..
灼熱大坂6畳貸間で汗をダラダラ流しながら溶け出した脳で虚ろに考えていた、網戸は風に対して抵抗として働く、ああ粘性抵抗なんだよねぇ..気化熱、涼しいかったなぁ..また停電にならないかなぁ..微妙な気圧差で微風が生まれぇ..エントロピーを増大させろょ...その体験が今、開花する!か?
ちなみに、今は反動で?空冷ガンガンでないと仕事できない体になってしまったが..

ミソコシは既にカップ型でサイズ的にも合いそうだし素材として最適だ。
半分出来ているから、あとは金切り鋏でザクザク切って繋いでお仕舞い。穴が規則的に開いているので寸法出しも要らないし、簡単だ。金切鋏が無くても100Yenで買えるニッパーで地道に穴を切り繋げていけば同様の加工は出来る。
ミソコシは前作の灰皿に比べて肉厚なので、ペコペコ凹まずに塩梅がよろしい。

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燃焼特性だが、酸欠にもならず、ストーブの炎には変化は見られなかった。充分な酸素が供給されているらしい。トランギアのストームクッカーのような煙突効果も期待できる。写真の炎は赤みがかっているが、これはジェット径を調整中で、ちょいと炎集中による酸欠かと思われ、五徳のせいではない。
防風性能は、これも思った通り、風防五徳に強く息を吹きかけても内部の炎が消えることはない。多少揺らぐが大丈夫。JetBoil側のフィン回りの窓も高さ的に半分くらい閉じてもオッケーだろう。一層、防風性が増す。
これなら野外でも使えそうだ。これはヲヤヂの噴出力の強さも+方向に働いているな。他のストーブではこうはいかないと思う。

Hennessy Hammock内で吊す勇気はないが、素手で持ち上げるくらいのことはできる。
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JetBoilのラッチにはまるイモネジのはみ出しを切断すればストーブ諸共JetBoil内に格納できてしまった。
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もう少し鍋を支持するミソコシの耳の数を残しておいても良かったな。

これでJetBoil専用高圧型AL缶ストーブが完成すればシリーズ完結。
そういえば、チタンのJetBoilはまだ出ないのか?

しかし、100Yen恐るべし。ダイソーの金型を流用して安価に作ってくれないかしら?
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by ulgoods | 2005-11-12 04:41 | 燃える系

ヲヤヂのその後

ヲヤヂ系ストーブのその後..
だいぶ間が空いてしまった。少し目標が絞れなかったので形にすることができなかったのだ。

■飯炊き
このストーブで飯を炊いてみた。
ヲヤヂ系の特徴として強い集中火焔が挙げられるが、これが飯炊きには不向きだった。しかも何気なく新しく買ったチタン鍋を使ったので結果は火を見るより明らか。沸騰前から焦げ臭がし、焦げが混じった茶色いおかゆ状態になってしまった。魚沼産新米コシヒカリは..ああ..お百姓さんに申し訳ない。
火勢を緩和するためにステンレスの布巾を探したのだが、整理が悪いから何処かへ行ったきり出てこないし。アルミ鍋でもこの火焔集中では似た結果になるだろうから、飯炊きはとりあえず布巾が見つかるまで保留とした。
火力調整が必要だ。

■火力調整機構
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ブラインドリベットに高さを変えた穴を複数個開け、そこからジェットを噴出させる。ネジの上下で穴を塞いだり開けたりして有効な穴の個数を調整する、という方針で工具を揃えて精密加工に挑んだ。
ブラインドリベットは柔らかいので0.5mm穴を何個か穿つことに成功。ジェットが横に噴出するのでそれを縦方向に向けなければならないので、小さな小物入れを流用してネジの周囲を覆ったものを作成した。が、これがロスが多い。酸素の乏しいところへ燃料を噴出しても燃えるのは酸素のあるところだから、ぼやっとした炎しか得られない。しかも燃焼中のネジの回転調整も安全性の問題がある。
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これを組み込んだストーブは穴を利用せずに結局は普通のストーブとして利用することになった。
0.5mm径の穴を開けられたことは今後の加工の自信につながった。SVEA123のA-Jetは0.5mm程度らしいし、パイトーチに似たモノが作れるかもしれない。しかし、パイトーチのグルグルはもはや意味が薄い気がする。人からもらったデータで自分では検証していないが、どうやらヲヤヂストーブはパイトーチより早く湯を沸かせるようだから。

■ジェット径
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ジェットの径をいじってみたりした。0.7mm未満ではジェットの速度が速すぎて炎が点かないようだ。きっちり0.7mmでも炎が鋭すぎて水を入れたチタン鍋の底に高温によるスポット変色を作ってしまった。これはキャニスタストーブの火力最大でも見たことがない。
高温に出来る可能性は確認できた。でもこのときは燃費が悪かったな..

