カテゴリ:山行( 61 )

芦峅寺から

2009/02/21 - 2009/02/22
もう先週の話だが、いい加減書かないと気が抜けてしまう。

芦峅寺は立山山麓に位置し、立山信仰、曼荼羅図と共に山岳ガイド発祥の地としても有名な場所である。
今回は芦峅寺にある雄山神社を起点に、国立立山青少年自然の家を経由して雪の大辻山(1361m)を往復した。もちろん山岳ガイド付きである。ガイドは富山の村上さんにお願いした。氏は役目柄、立山青少年自然の家周辺のトレイルを熟知しているという。なんちゃって...ガイドを雇う程の余裕はないのでして、以前、富山の山に遊びに来ればと水を向けられたのを真に受けて押しかけた。京都に行ってもぶぶ漬けのお代りをする性格である。

池袋発夜行バス11時くらい発、悪天候もあり6時くらいに小雪舞う富山駅着。3列シートのゆったりバスなので充分寝た。駅のコンビニで買った弁当を使いながら待ち、7時過ぎにガイドの村上さんと駅の待合室で合流。夕食の具材を渡されたが、何故かパイナップルが丸ごとゴロリと...奥様がザックに放り込んでくれたらしいが、どーやらガイドの奥様は雪をかき分けて山を歩くということに関して正確なイメージを持っていらっしゃらないのかもしれない。と思いつつ、パイナップルをザックに放り込んだら良い匂いがした。まぁ、いいか。
七時半くらいの地電で千垣へ向かった。実は、富山に足を下ろしたのは初めてであったが、途中見る雪を被った田舎街の風景は何やら懐かしくもあり落ち着く。50分ほどで千垣駅着。ちょうど運良く駅前にいたバスに飛び乗り、雄山神社前までは楽をした。
雄山神社はぶっ太い御神木が林立する立派な神社である。せっかくだからと雪の朝の踏み跡のない境内を散策した。
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その後、宿坊が開いていたので上がらせてもらい、学芸員の方に解説を受けて歴史見学までしてしまった。立山曼荼羅の由来など予備知識がなかったのでためになった。土産に銀杏頂戴す。

神社近くの辻で除雪が切れていたのでスノーシューを着けて民家の裏手からハイキングを開始した。ら、初っぱなから深みに足を取られて悪戦苦闘する羽目になった。村上ガイドはここぞとばかりカメラ連写で手も貸してくれない。困ったガイドである...ガイド氏はカメラがすぐ出る場所に着けてあるので、こういうチャンス?にはめっぽう速い。スノーシューではまるとスノーシューが邪魔でなかなか抜けないので困る。しかも背中には冬用の重いザックなので尚更だ。雪まみれになって何とか脱出したが、気をつけて歩かないと、ぶざまな写真を山ほど提供する羽目になる。

この日の装備は..重い。年長のガイドさんより軽い荷では申し訳がないのである。晩飯会場にHex3、火器としてMSR WidnProにSnowpeakのイソブタ・プロパンガスの450缶、眠り系はWestern Mountaineering Versalite 3oz増量とExped DownMat7R、その他重い物としてはDBのスコップTransfer7、米と飯炊き釜など、ガイドに負けぬようKelty Tiogaのフレームバッグに詰めてきた。たぶん一番の重いのはザックだろう。しかし、時には懐かしい感じのするフレームザックを担ぎたくなるので仕方ない。
想定温度は-10度。
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足ごしらえは、MontrailのPrimaloft200g入り防寒靴。夏の間に安く買った物だが、Gore膜も入っており今回は充分。MLDのeVentゲーターを履いた。ズボンはAXESQUINのゴアウインドストッパ入り。防風耐水性があるから大概の冬の低山はタイツと合わせれば間に合う。数年前のICIのセールでお安く買ったが、使用頻度が高くお買い得だった。

気持ちの良い広葉樹の中を2時間ほど汗をかいて立山青少年自然の家(以後、立少と略す)近くの道路に出た。普通の人は立少まで車を使うが、我がガイドさんはそんな楽を許してくれない。生かさず殺さずと言うのが信条らしいが、負荷をかけて能力を引き出そうという有り難い教えと理解することにした。
ようやく舗装道に出て道端で小休止している時に立少から子供を満載したバスが2台下りてきたが、皆こちらを注目している。何と言ってもガイドの村上さんの短パン姿が注目の的であろう。今時こんな冬の盛り、東京でも短パンの子供は見ないのである。ましてや、50cmは積もった後の新雪を短パンにロングスパッツという、夏と変わらない格好で登ってくる。まったく元気なガイドさんである。というか長いのは雨具くらいしか持っていないようだ。上も半袖Tシャツにハードシェルを羽織っただけ。防寒ならぬ完璧な防汗対策をしている。
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立少では事前に昼飯を予約しておいたのだが、これが大当たりだった。昼飯代530円也でお安い。入り口でトレーを取り、サラダ、果物、副菜数種を自分で盛って、主食の部では飯、丼のも、カレー、ラーメン、蕎麦うどんを選ぶことができる。これらが全部お代りOK!何度でもOK!!、更にコーヒーもOK!立少の厨房さんも太っ腹なのである。最初はラーメンを取り、次に豚丼をいただき、再度ラーメンで〆た。だって..盛りが青少年サイズだから、食べ盛りの山歩き後の中年オヤジには寂しい感じだったんだもーん。さすがに居候気分になり三杯目はそっと出すが..使った器を持って入れてもらうのがルールだ。
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ガイド氏はいかなる場合でも野菜をたくさん食えと仰る。教えに従って野菜もむしゃむしゃ食った。さらに干物がうまかったので6匹も食ってしまった。村上さんも旨いとバリバリ食っている。見慣れない魚で面構えもワラスボ的で悪い。大方、富山湾の深海魚系と思ったが、ガイド氏魚の名前を聞いてきてくれた。ゲンゲという魚。富山では一般的な魚で味噌汁の具材で村上さんもよく食べるとのこと。後で調べたら幻魚とも書くらしく、これの干物で一杯やったら堪らんと思う。腰を据えてむしゃむしゃ食い尽くして担いできた焼酎をやりたいと思ったが、さすがにそこは青少年自然の家であるから憚られるべきと、ゲンゲに後ろ髪を引かれて食堂を後にした。
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青少年自然の家、独立行政法人国立青少年教育振興機構が運営する研修拠点である。受け容れる研修内容の幅は広いらしいので、青少年と思う人、あるいは更正したい不良中年でも事前に申し込めば宿泊なども使えるかもしれない。村上ガイドに聞いたのだが、例えば青少年を含む家族連れでも教育的プランを含むならOKじゃないかとのことだった。食堂で会ったが、飛び込みの昼食だけでも腹が減った人を追い返すことはない模様。単なる宿代わりはダメらしいが、名目が付くならいろいろと相談してみると良いと思った。施設はノルディックスキーとかの貸し出しもやっていてコースも圧雪されており若者達も利用していたり、周辺の山と林道を立少が管理しているので幕営についても予め相談すると許可が出るかもしれないとか耳寄りな話もあり。自由に張れるなら最高だ!また、施設内には登頂記念の写真パネルがあって立山方向へも小学生が登っている写真が多数あったから、立山の途中にも使える。良い飯を食わせてもらった礼じゃないが、こういう施設は上手く使えればかなりお得だね。国の施設だが(と言うのも変だが)、事務所の方には電話口から親切に応対していただいた。この近くに幕営して三食いただきましょうぜ!と村上さんに言ったくらい(笑

飯を食っている間に城前峠までの林道は圧雪が終わったらしく、圧雪後のきれいな道を歩くことができた。圧雪と言ってもツボ足ではズッポリはまる。積雪は少ないらしいが、1m弱くらいか。峠からは富山の平野を一望でき、向こうには富山湾と能登半島まで良い眺めだった。
峠から向こうは踏み跡がない前人未踏小の雪の林道に入った。MSR DENALI EVO ASCENTにフローテーションテイルを付けていたのだが、荷と体と大量に食った昼飯が重く、膝下辺りまで沈む。ガイド氏と先頭を交代しながら、今宵のベースキャンプ予定地まで黙々とトレースを掘って歩いていった。

昼飯の食い過ぎで時間をロスしたので、目的の林道終点辺りには届かずに16時を迎えた。ちょうどライオンズの広場と呼ばれる広い平坦地に出たので、ここを幕営地とする。村上さんはAKTO、私はHEX3を張る。湿雪なので踏み固めればMSRブリザードステイクがよく効いた。HEX3内の雪はポールの部分は大きく残してテーブとし、後は50cm程掘り下げて今宵の宴会場を整えた。
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日が落ちて、向かいのスキー場の照明が美しかった。

晩飯だが、飯を炊いて豚汁の具材を切り分け...普通は切り分けてペミカンにして持つと思うが、今回は教育的指導が入っているので?具材は丸ごと、調理は本格的な手順を踏むことになった。大根、里芋なども丁寧に剥く。更に副食として酢蛸、それも茹でたタコ足と酢とキュウリが別々で...吹雪だったら絶対に諦めるような料理の時間になった。
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その夜は大量に飯を食って、少し焼酎を飲んで寝た。BVLの実験もしたかったが、面倒なので止めた。
フィンランド人のトレランの人からRab Superlight Bivyの使い勝手を聞かれていたので持参したが、着替えずに寝たので、やはり結露した。テント内は最低で-6度まで下がったが、氷点下ではeVentでも何でも大して変わらない。
UCOのキャンドルランタンを灯したが、蜜蝋のロウソクはパラフィンの物に比べて格段に保ちが良い。朝まで灯してまだ余裕だった。

翌朝、ガイド氏に起こされ行動開始。水を作り、夕べの残りの飯をおじやで食ってコーヒーを飲む。雪は黄砂が混じって色づいていたが、ま、腹痛を起こすこともあるまい。湯をテルモスに詰め、サブザックを持ってきていなかったのでスノーシューのケースに諸々詰めて肩から提げて出発した。荷が軽いのと、山の中での取り回しを考えてフローテーションテイルは外してある。
登山口の取り付きまでも踏み跡がないので、ラッセルが続いた。ようやく登山口から上がるが、踏み跡のない山はルートを自由に選べるので気持ちがよい。時より、偽物の積雪があり、ズッポリと穴に落ちる。やはりガイド氏は写真を撮るだけで助けてくれない...
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大辻山へは赤テープと全体を10等分した道標が整備されていて迷うことはない。スノーシューをアッセントモードにして登ると脹ら脛の張りも緩和されて登りやすい。ハイヒールで坂道を登るのってこんな気分なのかしら?
途中、ワカンの地元の人が追いついてきた。概ね我々のトレースを登ってきたらしくまだ元気なので、先に行ってもらって後を歩かせてもらった。時々はまっていたようだが、もう少し雪が締まればワカンの方が歩きやすいだろう。
ガイド氏から少し遅れて山頂に着いた。山頂からは美女木平に連なって立山が一望でき、室堂のバスターミナルも見える。反対側には富山湾が一望できるし、眺めの良い山に連れてきてもらったと嬉しい。山頂で写真を撮ってもらったが、村上氏の本に出ていたガキとキャンプのポーズを真似てポケットに手を突っ込んで胸を反らせて並んで納まった。
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防寒着はBMWのCocoon PRO60 Parka、Pertex Enduranceを使っていて濡れに強く、軽い。

下りは、雪もだいぶ柔らかになり、DENALI EVO ASCENTは固いので、がに股気味にガシガシと下ることができる。村上さんのライトニングは少し長いのと柔いので苦労していたようだ。
そう言えば、下りの途中ですれ違った青年に声を掛けられた。ブログやってないですか...驚き!こんなと言っては失礼だが、ローカル色の濃い低山の人が少ない積雪期で面が割れてしまうとは。ベースキャンプのHEX3とかAKTOなどの変わった奴らが入山していることはバレていたわけで、もうお山では品行方正にしていないとダメですね。って、品行方正だから問題ないけど。
ベースキャンプまで戻ってさっさと撤収し、パイナップルを切り分けて食った。よく冷えていて旨い。担いできた甲斐があった。たぶん、これを予想して入れてくれた奥様に感謝である。
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パイナップル後、、立少まで昨日付けたトレースを戻り、コーラを飲んでから、バスの時間が押しているからと駆け足で雄山神社まで下りた。が、これはガイド氏の間違い..時刻表にマークが付いていて、バスは学校が休みの日はやっていないのであって、結局バスは来ず、走り損であった。ま、歩くの大好きでこんな所まで来ているのだから文句を言わずに千垣駅まで歩いた。2kmくらいか。
帰りはいろいろ珍道中ではあったが、何とか地電で富山まで戻り、駅前の銭湯に入った。破風作りの立派な屋根の昔ながらの銭湯である。中の絵は定番の富士山ではなかった。どーやら立山でもない感じ。絵師の人の頭の中にあったのは雪を頂くSIERRAだったのかもしれないと思いながら熱い湯に浸かって汗を流した。
村上氏の紹介で旨い晩飯を食って酒も飲んでバスで帰投。新宿着は翌日の6時くらい。4列シートで窮屈であったが少しは寝たようだ。

富山は良いなぁ。
幻魚の干物を取り寄せないと...