■三つ編みゆみちゃん
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夜中に三つ編みのサイトを検索し、スチールウールを三つ編みにしてみた。不細工ながら編んでみた。そして、三つ編みを組み込んだストーブを作ってみた。ゆみちゃんと言うよりはレゲエ君。
三つ編み効果はあると思う。火勢が強まるようだ。しかし毎回の三つ編みは面倒で..その後、しばらくは半田吸収線を使ったが、これはこれで比較的高価なので元の無精ヲヤヂに戻すことにした。
ほかに火勢を強める方法を思いついたし。

でもなー、火勢ばかり強くても飯も炊けないストーブじゃな..何を作っているんだか..と少しめげて、ちょいとストーブから離れてみることにした。

■新五徳を得て
JSBさんサイトへの投稿で、ジェット型をやっている人の投稿を見た。しかもJetBoilで更なる一体化を目指しているようだ。私も素材で使おうと思って目的もなく買い置きしてあった100Yen灰皿をJetBoilにセットしてみたら、おお、ぴったんこではないか。背も低く安定性も良い。かっこよい。
それで、飯は炊けなくともJetBoilとの相性を追求しても良いかな、これからは高速に効率よく湯を沸かすことに専念してもよかろ、と思えるようになり、久々に五徳とそれに合う背の低いヲヤヂを作ってみた。
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この五徳は風防も兼ねる。一石二鳥だ。空気不足を起こさないよう、これまた100Yenで買った10mmのポンチで20mm間隔で打ち抜いた。100Yen恐るべし。細工が不細工だが、ま、試作なのでヨシとする。ポンチの歯の一部をヤスリで削り落としてポンチが抜けないようにすれば、そこから折り曲げてストーブ固定兼整流板に使えるかもしれない。
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ストーブも背を低くし、さらにネジ加熱部の炎を変更してみた。ネジ加熱部は0.5mmを4発。外周は0.8mm径を4発。ネジ加熱部は外周で圧が抜けるのでジェットの速度下がり、0.5mm径で小さな炎が立つ。丁度、炎の先端がネジを加熱するくらい。ネジは赤熱しないが、これはよく効いているようだ。
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酸欠や炎色反応のない、きれいな青の炎が得られた。我ながらうっとり..
効率的に湯を沸かすためには派手な炎ではなく、鍋の底面で如何に炎の最高温度にするか?という事が重要だと思う。高温の条件として酸素が豊富にあることが挙げられるから、炎は出来るだけ独立して集中しすぎないのが良いだろう。従来の太いネジ加熱炎は鍋まで達して外周からの主ジェットに悪影響を及ぼしていたかもしれない。
今後、集中火焔をやめて各ジェットの独立垂直直噴も考えている。また、ヲヤヂが吐き出す炎を正面から眺めていると、当たり前だが、炎の構造は中空で酸素と接する面だけがチューブ状で輝いている。燃え切らない燃料は先送りされ、いずれ燃える。燃料が尽きたらそこが炎の先端となるわけだ。ならば炎が細ければ細いほど表面積比が高まり、短い炎で高熱を出すのではないか、炎の本数を増やせば炎の面積が増えるから一段と熱くなるだろうと思った。この考えに基づいたストーブはいずれ作成してみたい。

まだまだやることは残っていた。
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by ulgoods | 2005-11-11 08:56 | 燃える系

Titanium Flask / チタンのフラスコ

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これを山道具と呼んで良いのかは判らない..しかし、私は山へ酒を持っていく。

アルプスの少女ハイジにも出てくるセントバーナード犬が小さな樽を首から下げていることは世界的に有名であり、小さな子供でも知っているはずだ。わたし的には樽を首から下げていないセントバーナードは想像することが難しい。パトラッシュはどうだったかな..?空でも何でもいいから首から樽を下げていて欲しい。で、樽の中身は確かブランデー、知っている範囲ではこの樽酒は山の山岳遭難救助した際に朦朧とした客に気付け薬と飲ませるものだということになっている。いつも首から下げている犬は気の毒だが、この一例を見ても山には酒は必要だと断言して過言ではあるまい。

で、不幸にもウチには山に連れて行くセントバーナードがいない。あやつは山に樽を下げて持たせるために飼うにはちょいとサイズがビックなのだ。そんな私が山岳遭難救助のあかつきに飲ませる酒、あるいは自分が遭難した時に飲む酒、はたまたテントの中で遭難したい時に飲む酒の運搬は畢竟自力に頼らざるを得ない。となれば全ては軽量でなければならないのだから、当然のことながら道具選びの余地が生じる。たいへんだ、人様の命を救う為の酒である、あだやおろそかにして良いはずがない。