楽しい雪山歩きだった。
ぼやぼやしてると冬も終わるから→


更新サボってました..まとめてClick!Click!

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by ulgoods | 2009-03-02 12:50 | 山行

橇敗退

橇敗退

喜々としてパーツを取り付けた橇を曳いてきた。
場所は馴染みの北八ツ、ゴンドラ駅から。新しいスタッドレスの皮剥きも兼ねて空いた中央道を走った。なんせ、デカい橇をい使い、担ぎきれない程の荷物を運ぶためのテストであるから、普段馴染みの電車バスでは荷物が多すぎて移動できない。この先、どんな難関が待ち構えているのか予想はできなかった。

第一の難関は...気持ちよく走っていたらバックミラーに赤色回転灯が...orzやられた!車載レーダー感知器は無反応だったが...一縷の望みを託して減速し走行車線に戻り何事もなかったように走行してみた。赤色灯が併走し、おじさんがちょっと怖い目つきで睨みやがる。観念して誘導を待ったが(初めてじゃないしね)、少し前方に出てフロントのナンバーを確認する視線を投げた後、屋根の赤色灯が引っ込み、そのまま通過していった。ん!助かったのか?その後ゆるゆる走り、でもトンネルの中で流れに任せて追い抜いてしまい、そのうち姿も見えなくなったので流れに乗ってそれなりに走った。

第二の関門は下のゴンドラ乗り場であった。もぎりのお兄さん曰く、橇は禁制の品物と言うことだった。そりゃ、プラ橇でゴンドラ駅から滑り降りられたら危険きわまりない。ゲレンデを曳いて登るのもダメという。ああ、乗る前に敗退かぁぁぁ...
ということにならないように、事前に電話で荷物の持ち込みについて問い合わせておいたのだが、橇自体ダメよということは無かったので、XXXさんに確認済みでと、その旨を事務所にお伝えし、滑り降りるのではなく上で橇を曳いて楽しむのだと言うことを力説して、この関門も通過した。

第三の関門..もう、関門だらけだが..乗るときも大変だった。曳くつもりで普段持たないような豪華装備を詰め込んだ主に宿泊用のデカいザックの他に、行動中必要になるモノを詰めた軽いザック、スノーシューのかばん、橇、橇のポールと山ほどの道具、ボーダーやスキーヤーに混じりながらの異端のハイカーは大汗かきつつ両手背中を駆使して何とか乗り込んだのであった。

上は-9℃くらいか、まぁまぁ冷えていた。
さまざまな関門を通り抜けてやっと曳くことができると思ったら感無量である。感極まり、坪庭で休憩中の方に一枚お願いした。
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足元は昨年同様、ズック靴(Montrail Namuche)の上にネオプレーンの防寒とした。曳くなら足首のサポートも不要なので、次回は短靴(HardRock)にしようと思う。担いでいるのはGolite Vision Pack、背面にフレームシートが入っているので緩い荷物の時も便利、久々のお声掛かりだ。

とりあえず、雨池峠を通過するのが目標。その後、双子池か白駒池へ向かって天泊の予定だ。
曳いた感じは結構いい感じ。平地ではほとんど抵抗を感じない。そればかりか、慣性が付いた橇に腰を押される感じで歩が捗る。下りは楽の一言。少しもたれるように歩くと良い。上りはさすがに抵抗を感じるが荷物の重量を考えると背負う比ではない。上りも下りも腰で曳く感じ。
サクッと縞枯小屋を通過し、雨池への分岐も通過し、意気揚々とフカフカ雪が残る雨池峠にさしかかった。
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少し歩いての経験だが、曲がるときは橇を追従させるために、腰をちょいとひねって橇の先頭を逆方向に向けてやると追従の度合いが宜しいことが分かった。雨池峠の下りもいよいよ急になり、木々を縫うように忙しく腰をひねっていた時だ、橇が横転した。あらら、こっちは橇の前方1.5m、両者の間はカーボンポールであるから、手が届かない。ポールを捻って立て直そうとしたが、結局、これが良くなかったようだ。仕方なくハーネスを外して橇をなおして、ハーネスを着けて下るもすぐに横転する。???と思って橇を見てみると、ああやっぱりここか...取り付け部が破断しており、捻れ方向に力には踏ん張りが利かない状態になっていた。
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どう抜けるか、第四の関門が待ち構えていた。

とりあえず、荷物固定のストラップを使って引き千切れることだけは阻止したが、雪の斜面で、今後どうしたものかと考えた。
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こうなったら橇もろとも担いで歩いて峠を下りてキャンプを張ることはできるだろうが、帰りが大変だ。準備不備で第一の目標が失われたのだから、山より道具としては撤退して修正して再試行すべきだろう。そうと決まれば、普段持ち込まないような豪華食材や、温い寝袋での快適キャンプに未練はない。橇の割れが悔しくて眠れないはずだ...しっぽを巻いて逃げることにする。
橇の割れがひどくならないように反転させ、カーブの通過も人が轍を回り込むように歩いて峠を登り、雨池分岐にたどり着いた。ここまでくれば橇が割れようと背負って帰るにしろ何とかなるはずだ。まだ日も高い。無駄に時間はあるから縞枯の小屋でコーヒーでも飲もうか。

ちわーーと入った小屋の中はいつもながら暗く、窓からはスノーモビルに並べて停めた橇がよく見える。ストーブ脇に座り安堵したとき、小屋のお兄さんに声を掛けられた。Blogの人?若者は小屋に登る前に橇の記事を読んでくれていたらしい。わはは、敗退の事実がバレてしまった。尤も、彼の口から下界に漏れるのは春の頃だろうと言うことであったが...彼は一冬籠もってテレマーク三昧の日々を送るとのこと、うらやましい。

橇の割れだが、もともと懸念された強度不足が見た目通りに不足だったことに尽きよう。既に轍ができている道では橇は轍に沿って進しかなく、橇の進行が強制され、その度に接合部に捻れ、剪断、伸び圧縮と、あらゆる力が繰り返し作業し、千切れてしまったのだ。今思えば補強を充分に行うべきだったと悔やまれる。なんせ、時間がなかったのでヤッツケでなんて言うのはお山では言い訳にならない。早めに壊れて良かったのだ。
次回、頑張る!
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準備不足を山は見逃さない...
腰を据えてやらないとね、捻ってる場合じゃなかった。
続きを読んでみい人がいて、励ましがあるとすればここをClickで→






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by ulgoods | 2008-12-28 12:32 | 山行

奥多摩狼平

奥多摩狼平

富山からおいでの村上さん(リンク参照)と奥多摩の山を歩いた。
コースはいろいろ考えたのだが、結局私の未踏ルートということで、雲取山から飛龍山に向かう道を選んでいただいたので、途中で件の狼平を通過することができた。狼平とは名前も素敵だが、地図で見ると等高線間隔も広く、ゆるコンター萌えの私としては是非とも見ておきたい場所だったのでありがたい。

雲取山頂から三条ダルミへは、大きく下げられるので高度が勿体ないと思いながらも、その後は道が気持ちよいから許す、と思える山道を上り基調で歩く。この辺の道は稜線の少し下の南面に付けられれおり、この季節は明るく暖かくて気持ちよい。たぶん、冬でも乾いているだろう。そんな道を機嫌良く進んでいくと、やがて狼平に出た。
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さすがに狼は居なかったが、平らな地形、さほど広くはないが、ちょっとした鞍部の一面が苔で被われた広場になっており、明らかに周囲とは様相を異にしている不思議空間だった。一面の苔はフカフカして気持ちよさげだけど、踏み込んで植生を痛めても山と時間に申し訳ないので、縁から眺めるだけにするのが吉だ。縁を回り込んで向こう側に出ると裸地があった。休憩にはよいかもしれないが、傾斜があるので天場には向かない。ここは、そっとしておく場所だ。

奥多摩には他にも狼の字がつく地名があるようで、やはりその昔には狼が住んでいたのだろうな。この苔むした広場で親子の狼がじゃれ合って、満月の夜はウオーーと鳴くのが聞こえたのかもしれない。


地名用語語源辞典にあるらしいが、
〔狼、大上、大神〕
①オホ(接頭語)・カミ(上)で、「上の方。高所」を指す地名か。
②オホ(接頭語)・カミ(神)で、「神社のいます地」ほどの意か。
③イヌ科の獣の狼にちなむ地名もあるか。

ULG所感
奥多摩にはオオカミ信仰があったらしいので、③かもしれないが、飛龍山の祠が近いので、②の意味+①の意味の気もする。②の意味で人の踏み込みを避けるため狼の字を充てたのかも..など、結局は分からないが、特別な場所である予感はした。



さて、村上さんとの山歩きだが、装備的には軽量級と重量級の対比な、それぞれのスタイルで歩いた。傍目には手荷物だけの気楽な客と、一切合切を背負ったガイドさんに見えたかもしれない(笑
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村上さんは肩の力が抜けて良い感じ。
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歩こぉ♪歩こぉ♪わたしは元気ぃー♪

日も落ちてザックを降ろすと村上さんの80Lのデカザックからぞろぞろ出てくる食料と装備の数々、山と言わず野と言わず生活を始めてしまう力強さがあった。乾燥野菜を大量に投入して飯を炊き、更に炒めて胃の腑に納める。食用油のカロリーで暖かく眠られるだろう。たくさん食ってどこまでも歩く人。私は軽量派に転向する前は村上さんの本を頼りに道具を探して買い集めていたので、その筆者さんのそんなスタイルを間近に見て過ごせたのは嬉しかった。
年齢的には私がハナ垂れ小僧の頃には既に詰め襟を着ていた勘定なのだが、切り詰めた頼りない軽量装備でやっと普段の運動不足と不摂生を補っている私に比べ、長距離モードに入った村上さんの踏破力はデカ重いザックを担いでなお馬力がある。ストックを使った四輪駆動でガシガシ歩く。更に歯を矯正して男ぶりも上がっているから私など太刀打ちできないのである。

村上さんがフライパンで豪勢に飯を炒めている間、Possum Downの靴下で乾物入りα米の袋飯を蒸らす。やはり、詫び寂びの感が強い...
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そんな飯でも食えるとなると嬉しくて、つい頬がゆるんでいることが判明した写真である。寝る前に睡眠用靴下を暖めておくのは悪くない、よね...靴下から湯気が出ているが、幸いなことに芳香成分は検出されなかった。
村上さんの豪華な飯。米だけで1.5合ある。
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野菜とソーセージでオイスターソースが味の決め手だ。

早起きな村上さんに(やさしく)起こしていただき、久々に見事な朝焼けを見た。雲海の下の人たちには申し訳ないが、空気が澄んで富士もよく見えていた。
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この夜は暖かく、最低気温は2.5度ほど、NunatakのSkaha Plus EPIC仕様のダウンセーターととモンベル化繊パンツを身につけ、袋もNunatak Arc Ghost Quiltをかぶったが、暑いくらいで夜中にQuiltをはね除けて寝ていた。

起床の声を掛けて貰ったときに、村上さんが自分で焼いて担ぎ上げてきた、しっかり中身が詰まったパンを暖め、チーズまで付いた朝食を配給していただいた。自分で担いでいないので反則なのだがね..あのパンは率直に旨かったなぁ。感謝!
写真は私のTerra Nova Laser Photonと村上さんのAkto。同じ形なので対比させたら面白かろと、私も久々にテントを担いだ。Photonは800gを切るが、軽量化のため床材も薄くてフライと同じ素材はツルツル滑り、地面に傾斜あるとすぐに重力に捕まって隅っこに寄せられるのが難点と判明した。いずれ、シリコン材で滑り止めを描くことにする。

帰りに湯に寄った。バスの時刻まで30分なので、私は間に合う自信がないので少し離れた売店でビールを飲んでいたが、硬い意志で湯に向かった村上さん、そろそろ出るかと時間も押した頃からチェックしていたが一向に見えない。見捨てて帰るか、待って一緒にタクるか悩んだが、ギリギリに電話を鳴らしてみたらナント既にバス停で待っているとのこと。入って5分で出てきたらしい。カラスの上をいく。なかなか素早いので驚いた。私は、メロスのように悩んで損をした。


あんなデカいザックでいっぱい担いで悠々と山の上で暮らしてみるのも悪くないな→

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by ulgoods | 2008-11-18 10:52 | 山行

たばでんでえろ~飛龍山

■山選び
どこか、人に話してもインパクトのある山、アルプス系とか行こうと思ったが、紅葉のシーズンのこと、土日であれば尚更に帰りの高速や山道での混雑が面倒で、どうにも対象が絞りきれないでいた。いよいよ金曜になったが、まだパッキングに手を付けられない。超軽量ハイキングでは、行く場所の状態や気象に応じて装備の安全係数を最適化して無駄を省くというのがミソなので、最軽量を追求するには行き場所が決まらなければ装備に手を付けられないという側面がある。ま、そこが面白いのだが...
金曜の時計も煮詰まってきた時、そうか、混雑が嫌なんだと自分で納得でき、インパクトな山を辞退し、静かであろう山を目指すことにした。静かということは、マイナーで、この時期ならまだ紅葉の盛りを迎えていない山ということになる。車は混むのが嫌だから電車として、ついでに電車賃も安い方がよいから奥多摩に目星を付けるのは当然の流れだ。で、奥多摩に以前から気になっていた尾根がある。そこは尾根の上の方で等高線の間隔が広いなだらかな地形で、地名的にもそんなことを思わせる場所、丹波天平という場所だ。読み方は、「たばでんでえろ」と江戸風なのもよろしい。尾根の終点は飛龍山であり、標高的には東京都最高峰の雲取山よりもまだ高い。私には充分である。
行き場所が決まれば、この時期の最低気温としてゼロ度程度を想定し、降雨の心配も少ない予報なのでサクサクと装備が決まる。今回は、前回同様にアライのシングルツェルトのテストを行うことにした。寝具系はモンベルの薄手のダウン上下を着込み、NunatakのArc Ghostという羽毛キルトを上に重ねてみよう。中と外で化繊+ダウン、化繊+化線、ダウン+化繊、ダウン+ダウンの組み合わせで最適な物を見いだしていきたい一環でもある。ザックは使っていなかったGossamer GearのMurmurを使おう。背面にマットを挟み込んで骨格とクッションを得る脊椎タイプのペラペラなザックだ。背面のマットは取り外しが容易なので、いままでの巻マットによる内骨格(生物学的には外骨格と呼ぶのだろうが、インナーフレームザックの語感とは違和感がある)と違って休みたい場所でマットを取り出して休むことができるだろう。のんびり山行に便利と思う。飯はα米に乾物を、朝食は菓子パンで、腹持ちや調理時間の短縮と水の節約あたりも確認したいなどなど、低山では低山なりの課題を見つけてパッキングを行った。
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水食料抜きで4.6kg程度であった。行動中はペットボトルのポカリを飲む。真水は1Lの平型ペットボトルを使った。軽くて丈夫でタダ。ザックの背面のメッシュに折りたたんだリッジレストが差し込んであり、骨格兼クッションとして機能している。

■行き
丹波天平に登る道は何本かあるが、今回は親川から入る最も距離のあるコースを選んだ。というのも..ホリデー快速1号に乗り損なったので数少ない丹波行きのバスに乗れず、仕方なく1時間後のバスで直近の鴨沢西からお祭の方向に歩いて入ることになり、一番近い取り付きが親川である。
おや、登山道入り口の看板はサヲウラ峠となっていた。地図では丹波天平の向こうの峠はサオラ峠となっているが、地元的にはサヲウラが正しいのだろうな。サオラではよく分からないがサヲウラであれば竿裏とか、棹裏であろうか、そんな文字も字も当てはめることができよう。帰ってからwebで調べると竿裏峠であったらしい。
サヲウラへ向かう道であるが、奥多摩の例に漏れず、いきなりの急登で始まる。道は整備されていて歩きやすい。その道々に廃屋がある。電柱もあって電気が引かれていたようで、急登を40分以上登ってもまだ廃屋があったには少し驚きである。こういう場所にも人は住んでいたのか。中に雑然と散乱する道具を見ると昭和の様式である。そう古くない時まではここに人の営みがあったのだ..どんな生業であったのだろう?産業構造が変化して住む必然がなくなって下りたのだろうが、人が住んでいた頃は朝な夕なに炊ぎの煙が何本も立ち上がって里から見えていたのだろうな..など考えながら歩かされる道である。人が住んでいたからには水もある。最後の廃屋の手前には生活に十分な量の水が引かれ、いまも流れていた。
最後の廃屋を過ぎて、ひと登りしすると、植生が杉から広葉樹に変わり、天平(でんでえろ)な地形が現れてきた。更に数分行くと、なんということだろう、そこには広大な平地があり、栗、ナラ、唐松の風通しの良い林が広がっているではないか。地図を見て予想したとおりの平らかな場所だ。
このあたりの地名や廃村のことは
でんでえろの峠 / サオラ峠(サヲウラ峠・竿裏峠・棹浦峠)・今川峠・越ダワ(越ザワ?)に詳しい。
さっそく、マットを外して敷いて寝転がって休んだ。なるほど、この方式は便利で快適だ。
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ちょっと小道具を使って自己陶酔写真を撮ろうと思ったが、仕掛けが丸見えである..
暫く休んで今夜はここでも良いかなとか思ったが、まだ先がどうなっているか知りたくて、尻の上に乗っている重い腰を上げることにした。夢のような平らな山道を惜しみながら進んで苦もなく件のサヲウラ峠に出た。直進すれば飛龍までのミサカ尾根、右に行けば三条の湯、左に下れば丹波の村である。今回はミサカ尾根で飛龍に向かうことにした。ミサカ尾根は笹っぽい尾根であるが、広く刈られていて歩く支障にはならない。ちょっと雰囲気が悪くなったので、ときより獣避けにホーホーと声を上げながら歩いた。
大ダワ尾根もそうであるが、この辺の尾根は急な出だしの取り付きの後に緩い天平地形が広がり、その後に少し急な尾根が続いて、やがて尾根の終端付近は岩が露出する急登となる構造が共通である。今回も最後は日没近くなって急峻な岩場を登らされた。
やばい、平地がない..ミサカ尾根筋には小屋などないので、どこか平地を見つけて寝なければならない。目星としては飛龍山の神社マーク。さすがに少しは平地があるだろうと思っていたが、時間的には日没後の残業を強いられる。やれやれ、と思っていたが、飛龍山の前にある前飛龍の直前の露岩の基部に二畳ほどの平坦地を見つけた。周りは切り立っているが、よほど寝相が悪くなければ転落もしまい。17時直前、既に日は向こうの尾根に近くなり、自分のいる尾根の影が谷を被っている。山肌はまだ全般的に緑だが、ぽつんぽつんと赤や黄色の点描が見られ、紅葉が始まっている様子。
今日はここまで。結構歩いた。

■露営
Tyvekを敷き、シングルツェルトを張った。地面は程良く風化したマサ土であり、ちゃんとペグが効いたのは嬉しかった。自然にできた場所だろうか?人の手が入っている気がする。まぁよい。ありがたい。
シングルツェルトはフットプリントの面積がBivy並に小さく、ガイラインも2本だけなので、こんな場所でも苦もなく張れる。今回は立木に後ろのガイラインを取ることができて助かった。フロントはがっちりとエクスカリバー・ペグを打ち込んで張った。四隅はしっかり効いているから、ツェルトから出ないかぎりは転落はしないはず。
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飯は、予め混ぜてきた乾物入りα米を食った。α米100gに松茸のお吸い物、ヒジキ、板麩、代用肉を放り込んで来た。それらをお湯で戻して、削り節と醤油を掛けて食った。乾物混ぜ飯は歯触りもあり、量も増えて食い応えがある。胃の感触からすると朝まで腹持ちしたようだ。
今回は、いつも持ってくるアストロシートによる保温バッグを忘れてきてしまった。何かで保温しないと冷えた飯を食う羽目になる。何か..と見た結果、着替えの靴下で代用することにした。靴下に具の入った飯袋を押し込んで湯を入れて放置していたら飯が膨らんで、妙に暖かいし堅さも人肌、重量感もあって、なんか誰かの取れたばかりの足を持っているような、変な感触であった。
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カップ容積の関係で湯は一度に200ccしか沸かせない。一度湯を入れて、再度湯を沸かして追加する。乾物が多いから湯は多めに入れないと戻らない。今回もストーブは固形燃料。
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■夜の過ごし
ライトを消して見上げると既に満天の星であった。まだ6時くらいなんだが、山は夜が早くて星が近い。
飯も食ったし、日も落ちたし、ツェルトに潜り込んで寝ることにした。いつもながらラジオを鳴らし、チタンのフラスコから少しバーボンを飲んで、ブラスのキャンドルランタンを外に置いてヘッドライトを消した。外は風が出たがガラスホヤのキャンドルランタンは消えることなく、戸外から柔らかな光を投げかける。頼りない炎だが意外に明るい。
夜になり気温も下がるとシングルツェルトは結露した。風通しの良い入り口あたりは換気されるのでよいが、胸から向こうはビッシリである。足元に換気口を開けたが、もっとドアを開いて風を通さないとダメなんだろうな...これが、もっと透湿素材でできていたら素敵なんだが。壁に触れた羽毛キルトは少し湿った。結露っぽい屋根の時は化繊キルトの組み合わせにすべきだと確信した。たぶん、タープを張ってeVentなどの透湿が優秀な素材のBivyザックと合わせるなら羽毛でも良いだろう。ま、非常用のツェルトなのだ、一晩過ごせればヨシとせねばなるまい。
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温度計によるとこの夜の最低気温は2.6℃、まぁまぁ冷えたようだが、ゼロ度用のキルトに羽毛のインナーパンツとフード付きの薄手のジャケットを着ていたので、汗が乾きだしてからは温かかった。
到着から下着を着替えずにウインドジャケットとして羽毛ジャケットの上にブリーズドライテックのジャケットを着て、そのままキルトに入ったので、なかなか熱が羽毛キルトに伝わらずロフトが出ない感じだし、体も濡れていたので少し冷えた。着いてすぐに着替えればいいのだが、いつも着たまま乾燥させるので最初は冷える。ま、飯を食った後だから熱は生産するだろう。たぶん、レインジャケットの下は蒸れて中の羽毛ジャケットも濡れて潰れて全滅だと思い、胸のジッパーを開けて、脇の下のPitZipも全開にしたら、もわっと湿った暖かな蒸気が出てきて、その後はキルトにも熱が回って暖かくなり、中も乾いていった。羽毛の上に膜モノのジャケットを着たまま寝てはいけないな。羽毛は体に近い場所に置いて、外側は薄くても良いから化繊の袋にするのが総合的に高得点だろう。