さて、その酒だが、セント君のように首から掛けていくのも一案であるが、首や肩が凝っては山への運搬にさしつかえ、救助の際に飲ませることが出来ない(いいかげんくどい!)。
ガラスの瓶では割れてしまう。ザックの中が酒浸しになるのは想像したくない。となれば金属、軽いとなればチタンにとどめを刺すはず。お山にはチタンのフラスコが最上だ。チタンは軽いだけではなく、安定しているため酒を侵さない。味を変えないと言われている。堅いので薄くでき、厚みによる内容量のロスが少ない。ということで一時期チタンのフラスコを探してYahooを頑張った次期がある。チタンモノを探す途中で酒をまろやかにすると言うピュータ(錫合金)、純銀、ステンレスなど、いろんなフラスコに捕まり、それぞれ何個か落札してしまった。人にあげたり、昭和初期の骨董で衛生的な問題から後悔して売り直したりで、結局、今は数個が手放さずに残っただけ。

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酒の小道具と言えばやはり英国で異論はないだろう。UKシェフィールド製ピュータフラスコはどう作るのかは不明だが(板から打ち出すんだろうな)、打ち出しボコボコがそれらしい。フラスコはこうでなくてはいけない。Made in United Kingdomではなく、Made in SHEFFIELDだ。やっぱり酒フラスコは英国製だよねを無言で表している。あるいいはフランスワイン並みに産地統制しているのか?タイ国でもピュータは盛んだが、デザインが仏塔みたいで私はイヤだ。同じ英国ピュータでも平べったく丸いやつもある。ますますどう作るのか?不思議。あと、ステンレス製だがカップ2個と皮のホルスタに収まったものがある。その他、人に差し上げるには恥ずかしいような安物が数個残ってるが、おそらく生涯出番はあるまい。

お山では
「飲んだら登るな、登るなら飲むな」
の自己戒律を律儀に守る私だ。おぼつかない足取りで歩くと何が起こるか判らない。少量であっても車の運転で許されていないのだから、同様の判断や反射を求められるお山で飲んではいけないことは明らかだ。と思っている。私の滑落死体からほのかな芳香が漂っていたのでは危険を冒してお迎えに来て呉れた人に申し訳ないのである。やっぱりな!と、舌打ちされてお仕舞い。
ではいつ飲むか?実は、朦朧とした遭難者のためにいつも持ち歩くほど私は重量の増加に鷹揚ではない。酒は一日の行動を終えた後、自分で挙げるささやかな慰労(酒自体より、そんな場所でフラスコからワイルドに飲む自分に陶酔するのかも?)、高ぶった精神のせいで寝付かれない時に意識を無くさせる睡眠薬、隣のテントがうるさい時は、とりあえず意識を無くさせることにしている..だいたいは逆に鋭敏になるのだが。希に一献差し上げる事もある。少量なれどわざわざ担ぎ上げた酒だ、先様に喜んでいただくことが出来て私も嬉しい。酒は担ぎ上げて損はない。

一升も担ぎ上げる猛者もいると思うが、私のはささやかだ。であるから、ある程度アルコール度数は高くなければならない。これに日本酒やワインでは
アルコール量/汗の量
の割が合わない。当然蒸留酒系を詰める。できれば年代物のマッカランを詰めたいのであるが、これは行く前にお家で飲んでしまうのでダメだ。スピリタスはアルコールストーブの燃料になりそうだが、水を飲まないとやっていられないので無駄が出る。チェイサーに使う水など、場所によっては酒以上に贅沢だ。結局はラッパ飲みでも火を噴かない程度のバーボン辺りに落ち着くことが多い。せっかく運んでも安物のまずい酒では悲しいから、そこそこのモノを買う。のだが、酒の力を借りなくとも寝られる夜もあるから意地汚く酒を全部空けることはない。第一、そんなことしたら救助が出来ないではないか。「そら、気付け薬だ!」とフラスコを開けて数滴しか出ない時、どんな作り笑顔を見せたらよいのか思案に困る。というわけで酒はいつも残るほどは持つ。残った酒は次回山行まで容器の中で眠る。だから酒に影響がないチタン容器は欠かせない。酒をまろやかにすると言うピュータでは少し溶け出しそうな気がしている。脳に悪そうだ。
しかしチタンとは言え、万が一でも山で腹や脳が痛くなっても困るので、結局は古い酒は入れ替えて持つことになる。流す時は良い匂いがするのだが..
1ヶ月前のチタン詰めターキー、勇気を出してテストしてみるか。
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by ulgoods | 2005-11-08 10:55 | 運搬系