■翌日
日差しで目が覚めたのは6時過ぎだった。少し風が強い。8時くらいに寝床を抜けて周りを見回した。おお、冠雪した富士が見える。下の谷はまだモヤの中だ。日差しがあるので急に温度が上がって、ぽかぽかした良い朝を迎えた。
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湯を沸かしてコーヒーと菓子パンで朝食とした。朝から甘い物が食える体質なので、これは手間が掛からずに良い。
食事を済ませて、キルトを干してから撤収した。夜と朝で水の消費は800cc切るくらい。
さて、撤収済んで、飛龍に向かった。前飛龍に登って初めて飛龍が見える。一度下って登り返すのか。飛龍の山頂は樹木があって眺望はイマイチな感じだし、行って休んで戻って2時間くらい、2時間あれば天平で寝そべって単行本でも読んでいる方が幸せかもしれない。早めに下りて下の温泉で一汗流すのも旅としては完結性が高いなと思ったら、飛龍に登る気がしなくなり、踵を返して下りに掛かった。あの気持ちよい道をもう一度ゆっくり歩きたい。飛龍山頂を踏むより、あの山道を歩く方が幸福そうだ。というわけで、名残惜しく気持ちの良い山道を下って、丹波天平で寝転んで本を読んで、来た道とは違う山道で「めのこいの湯」へ下りて、一風呂浴びて、バスで奥多摩に戻って、電車を数本見送りながら食堂でヤマメの燻製で熱燗をやり、皆まだアドレナリンが引かずに、更に少しアルコールが入って騒々しい人が多い電車で奥多摩を離れて帰ってきた。
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下りてきて眺めた丹波の土地は山があり、川があり、畑があり林があり..のどかで、のんびり気持ち良さそうな里に思えた。
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■メモ
・Murmurだが、背面のマットを固定するメッシュ部分が色落ちしてズボンに黒い色が付いた。Mariposa時代にBPLで色落ちが指摘されてその後改善したと聞いていたが、まだ付くようだ。一度ブラシなどで洗った方が良いだろう。
・ザックの出来は悪くない。MLDと違ってベルト類がしっかりしているのが良い。マット取り外し式は休憩時にすぐにマットが使えて便利だった。また、撤収時など、マット丸めの内骨格だとマットを最初に入れないと荷物を放り込めずマットを有効に利用できないが、この方式ならマットは最後でよいから、そう言う面でも便利だ。
・靴下の保温袋は使える。今後はアストロシートの保温袋は持たない。
・α米+乾物飯は、食感良く、飽きずに沢山食べられて良い。腹持ちもする。
・寝具系はダウンの外側に化繊キルトにするのが良いようだ。冬期に向かって結露対策にも有利と思う。そろそろ冬用の高ロフトなキルトを縫うかな。ドル安も落ち着いた動きで決済レートも下がっただろうから素材を発注しないと。
・シングルツェルトは噂通り結露だった。でもあの形状は捨てがたい。ドア全開で寝るくらいな覚悟か、透湿素材で作り直すか...本来なら足元に換気口は設けたくない。足元が冷えると元々温度が上がりにくいくせに発汗しているから結露する。
・今回は水は3Lでおつりが来た。
・未だ食料を持ちすぎる。ナッツバーの類で頑張れば2日くらいは彷徨えるくらいは残った。が、こんなものかな。ここをあまり削っても良くないな。
・出会った獣は、鹿、猿、リス。リスは忙しそうだった。
・栗の上にリッジレストを直接敷いてはいけない。イガが通るし、古いイガは張り付いて、イガを落としても針が残る..面倒くさがらずに先にTyvekを敷くべき。

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奥多摩の深い所を探そう...

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by ulgoods | 2008-10-21 01:21 | 山行

二日目

目が覚めたのは5:30位だったと思う。既に周りは起きていたので、その物音で目を覚ましたのだろう。実によく寝て爽快だ。幸せなのでQuiltをかぶり直して少しの間微睡を楽しんだ。
そのうち、沢を詰めてきたお隣さんが朝食を始めた。メニューは菓子パンと湯を沸かしてコーヒか..朝飯に菓子パンは良い考えだな。押されても中身がはみ出ない定番品を探して真似しよう。さて、私も何か食うかと上半身を起こしたが、昨夜のヒジキと板麩入りアルファ米が意外に腹持ちが良く、空腹ではないのでトレールミックスを一掴みとコーヒーで済ませた。コーヒーはJAVA Juiceを水で薄めて飲んだ。別に熱による澱粉のアルファ化の必要がないし、体も冷えていないから湯を沸かす必要もない。ま、固形燃料を屋外で使うのが朝一番は面倒だったこともある。カフェインを摂取して、これで屋外へ出てニコチンを充填すれば必然的に朝のお勤めが始まるはずだ。外は相変わらず曇っていた。約束が違うじゃないかと思ったが、まだ時間も早いから山の天気はこんなもんだろう。
片付けをして掃除をして挨拶をして小屋を出たのが6:30、今日は長丁場になる予定だ。昨日の雨で笹が濡れているから上下とも雨具を着込んだ。靴も濡れているが、Gore靴下を履いているので問題ない。
出だしからこんな道。
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5m行くと笹が覆い被さって前が見えない道になる。

■雨具
当初はシェルターを兼ねてSixMoon DesignesのGatewoodCapeIntegralDesignsのSilPonchoのポンチョ系とモンベルのレインチャプスで良いかと思ったが、普通の雨具にして正解だった。というのも..濡れた笹を跨いだりすると、レインチャプスでは保護されない股の部分を朝露の葉が通過して濡れてしまう。ポンチョも枝に引っかけてしまいそうだ。天気が良くなって朝露も乾いてくるが、上半身の雨具を先に脱ぎ、下半身が脱げるようになるのは10時くらいだった。今回使ったのはモンベルUSAのピークシェルジャケットで、これは脇腹から腕にかけて大きくPitZipが付いているので全快にすると換気が良い。生地の透湿性も優秀だし、胸元も大きく開けるので、結果としてポンチョと同程度の換気ではなかろうかと思う。ああ、雨具のズボンはチャックを開けて歩く。オヤジっぽいが、換気優先。

■八瀬森山荘へ 6:33-9:57
松川温泉への分岐を通過して7:22に大深山1541mに着いた。この頃になるとやっと空も晴れ、岩手山まで良く見通すことができた。裏側から岩手山を見るのは初めてだが結構不細工。眼下に八幡平樹海ラインがすーっと伸びている。単車のようなエンジン音の車が1台、気持ちよさそうに道を登っていった。この時期の早朝に屋根の開く車で走ったら爽快であろう。
このころ、反対側からの二人組とすれ違った。聞くと、乳頭温泉から入り北上し昨夜は八瀬森山荘泊とのこと。笹藪の中で急に出会うので心臓に良くない。地元の人のようであるので、田代平までの道を聞くと、概ねこんな調子だが次第に良くなる傾向だと教えてくれた。ただ一カ所、相当悪いところがあるらしい。昭文社の地図にも出ている曲崎山のことだろう。やれやれである。
しばらく歩いていたときのこと、突然、背後に気配を感じて振向いた。黒いものが見える。ええええっと思ったが、黒いトレパンに赤いヨットパーカー、普段着系のお兄さんであった。この方も地元の人、足が速い。今日中に田代平小屋まで行って、奥さんを乳頭温泉に迎えにこさせて合流の予定らしい。今日中に田代平小屋へ向かう人が居るとは心強い。一緒に歩こうと思ったが、超軽装で微妙に足が速いので先に行ってもらった。その後、道々このお兄さんのスリップ痕を見て楽しむことができた。すぐに八瀬森山荘からの男女ペアと会う。やはり、さっきのお兄さんに少し驚いたとのこと。気配を消して歩くのが上手いのだろう。
小休止時に撮影。靴は水溜まりで泥になり、笹藪で洗われてきれいになるを繰り返す。
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関東森9:36通過。更に小振りの湿原を通って八瀬森山荘へは3.5時間掛かった。昨日、2時間ロスせずに日没近くまで歩けば何とか到達できた計算だ。
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この山荘はブナの森の中にある。羽目板が黒光りしてなかなか堂々たる姿だ。はしごが掛かり、二階にも出入り口がある。小屋の下が黒いのは長期間雪に埋もれる故の防腐剤を塗っているのであろう。内部は土間にテーブルがあり、ストーブも置かれ、二階の手摺りには布団が干してあった。単行本や鍋釜も残置されているが、整理整頓されているので雑然感はない。寝具があるなら食料だけ担いできて逗留しても良いかもな。
小屋の手前を流れていた小川に水を汲みに戻ったが、なにやら飯粒が漂っている。握り飯でも落としたか、食器を洗ったか..ちょと残念。が、水飲み場を汚すヤツも居るまいと目を転じたら5m程上流に踏み固められた水場があった。今回は荷造り時に塩タブが見つからなかったので三沢基地内のバーガーキングで獲得した塩の小包を持ってきてある。二袋を水に塩を溶かし、大量の水と飲み塩分補給とした。ここの水も旨い。
30分の大休止。雨具の下も脱いだ。
この先、なにやら悪い雰囲気が予想されたので熊鈴をストックのストラップに付けた。鳴らしたい時に腕を振って打ち鳴らすことができるので良い。ザックに付けたままで同じ程度に鳴らすには、かなり奇妙なダンスをする必要がある。
朝飯を食っていなかったが、先ほど、塩水を大量に飲んだこともあり腹は満腹。ナッツバーを食ってエネルギーを補給しておいた。

■大白森山荘へ 10:29-14:05
八瀬森山荘を出てすぐ、ブナの森の中、日の差し込む所にヒラヒラと雪のように舞うものがあり、しばし見とれた。羽を広げて2cmにも満たない蝶?私の通過に伴ってどこからか湧いてきてまたすぐ消える。よーく見ていると、ブナの幹から現れまた消えていく。どうやらブナの幹と保護色になっており容易には気がつかないタイプだ。一匹を目で追って止まったところを観察したが、触覚の形から蛾だと思う。その後も数カ所で雪の舞を楽しむことが出来た。
途中、こんな手形を発見。
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ああ、ちゃんと居るんだなという感じ。

曲崎山11:50、笹で覆われた結構急なピークだが、眺めはまずまず。見渡す限り目に入る一面が森、なだらかな起伏が樹木で覆い尽くされている。私も森深いところへ来たものだと嬉しくなった。
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小突起が畚岳でその奥が八幡平頂上付近。あそこから来たのだ。
曲崎山からの下りは背の高い藪と掘れた急斜面で難儀した。ちょうど足の幅くらい掘れており、無造作に足を置くと漏斗状の掘れの底に向かって足が滑り、その後尻餅をつく。足元だけ見て歩くと危うく獣道に入りそうになる。しかも雰囲気も悪い。熊と鉢合わせしないようにと、手首にある鈴を打ち鳴らしながら歩いた。
大沢森12:48を経て、標高1000m未満の低いところへ下がる。その辺りは下草が藪からシダに変わってスッキリした山歩きができた。途中、道とGPSの乖離が大きい箇所があり、大沢へ向かう道に入ってしまったが、沢の音を聞いてこりゃ違うと引き返したら標識を見つけた。いかん、だいぶ疲れてきたようで注意力が落ちている。トレールミックスを食って一服して小休止とした。20分ロス。分岐から30分ほどで大白森山荘に着いた。ここも新しいログハウスである。窓ガラスに反射させてポートレートを撮った。
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ここの水場は一見涸れており諦めようと思ったが、近づいて見ると集水升のオリフィスから升の壁にへばり付いて少し水が流れていた。升の底の奥にシェラカップを差し入れるとありがたいことに1分ほどで満たされた。飲んでみたがここの水も旨い。シェラカップを満たし、ナルゲン袋に移す作業を繰り返して、2Lの水を補給した。口が広いナルゲンの袋は水を移すのに都合が良かった。

■大白森山荘から大白森 14:33-15:00
途中、シャリバテを自覚し、立ち止まってトレイルミックスを食った。シャリバテは少しの登りでも息が上がり足が重くなる。前回の赤岳断念の時と同じ状態だから自覚できるようになった。5分くらいの休憩だが、チョコレートが効いたか、すぐに回復した。とは言え、もう14:30、ちょっと田代平小屋へ着くのは危なくなってきた。
大白森の湿原は忽然と現れた。かなり大規模だ。山の鞍部ではなく頂上付近の起伏のある地形に存在するのも不思議な感じ。長い時間を掛けて形成された湿原にずっと延びる木道をただ一人、秋色の草原を風に吹かれて歩いた。気持ちよい。
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■日没へ
大白森から一旦少し下って登り返すと小白森の湿原がある。ここは湿原の中ではなく脇を通るのだが、湿原に少し入った木道の終点から先に踏み跡があり、乾燥していたのは残念だ。まったく、残念な人が居るものだ。
さて、この辺から日没を意識しなければならない。
案としては、
A案:鶴の湯分岐から温泉へ降りて投宿し、翌日にトレールに戻る。
B案:5時を過ぎて、適地があれば不時露営を行う。
C案:残業をして田代平山荘まで頑張る。
の3つ。A案はあまりに残念だ。一旦降りて温泉でふぬけになれば登り返しなどできようはずもないことは自分が知っている。B案は悪くはないというか、その可能性への対処できる装備で来た。C案では恐らく日没から1時間くらいは歩くだろう、道の状況によっては採用しないこともない。とりあえずA案は破棄と決め、鶴の湯分岐を16:28通過した。
人里に近いと道は広い箇所が増えて歩きやすいが、喜んでいるとすぐに笹藪でがっかりという繰り返しの道が続いた。時計を見ると不時露営を選定する17時になっていた。すぐに1063.4mのピークがあるはずで、山頂辺りは等高線的になだらかであったので、第一候補とした。着いてみるとその場所は道幅も広くなっており、良く踏まれ、おそらく人が休むのだろう、瓶の破片なども落ちていた。取り敢ずその場をチェックして前進したが、その先は緩い下りになっており、先は地図的には鞍部で湿っていることが予想されたので戻って17:03、1063.4mピークで露営と決した。

■野宿
アライのシングルツェルトは出発当日に足元に換気口を開けてメッシュを張る改造をしてあった。こんなに早くにテストする機会を得るとは、不意の露営ではあるが好都合であった。手早く設営を済ませて、必要な物のみ出し残りはザック諸共Sea to Summitの防水袋に入れてシェルター脇に転がしておいた。汗で濡れたパンツを脱いでタイツに穿き替え、これまたSea to Summitの洗濯物干しロープを張って濡れたTシャツやパンツを乾かしに掛かった。ま、乾かないだろうが..
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飯は不思議に腹が減っていないのと、獣のことを考えるとこの場所で食い物を調理したくない気持ちだったので、トレールミックスを食っただけで済ませてしまった。

■熊用心
友人の弘前大学探検部OBのKにこの山域に入るに当たって電話で情報を仕入れてのだが(Kは登録前だが大学の近くの白神山地を釣り竿を担いで縦横に泊まり歩いた果報者)、地元の人は熊避けに蚊取り線香を使うと言うことであった。幸い夏の残りがあったので私も持参した。要は煙なのね!と思い、小さな焚き火を思いついた。道沿いに枝を数本拾ったが湿っている。こういうのは煙が良く出る。親指大の枝を数本組んだだけの小さな焚き火であったが湿った枝では点火には難儀した。燃えやすい樹皮が得られる植生でもなく、小さなビクトリノクスではナイフで削ぐことも出来ない。代わりに持参の単行本と蝋燭を使って何とか点火に成功した。単行本はカバーと巻末の書籍の宣伝ページを使い本文に至らなかったのは幸い。読んだページまでは燃やしても良いのだが、わたし的には本を傷つけるのは嫌な気分な人だ。蝋燭は寝かせて使うと蝋が流出して消耗が激しいので上から蝋を垂らした方が火興しには良かった。チョロチョロだが煙ぼうぼうの焚き火脇に寝そべって小さな炎に魅入って小一時間過ごした。顔を上げると、ほの暗かった筈が既に真っ暗に暮れており、ブナの枝の間からは星の瞬きが認められた。明日も晴れればよいが。その後、持参の蚊取り線香に点火し、シェルターに潜ってラジオを点けた。
さて、人の気配をぶんぶんに振りまいて眠りに入るわけだが、一つ頭を過ぎった心配は、里が近いので残飯などの味をしめた人擦れした獣が餌の期待を持って寄ってくることだった。とは言え、その対抗手段は畢竟、山を下りることに他ならず、私は山に居たいので忘れることにした。蚊取り線香はまだ仕事をしているようであったので、ラジオも煩いから10時くらいには消して寝てしまった。

■股ズレ
焚き火横で寝そべっていたとき、股の付け根辺りにかゆみを伴った痛みを感じた。股ズレか?思えば、昨夜は雨と汗に濡れたが下着を替えずに寝て乾かした。今日も汗で濡れてしまった。パンツはさっき脱いで干しており、今はタイツだけでかなりフリーな状態なのだが、ふぐりと股の境界辺りの皮膚が痛た痒い。下着はボクサータイプだったので、そこの場所は皮膚、布、布、皮膚となっており、今フリー状態で皮膚と皮膚が触れる状態になって痒みが出たような感じ。早速、ファーストエイドキットから、アルコール綿を出して指と患部を消毒し、抗生剤入り軟膏を塗り込んだ。少しヒリヒリするが、快方に向かう予感。持ってて良かった!股ズレで山行中止では情けない...
使った分は補充せねば。

■シェルターの通気性
今回持参したシェルターは小さいので荷物は大半は外の防水袋に入れ、中には酒と緊急用具くらいしか持ち込めない。ま、Bivy泊と同じだから慣れている。
今回は足元を切り抜いて網を貼って通気口を作った。
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アライのシングルツェルトに長年買わなかった疑問を自己解消したつもり。たぶん換気は効いていた。頑張ってたばこを吸ってみたが煙は抜けているようだった。結露低減に役立つ筈だ。

■翌朝、三日目の朝飯
ぼたぼたという雨音で目が覚めた。あーあ、雨かorz
山では朝方は天候が不安定だが、ラジオを聞くと宮城あたりは晴れらしいので晴れが広がることを期待して、化繊Quiltにくるまって待った。そのうち晴れ間も見えだしたので、穴蔵を抜け出して朝飯の準備を行った。メニューは、アルファ米に顆粒昆布出汁と醤油と削り節、それと大量のヒジキ、大豆で出来た代用肉を投入し、湯を掛けて保温袋で蒸らした物と味噌汁である。乾物は土屋さんの店で入手した。飯は結局はゆかりを掛けて食うのだが、アルファ米に乾物の類を入れると歯触りもあって食ってる感が強まり、かつ腹持ちも良いようだ。これなら富山の先生も文句を言うまい。元々大量の脂肪を携えて歩いているわけだから、脂肪燃焼の点火剤程度に炭水化物が取れればOKよ。
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■出発
食後、また雨が降り出した。もう一晩ここにいても良いのだけれど、そのうち水も切れるから歩かないと。撤収に掛かった。やはりというか、また雨なので干し物は乾いていなかった。先ずはマットを丸めて入れて骨格を作る。その筒の中の底に濡れ物を放り込む。続いて防水袋を入れて完全防水区画を作り、化繊Quiltを投入する。Quiltは特にスタッフザックには詰めない。というか、大きめザックなのでキリキリ詰める必要がないし、その方がザックの無駄な空間も減って好都合で化繊のロフトも失われない。次いで食料の袋、着替えの袋、行動食袋を入れて、その上にGraniteGearのザックに着いていた大きな巾着袋を乗せて防水区画を閉じ、その上に水など濡れても良い物を乗せてザックを閉じる。巾着の中はストーブ袋、エマージェンシー袋、トイレ袋、行動食などの小物が入っている。この袋の中は乱雑で構わない。あまり小分けしてスタッフバッグを多用するとその分の重量が嵩むから。脇のポケットにシェルターとTyvekの敷物、水筒を入れてパッキングは完了する。持ち物と定位置が決まってきたのでサクサクと撤収は進むし、足りない物があればすぐに気がつく。

■熊?
雨風が強まった中、既に10:53、荷造りと身支度が出来て数歩歩き下りに掛かったところ、濡れたせいか熊鈴の音が不調だったので視線を鈴に当てて二三度打ち鳴らしてみた。ら、その時、15m位先であろうか、黒い影が飛んでいって藪の中、バキバキという枝を踏み折る音と、ドスドスという振動が起こった。あ、熊か!一瞬の出来事であった。数秒で笹の鳴りは終わったのでまだ遠くに行っていないかもしれない。首から提げたホイッスルを短く吹いて鈴を鳴らし、「おーい、居るよ-、来るなよー」と声を上げた。そういえば、笹藪は時々口を開けて、大きな獣の通った跡が沢山ある。居るんだなーと納得した。頭上では風が轟々鳴ってるし、雨は強くなったし、暗いし、笹深いし...悪い雰囲気充満なので、その後は積極的に鈴を鳴らし、ホイッスルを吹いたり、「ホーホー」と声を出して歩いた。なぜホーホーか理由はないが、他に良い言葉も考えつかなかった。

■下山
11:18、蟹の湯分岐にさしかかった。ここから下れば乳頭温泉は30分。このまま進めば田代平山荘だ。さて、どうするか。予定では今日は小屋を経由して秋田駒まで進み、阿弥陀池避難小屋まで行くことになっている。が、風雨強く荒れ模様。稜線に出るのは辛そうだ。田代平小屋で停滞するのも良いが、なんといっても30分下れば天国のような温泉がある..暫し辻に立ちすくんで考えたが、考えていたのは進む理由であって、心は既に温泉に向いていることに気がついた。温泉!と歩みを曲げて下りを選択した。
相変わらず雨風強いが、森の中は風はなく、ブナの幹を蕩々と水が伝い流れている。雨の中の森を歩くということ、これはこれで幸せなことだ。
やがて藪から舗装の道に出た。突然目の前には大きな宿が立ち、大釜温泉と書いてある。11:55、森から出たら雨も直撃で一層ひどいので温泉の庇に走り込んだ。

■邂逅
そういえば、来るときにバスではあるが仙台を通過するので領主のrwalkerさんに仁義を入れておいたのだが、氏はアグリなお仕事で、収穫が忙しい時期でも天気が悪ければ顔を出すかもしれないと返信が来ていた。緩く言っていたが律儀者のrwalker氏のこと、来ている気がしていた。早速下山のこと、もし乳頭山でお待ちならご容赦の旨メールして温泉に浸かった。源泉掛け流しの乳濁した良い湯だ。どうせバスは1時間に1本、普段は有名温泉でも行水程度だが今回は諦めてゆったり入った。暫く居ても誰も湯に来ない。外は相変わらず風雨強い。飽きたので道後温泉風に床に寝そべり、時々手桶で湯を掛けて寝ていた。そのうち露天風呂があるのに気がついた。頭を雨に打たれながら湯で過ごすのも風流だろう。底に何やら触るので摘んでみたら沢山の団栗が沈んでいた。上の木から落ちたのだろう。野趣あふれる湯であった。
いい加減、手の甲までふやけたので溶けてはイカンと思って湯から出て、帳場で酒を買って飲んでいたらメールが来た。rwalker氏だ。読んで驚いた。隣の孫六湯に下山したとかいてある。早速電話を入れて大釜温泉にいる旨伝えると、2分後に車が駐車場に滑り込み、ちらっと見た運転手はrwalkerさんだった。玄関で再会の握手をし、rwalkerさんも一風呂浴びるということなので、私もほろ酔いではあるが、また湯に入った。本当は一人一回の入浴で500円なのだが、帳場のオヤジも仕方ないでしょと笑って再入浴を許してくれた。湯の中で聞いたが、やはり律儀者の氏ゆえ、言ったからには朝早くに孫六湯から乳頭山に登り、下って田代平小屋で昼寝しながら私を待ったが、現れないので悪天候もあって下山してきたという。こちらの動きを読んだ見事な包囲網。rwalker氏の網からは逃れられないことを悟る。その後、氏の車によって仙台へ連行され、焼き肉屋と居酒屋ハシゴによる酒池肉林の時を過ごし、帰りは足元ゆったりバスで新宿に送致された。普通バスで3000円、ゆったり贅沢タイプで4000円と嬉しい金額である。バスは仙台へ向かう途中の車内から携帯で申し込みが出来た。便利な世の中だ...

田沢湖までは歩けなかったが、楽しく山歩きが出来てよかった。
日本アルプスでなくとも深い森なら満足は大きい。


vote for
トレラン靴とGore靴下で足の濡れは問題なかったが、バスに乗って気がついたが、濡れたズックは少々臭うのであった..
「登山・キャンプ」へ+1..Click!



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by ulgoods | 2008-10-01 12:31 | 山行

八幡平から田沢湖 1日目

備忘録ゆえ、だらだら長文である

そうだ、東北があるぢゃないか!と行く気が固まったのは、どこか山へ行きたいと思っていた2日前のこと。本州に台風が接近している中、東北北部に天気予報で晴れの連続マークを見いだしたのが始まりだ。東北と一括りにしても青森・岩手・秋田は特に奥羽三県とも呼ばれる更に奥まった一括り。我が郷里では首都圏を直撃か!といった報道の台風ですら避けて通るので平気なのである。まだ紅葉には早いが紅葉になれば恐ろしいほど道が混むエリアでもあり、行くなら今かと思いWebを漁ると八幡平辺りの詳細な記事もあって、アクセスを調べてみたら八幡平頂上まで路線バスが運行されており、起点の盛岡までは東京からで夜行バス5000円というお安さ。これは、行けと言われているに等しいではないか。行かない理由は少ない。くたくたしているとボヤッとした週末になるので、先ずは速攻でバスを予約した。実は、夏にギクーリ腰をやってしまい、そのついでに二十数年前の肉離れ箇所の痛みが再発し、歩くことが困難かつ恐怖になっていたのだが、これを克服するには歩き込むしかないと確信していた。よーし、気前よくどんどん歩くぞという意気込みで八幡平から田沢湖まで歩く計画を持った。

■9/20 夜行バス
出発の土曜日、一日掛けてアライのシングルツェルトの足元に換気口を開けたり、あれやこれやと悩んだ荷物が完成したのは夜の9時くらい。バスは丸の内南口を夜の11:30発だからまだ少し余裕があるのはありがたかった。盛岡着予定は朝の6:30である。バス中の詳細は省くが、小一時間くらいは寝られたであろうか。お安いバスをギリギリに押さえたので文句は言わないが、席は運転席と反対側の最前列の通路側であり、運転席と客室間にカーテンを置かないバスだったので、高い場所にある客室の私の席は高速道では対向車のハイビームが直撃まくりであった。窓際のお隣さんは少しライトが陰になるのと、夜行バス慣れしているようでで、よく寝ていらっしゃる。ちょっと恨めしい。こちらにもたれてきたときは肩をすかしをしてやる。こっちが眠れないのに睡眠野郎の頭を肩で受け止めて差し上げるほど人間ができていないのであって、消極的にではあるが熟睡に協力はしない。
早朝の盛岡、路線バスは9:47だから3時間くらい時間を潰さねばならない。朝一の新幹線でちょうどくらいの設定か、世の中はお金を使わないと時間を使うように出来ている。私は山道具には金は惜しまないが、山歩きには金は掛けない主義だ。このままバス停で待つのが主義的には正しいのだが、眠らないと事故や何やで高くつく。幸い駅前にサウナがあったので、何度か躊躇しも結局は一風呂浴びて仮眠を取ることにした。サウナ代金2000円也はちょと痛いが仕方ない。一風呂浴びてサウナ支給の服に着替えていたら、おお、肩すかしを呉れてやったお隣さんがいるではないか!聞くとやっぱ夜行で来たらここで一風呂浴びるのが基本らしい。その後、休憩室で生ビールを干してリクライニングシートで2時間ほど仮眠できたので元は取った感じ。サウナから出ると雨になっていた...やはり駅前広場で寝るのはできなかったのだ。サウナで正解であった。
松屋で飯を食ってバス停に行ったらバスが来た。列の前の人に、このバスでよいのか聞いたところ、どうもそのバスは9:40の観光バスらしい。いろいろと寄り道するので八幡平頂上へは後の路線バスが先着とのこと。しかも、日曜だったので800円で路線バス乗り放題切符があると教えてくれた。を”、知らなかった。慌てて券売り場へ走ったり400円くらいお得。ビール代を取り戻した感じで嬉しい。

■9/21 黒谷地 11:33
バスは市内を抜けて、何とか牧場とかバス停を通過し、雪シェルターの連なる道をぐいぐい登って頂上に近づいて来るが、私は頂上の一つ手前の黒谷地で下車と決めていた。ここから頂上まで、湿原を歩くことができると先人のWeb記事で読んでいたのだ。通はここから歩くらしい(後になって過ちと後悔)。広い湿原に私一人..あいにくの雨で誰もいない。さい先が良いのである。この辺は観光地だから木道も整備され非常に歩きやすい。MontrailのHardRock、トレラン靴は木道では抜群のグリップだ。
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高層湿原と地糖を縫うように順調に歩を進めた。頂上が近くなって八幡沼に沿って歩くとやがて沼のほとりに小屋が見えた。小屋というかログハウスで陵雲荘とある。こんにちはー、とガラリ戸を開けたがこの時間だから空であったが、内部には立派な北欧製っぽい暖炉に使う薪ストーブが置かれていて目を惹く。新しいのかな、立派かつ清潔だ。トイレを拝借したが、重力式ではあったが室内は清潔でかすかに檜の香りもする。紙の類も補充されており不安はない。私は手動ウォシュレットを持っているので紙の量は削減できた。後で裏に回ったが、大きな浄化槽が埋められている様子だ。沼の辺でもあるから水質対策に抜かりはないのだろう。
折から驟雨が湖面を駆け抜ると、ああ、ここで一泊、別荘代わりに暖炉でぬくぬくと酒を飲むのも悪くないという邪な思いが頭をかすめたが、まだトレッキングは始まったばかり、八幡平トレールの入り口前で逗留している場合ではないと、自分に鞭打ち雨の中に出ていった。
ここで約20分休憩。

■レストハウス 13:18-13:32
レストハウスにはバスが着く。食堂も土産物屋もあり、地下方向に三階建てだ。ここのトイレで水を汲もうと思ったが、飲料に適さずと張り紙があったので止めて仕方なくポカリを一本買った。ここもヌクヌクと後ろ髪を引くのであるが、食堂で飲むといくら金を遣うか判らないので、やはり雨の中に出ていった。
外に駐車場事務所みたいのがあり、ログハウス風でレインジャーも常駐していそうな感じだったので殊勝に入山届けをと立ち寄ったら、あ、この辺ではそういうの無いから..と言われて少し肩すかしを食った。田沢湖まで歩くんでぃ!と言ったら、だざわこぉ?とあしらわれてしまった。珍しくもないか、あるいは呆れられたか。まぁ、良い。これで浮き世への未練が断ち切れたゼと寡黙に雨へ歩を進めた。ここからはしばらくは舗装道路を歩く。13:42、舗装走路と分かれ、やっとトレイルの入り口に着いた。今日の宿は時間的に大深山荘だろう。あああ、バスで頂上まで来ていれば2時間くらい節約できたはずで、実はこれは翌日の行程に大きく影響する。初日に更に向こうの八瀬森山荘に到達しないと翌日は順当に田代平山荘に着くのは難しいのだ。ま、仕方ない、降りたいところで降りて歩いて、寝むりたい場所で寝るまでのこと。

■トレイル 13:42-
地形的にはキツくない。が、トレイルでは雨、笹、湿地の泥濘が待っていた。思ったより歩が捗らない。少しだけ後悔。が、滑りながらも歩いた足跡を見つけた。まだ新しい。同じバスで頂上に直行した先発の人であろうか?姿は見えないが人が入っていることが判って少し心強かった。
畚岳下 13:58
諸桧岳 14:41
嶮岨森 16:12
道はすっかり藪に埋まっていた。久々の山歩きには堪えるが、時々開けて湿原や池、背の低い笹原が出現し、ガスっていたが歩いていて楽しい。高低差もさほどではないが、登っては降ろされ、下っては上げられといった感じ。雨の笹藪は頼まれても歩かないが、来てしまったものは仕方ない。一応ツェルトは持っているが、張れるような土地は一切無いから今夜のお宿まで歩くしかなさそうだ。5時までにはと思っていたが、16:52大深山荘着。これまたログハウスだ。
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■大深山荘 16:52-
ここは無人の避難小屋である。おそらく、バスで頂上まで直行して日没まで歩けば次の八瀬森山荘まで行けたと思うが、初日だし、雨で濡れたしで、本日は終了し、大深山荘泊とする。
入り口の外に靴が並べてある、ああ、ここで脱ぐのかとドロドロの足こしらえを解いて入った。小屋はまだ新しい感じ。土間がない。こんにちはーーと玄関からの戸を開けて中に入ると、中の人たちは既に宿泊体勢が整っているようだ。一階に3,1,1人、二階に1人が陣取っている。ゆったり使える。私は一階の片面の半分を占めることができた。充分広い。二階はあと3人はいけそうだった。
皆さん、室内でガスストーブを使って湯を沸かすので少し湿っぽい。土間がないので床の上でストーブを使うのもどうかと思ったが...そういうしきたりなのかな?私は固形燃料だけの敷き板もなかったので屋外でチマチマ湯を沸かすことにした。水場は歩いて数分の所、湿原の木道脇に水が湧いていた。冷たくて透き通って旨い水だった。飯の前に腹一杯水を飲んだ。幸せ。
飯は、今回はアルファ米だけでなく、ヒジキと板麩、味付けは顆粒の昆布出汁とちょっとだけ工夫した(翌日分の写真は次回)。これらをビニール袋に入れて湯を入れ保温して待つ。例によって袋メシだ。カップが小さいので一回200ccしか沸かせない。湯を沸かし飯を蒸らし、乾物で湯が足りないだろうからまた湯を沸かして追加し、さらに沸かして味噌汁を作る。前回の使いかけと4gエスビットを1.5個使って食事の準備ができた。湯沸かし中にプラティパスからバーボンを飲むと、ゆるっと肩の力が抜けた。辺りがとっぷりと暗くなった頃、一人小屋の外、フジッコの塩昆布を忘れてきたので、ゆかりを振りかけて、マイナスイオンをおかずに飯を食う。袋食なので食ったらゴミを入れて口を結んで後始末も終わるので楽でよい。袋はまだ沢山あるのだ。
部屋に戻り、酒を飲みつつ明日の地図を眺め、隣の人が沢を遡上した話を聞いて、ラジオはイヤホンを持っていないので聞くのを憚り19時には寝てしまったのだろう。
避難小屋の夜は遠慮がちに会話もなく静かに過ぎていた。

二日目につづく


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紅葉の頃に行ったらどんなに綺麗だろう...また行きたい。
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by ulgoods | 2008-09-29 02:32 | 山行

八幡平の装備

取り敢ず飲食喫煙除いた重量
(画像をダブルクリックすると見られる物が表示されます)
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ベースウエイトは4443gとなっています。

分類失敗、時計は身につける方にカウントしないと..
ああああ、携帯も忘れてる。いずれにしても身につける物だから、ベースウエイトには入らないから良いか。
後で修正します。


雑感
・ザックはSpinnakerのペラペラであるが、笹こぎや倒木くぐりの道でもダメージは受けていない。花崗岩に擦れる方が傷む。
・ゴア靴下の防水は完璧だった。
・HardRockのグリップは良かった。特に木道では不安がない。
・睡眠系は温度的にはちょうど良かった。
・防寒着はフリースの方が使いよかったと思う。
・熊避けで蚊取り線香を持参した。
・シェルターの足元に換気口を設けたが効いていたと思う。
・固形燃料では避難小屋内で湯が沸かせずに、ちょっとだけ辛い。
・タープは不要だったが、シングルツェルトの撥水性は良くない。
・笹藪ではグローブは必須、眼鏡も目の保護効果が高い。

装備に関してアドバイス乞う!
紀行文的なものは別途


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ああ、単行本の重さを忘れてる..
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by ulgoods | 2008-09-26 18:49 | 山行

八幡平から田沢湖(中断)

取り敢ず、帰ってきた。
予定では
盛岡まで夜行バス
八幡平まで路線バス
トレイルに入り大深山荘泊
八瀬森山荘、大白森山荘を経て田代平山荘泊
乳頭山を経て
阿弥陀池小屋泊
秋田駒を周遊し田沢湖へ下る
であったが、、
実際は二日目に大深山荘から田代平山荘に到達できず、手前の1063ピーク付近でビバークを余儀なくされた。翌日は意に反して風雨厳しく、残念ながらも喜々として乳頭温泉へ下山し、山行を終了する。
乳頭温泉では、運良く、乳頭山へ偵察に来ていたrwalker氏と合流することができ、一緒に湯に浸かった後、氏の車で仙台へ連行され、酒池肉林の宴(焼き肉屋と居酒屋はしご程度)となり、その夜の夜行バスで新宿へ向かい、今朝、無事帰還を果たした。
台風を避けて快晴山行の予定ではあったが、お天道様はその抜け駆けを良しとせず、初日から降らせ、二日目はお目こぼしで晴れを得たが、三日目は更に風雨強くと、空模様の当ては外され、また全行程の80%は藪こぎであり、濡れた笹と道の湿地の泥寧に難儀して乾く間もない状態が続いた。ビバーク地点付近では翌朝に熊らしきにも遭遇し肝を冷やしたりもした。

しかし、湿ったブナの森を歩くときや、小ピークから見下ろす視界一面のブナと青森とど松の樹海の広がりに我が郷土の森の豊かさ未だ健在を知り感謝と感激の念を覚え、また時折通過する高層湿原と池糖に忍び寄る秋の寂寥には心を洗われ、しかも不本意にも下山した乳頭温泉では手の甲がふやけるまで湯に浸かり、山(道具)の友とも会い、今思えば何とも充実した山歩きであった。

地図を見返し、GPSの軌跡を辿りつつ、歩いた道程の充足感と歩き残した道への憧れを新たにしているところ。
記録はいずれ

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バスで寝られりゃ東北は安くて近い!
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by ulgoods | 2008-09-24 17:01 | 山行

駒草の道・硫黄岳

駒草の道・硫黄岳


■前置き
海の日の三連休の初日は、娘らの小学校の校内キャンプということで、おやじ会の幽霊部員な私も朝から設営準備で大汗を流し、午後からは夕飯のカレーを大釜に7つ作るための薪を燃やす係で更に2Lほど汗をかいた。ま、薪の番がしたくて行ったようなものだが..おかげで体の成分がポカリスエットに置き換わってしまった。地域の子供たちに楽しさを演出してあげる、それはそれで楽しいし幸福なのだけれど、朝にはSGT.M氏から常念へ発った旨メールが入っていたり、帰国早々のBB氏も北アに向かうことは聞いていたし、金曜からはrwalker氏も南アに入っていたものだから、、既に彼らは1(2)日目の幸せなキャンプに入っていることだろうと思うと..私だって行きたかったんだがねと、少し涙ぐんだのは薪の煙が目に沁みたばかりでもない。その日は疲れ果てて帰って即寝た。

ん!行けないこともないな、と思ったのは翌日、遅めに起きて気力が戻ったからか。更に、実はその週の水曜に届いた車の慣熟運転をしなければならない。15年乗ったバイエルン発動機製の箱形車が後半5年はミッションの滑りを誤魔化しながら乗っていたのだが、ついに3速に上がらなくなり、いくらふかしても30km/h以上出なくなってしまった。これじゃ環境に悪い..というか、マヂ壊れた。直しは大外科手術になる。毎年クーラーのガスを入れるのにも閉口していたし、シートも破れ、ラジオのつまみもトレて、1月には勝手に窓ガラスも割れたし..庭の桑の木の朝露にやられて塗装もボロボロだったのだ。もう走りたくないと言うことか、と思い修理を断念して後釜を手配していた。15年、充分頑張ってくれた。
かねがねSGT.Mからは車で行くときはベースウエイトに車重をカウントするように言われていたし、別な車を事故でヤッテからは公共交通機関を利用しており、ガソリン高の昨今は独りで車で行くのはアホらしいのだが、仕方ない。慣熟しないと。重量で+1.5tか..仕方ないな、他の物で軽量化するとして、今回は勘弁してもらおう。と構想がまとまってきたのが日曜の昼頃。夏物の荷物のパッキングが済んだのが2時過ぎ。一端出て、帽子を忘れて戻り30分ロス。全然行ける気がしない、お山はなお遠い。
とりあえずの八ヶ岳構想は、桜平駐車場まで走り、オーレン小屋をパスして赤岩の頭に出てビバークし、翌朝は硫黄に登ってから赤岳まで往復。メインはビバーク部分で新しいBivyを試すこと。赤岩の頭は数年前の冬に赤岳鉱泉から登ってオーレン小屋に降りたことがあるから道は分かる。暗くなったらヘッドライトで歩くことにする。
実際は、慣れない右ハンドル車を操って桜平P到着が17:40くらい。歩き始めが18:00。日没まで1時間ほどか。小一時間歩いて着いたオーレン小屋でオヤジさんに誰何され、
今からどこへ?
ちょっと上まで。
硫黄の小屋か?
もちょっと手前で寝ます。テントあります。
ん?地元の人?
いえ、東京だけど、以前、冬に来たことあります。
ん...そか?気をつけての!
お水飲ませてください。帰りに寄ります..
というやりとりで通過は咎められなかった。
幕営地はほぼテントで埋まっており、皆さん夕食も済んで団らんの時を迎えていた。あそこの天場は幸せだろう。水も旨いし、風呂もあるし、トイレは水洗が使えるし、売店には酒が売るほど積まれている。今度ゆっくりしたいのだが、私はもう少し涼しいところへ行きたくて独り歩を進めた。
樹林帯の登山道は良く整備されていたので19:30くらいまでは明かりなしで木の根っこが識別できたが、それ以降はPetzlのTikkaXPを天地逆にして首から提げて歩いた。頭では汗止めを兼用しているORの帽子が邪魔。常日頃、清く正しいハイカーとして日没後は行動しないことをモットーとしてきたが、カモシカ山行という言葉もあるから、何事も経験だからチョトやってみた。TikkaXPの最弱モードでも歩ける程度に明るい。足元ばかりを見て歩いていたが、ふと目を上げると既に周囲は真っ暗闇だったが、もうこんな歳だから別に怖くもない。何かに会ったら、それは狐狸妖怪の類のはずだから無視することに決めていた。知った人なら話も楽しかろう。
ちょうど20時くらいか、ぽっかりと空が開けて赤岩の頭に着いた。ここは砂地に墓場の卒塔婆のように標識が林立する、ちょっと気味悪い場所だ。風があり、ねっとりした霧を運んでくる。カラっと乾いて星空、というわけにはいかなかったのは残念だが、ここはこんな日の方が多いんだろうから、そこにへばり付いている植物に負けずに適応しなければならない。硫黄に登ってしまうことも考えたが、持ってきた装備の失敗に備え、直ぐに樹林帯に逃げ込めるようにと、ここで寝ることにして、吹き上がってきた風が直接に当たらない場所の砂地の上で荷を解いた。
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■装備
今回は寝具系と睡眠形態のテストが主で、目玉はRabのeVent Bivy sackだ。同じeVentでもIntegral DesignesのeVent Crysallis 731gに比べて260gも軽い!が、その代わりno-see-em meshと換気塔が付いておらず使用場面が限定されるが、タープも持って虫もいなければOKだ。
眠る系の構成は、
外皮:Rab eVent Super Light Bivi 472g (w/stuff sack)
寝袋:Backpacking Light UL 60 Quilt 300g
マット:Montbell ULコンフォートシステムエアパッド120 365g
寝間着の餡:Patagonia R2 fleece 402g
寝間着上:全農かっぱ天国 LL 194g
寝間着下:Montbell Rain chaps 131g
快適用具:ULコンフォートシステムピロー 70g(w/o stuff sack)
敷物:Tyvekシート 116g
屋根:MLD Monk Spectralite.60 Tarp 98g(w/guy line set)
その他、
ザック:Golite Dawnで余裕

■テスト
8時時点で気温は13度。屋根は面倒なので張らなかった。Bivyむき出しのゴロ寝である。雨が降らないことは勝算があった。雷だけが怖かったが、Strike Alertに寝ずの番をさせる。
風は弱いがガスが地面を這って流れてくる。地面にへばりついて寝ているので、風の影響は少ない。ちょうど緩い傾斜が水平に変わった場所で寝たので、足下をガスがかすめていくだけだ。寝るときに汗だくのTシャツはファイントラックのシャツに着替えたので暖かいが、やはり下は面倒でパンツは汗で濡れたまま寝た。腰のあたりに汗が溜まっていて不快だが、今までの経験では朝までには乾く感じ。体温で汗が蒸発し、R2 fleeceを通り、かっぱ天国を通り、Bivyを抜けてeVent Bivyの外側まで抜ければ私の勝ちで、中で結露すれば負け。
体温を生成するための夕飯は大事だ。とは思っていたが、八ヶ岳パーキングで食べた味噌ラーメン何やらセットが腹に残っており、空腹でないのでカロリーメートを1袋を食べて水をゴクゴク飲んで済ませた。
標高2650m、風は夜通し吹いていおり、最低気温で8.1度、けっこう冷えたなという感じ。顔に風を感じて時々目を覚ました。ライトをハイビームで照射してみたが、白濁した光跡以外は見える物は無かった。結局、少しBivyの内側に潜って息が籠もらないような格好を編み出して、携帯のアラームをセットした4時まで寝ていたようだ。
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着いてから記録を開始した。明け方に急に冷える感じだ。湿度は95%くらいで安定している。ポーチに入れていたが、朝の5時以降は日に当たったり陰になったりなので当てにならない。車に乗った時刻か、クーラーで除湿されて急激に湿度の低下が記録されている。空気密度はおもしろい。やはり明け方に気温が下がって密度が濃くなる。日が出て暖まったのと高所へ登ったので密度が下がっている。下界に降りてくるにつれて急激に増加している様子が見られる。この測定器、何を計って何を計算で出しているんだろう?ちょと調べないと。

4時、いつしか大気は透明に戻って薄すら明るく、高い空にぽかんと月が浮かんでた。満月だったのか、初めて知った。
テスト結果は..申し分ない。すっかり乾いて朝を迎えた。Bivyの外側は朝露で濡れているが、内部はどこも濡れていなかった。
今回は化繊の薄手のQuiltを使った。断熱材はPolarguard Delta (68g/sq. m)で厚さは1cmも無いが、少し着て寝て快適に8度を過ごせる事が分かった。ただし、Bivy無しで吹かれていたらすきま風も背中に入るから無理だったと思う。Bivyの中は暖かかった。
RabのSuperLight Bivyは良く機能した。湿気を出し、外の濡れから保護してくれた。暖かい時期なら、このBivyと簡単な屋根が良いだろう。Bivy+屋根と同じ重さのテントよりは防湿の意味で優れているし、地べたにベッタリ寝るのは耐風的にも理想的だ。問題は雨、雨での過ごしを何とかしないと。全部パッキングして、雨具を羽織って寝ておけばいいかな。打たれ続けるとそれなりに冷えるか...
ま、おおむね良好だった。
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■山歩き
4時に目覚めて、空が染まるのを待っていたら下から話し声が聞こえてカップルが登ってきた。朝日を硫黄の山頂で迎えるのだろう。私も驚いたが、向こうも稜線に登って一息ついたタイミングでおはようと言われたのでビックリしたと思う(笑
目的は果たしたので、このまま帰っても満足なのだが、せっかくだから歩くことにした。5時くらいに撤収して硫黄に登り、爆裂口をウロウロした。
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そこでカロリーメートで朝食とし、7時くらいから歩き出した。最初は赤岳まで登って往復しようと思ったが、その日はなぜか馬力が出ない。足の筋肉も疲労がとれないし、息も切れたしで、休み休みゆっくり歩いた。どちらかというと人に追い越されながら、息も絶え絶えで赤岳下の小屋にたどり着いたが、どーにもあの斜面を登る気がしない。そーだ、まともな飯を食っていないのだが敗因か?と思い、Esbitで湯を沸かしてアルファ米を100gほど食べたが、直ぐには元気にならず、小一時間休憩して登頂を諦めて戻りの半分の行程をこなしにかかった。登山ではなく、ハイキングだから、赤岳に登ったら登山になって負けだと思った。縦走は行きっぱなしで楽しいのだが、車で来てしまって、来た道を戻らなきゃというのはあまり楽しくない。相変わらず横岳辺りの通過はしんどい。と思ったとき、ポッケにアメ玉があるのに気がついて口に入れた。後で納得だが、アメ玉後は少し元気が出た気がする。駒草の道を歩き、硫黄岳小屋ではコーラ500ccが400Yen也を飲んでからは通常戦力に戻った気がした。朝に塩タブを飲んだのだが、直ぐに使える糖分も摂らなきゃ駄目なんだな、たぶん。次回からは食事も気をつけてみよう。
水は背負った3L(うちポカリ1L)で間に合った。ま、コーラも飲んだし、オーレン小屋で水も飲んだので残りを差しい引いて3.5Lくらい消費した勘定。

■余談
・Strike Alertだが、あまり当てにならない。しょっちゅう最高レベルの警報を発する。耳で雷鳴が聞こえる距離の警報なのだが周囲に雷雲はなく..オオカミ少年的な警報にいちいち避難態勢に入っていられない。そのうち当てにしなくなった。
・硫黄岳小屋上斜面の駒草だが、あれは夏沢鉱泉のご主人が保護しているらしい。鉱泉でカレーを食っているとき話を聞いた。上で聞いた話で、等間隔で駒草が咲いているので植えているみたいと言う話をご主人に言ったら、あれは水分を取り合うので自然と等間隔以外は育たないんだということだった。なるほど、植えたのではなくて残った訳だ。種の袋ができて、岩ツバメ(ヒバリ?)が突いて散らしてほとんどは食われるが、数個が岩の隙間に落ちて、運が良ければ育つらしい。株分けもできるとか。お陰様で駒草の道を歩くことができた。朝の早い時間では露に濡れて美しかった。
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ピンクの点々が全て駒草の株だ。凄い数。
・靴、MontrailのHardrockで全然問題なし。街で1,2度履いただけの新品に近い靴であったが、靴擦れもなく快適。ただし岩場を8時間も歩くと足の裏が痛くなる。
・帰りはやはり激しい渋滞に巻き込まれた。早めに出たつもりだったが..みんな考えることは同じということか。
・全農のかっぱ天国
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まだ雨には降られていないが、このカッパ天国マスターは生地も強いらしい。たまにしか使わないのであれば、低山日帰りのお守りにならGore-Texである必要も無かろうかと思い、その点の検証をしたい。サイズは、ザックを背負うと腕が詰まるらしいのでLLにしたが、ズボンはしゃがんでも破けないように太めに作ってあり、土管状態なので歩きにくそうで、代わりにレインチャプスを持った。


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PCを変えたけど、辞書の学習ができていないので、誤変換の嵐。って、私の変換が変なのかな?
夏の山行に向けてUL宿泊形態を決め中...
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by ulgoods | 2008-07-25 02:47 | 山行

石尾根

こうも毎週土曜に降られたのでは、いくら引き籠もりハイカーのULGと言えど山へ行けない憂さを悪天で紛らすのにも飽いていた。
歩かなきゃ。
日曜は晴れるらしい。土曜の一日くらい雨に降られたって日曜を晴れで迎えられたら素敵だろうし、「月様、雨が...濡れて参ろう」くらいの気持ちで歩くかと思った。
というわけで、手っ取り早く石尾根。珍しくちゃんと正しくホリデー快速に乗って、鴨沢西行きのバスにも乗って下から歩くことにした。いつもは小袖乗越までTAXIでズルをするんで、下からは初めてだ。鴨沢下車は3人。カップルは雲取山らしい。
出発は鴨沢バス停トイレ横階段から。
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さて、雨なら雨で試したいことは沢山ある。
主要装備は
ザックはMLDのProphet、リッジレストを中に巻いて骨格にした。
屋根がGossamerGearのSpinnShelter
寝袋はNunatakのArc GhostというQuilt
BivyはTitanium GoatのPtarmigan Bivy
防寒上着にBozeman Mountain Worksの化繊中綿ジャケット
防寒ズボンがMontbellの化繊中綿ズボン
雨具はMontbell USA Peakshell Rain JKT/Pants
靴はMontrail Namche+ROCKY GORE-TEX Socksで耐水試験
火器はEsbitで
QuiltはBivyにセットしてeVentの防水袋に入れてザックの底へ置いた。羽毛の寝具を濡らさずに持ち上げたい。その上に別途30LのSilNylonの防水袋をセットして他の物を入れた。ザック自体はSpinnakerの目止めをしていないので漏ると思うけど中は完全防水になっている。ザックカバーは他に役に立たないので使わない。
足は通気性の良い靴にGore-Texの靴下だ。
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Gore靴もあるがチョイと古くて折れ曲がり箇所で防水が破られていそうだし、明日は晴れるから軽くて通気性の良い靴が幸せだろう。今日の防水は靴下に任せる。
ゲーターはIntegralDesignesのeVentモノで、雨具の中にした。ゲーターを外にするとズボンを伝った雨が中に入って結局は中を濡らしてしまうから。防汚効果はないが、濡れるよりマシだ。
水なし、食料込みで5.2kg。イマイチだが、運動不足の身にも苦にならない重量だ。七ツ石小屋まで水500ccくらいで登り、小屋で補給して尾根を歩くからしんどい登りは水も軽くできる算段をしていた。

鴨沢を出る時は雨は止んでいて、晴れるかも!と期待したが、やはり降ってきた。しばらく樹林帯だから雨具は上下とも前をはだけて、PitZipも全開にして歩いた。乗越まで30分。途中で汗を拭いたり、Prophetのヒップベルトが滑って外れやすいのを直しながら何やかんやで時間が掛かったが、七ツ石小屋まで更に2.5時間。結局3時間。

小屋は300円。払わない人は入れてくれない。300円300円と何度も言われ、払わない人はあっちで休んでと登山道を指差された。小銭、すぐ出ないから、払うからチョト待ってけろ、って感じ。小屋の中は途中で山菜を調達した常連さんで賑やかだった。私の居場所がない..裏では客のおじさんが薪を割っていた。斧を二丁使って、直径60cmくらいの丸太から薪を切り出している。手慣れた感じだが、あの人はあれがやりたくて登ってくるんだろうな。ま、何歳になっても元気で楽しく山遊びができるのは良いことだ。おばさん連が夕飯の仕度をしている。今夜は宴会なんだろう。私はストーブにあたってお茶をいただいて、少し暖まって辞した。

尾根に出ればこっちのもんだ。暗く湿った巻き道に入らずに広い尾根道を歩く。なかなかどうして、雨でも石尾根は気持ちよい道だ。少し冷えているからORのシアトルソンブレロも蒸れずに快適!
途中でカメラのストラップを枝に掛けてセルフタイマーで写真を撮った。
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この辺り一面ワラビが地面から吹き出てました。Montbellのブリーズドライテックの雨具、結構良いね。

高丸を越えて日陰名栗の本峰と書いたところを過ぎたあたりで、さっと自分の陰が伸びたののが分かった。おお、日が差している。僅かに水滴は落ちてくるが青空が広がっていた。ちょうど鷹ノ巣山の上に虹が架かる。
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下は雲で真っ白だ。1000mくらいか、境して下は真綿のような雲に埋もれ、向こうの山の頂が海に浮かぶ小島のようだ。鷹ノ巣避難小屋のある鞍部を白い気流がべったりと流れている。あそこは日原側から奥多摩湖側への雲の通路なんだ。お気の毒に、小屋の人はまだ天気が悪いと思っているに違いない。
おお、もうこんな時間だ。鷹ノ巣小屋は近いけど、あの絡みつくような、べったりした気流の底へ潜って下りるのはまっぴらだ。昨年、エスパースの人から教えてもらった朝日を見るのに一等地あたりにシェルターを張ることにした。もう人は来ないだろうからトレイルに張らせてもらう。トレイルは適度に踏まれているからペグが刺さりやすいし、植生も少ない。
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固形燃料で湯を沸かして、袋に小分けしたアルファ米に入れた。袋飯の予定。おかずはフジッコの塩昆布のみ。アストロフォイルで蒸らしている間にシェルターの張りの調整などし、先ほど吹き消した残りの燃料で200ccほど沸かし直して松茸の味お吸い物をカップに作った。去年の使い残しの2/3カケくらいのエスビットだが、無事に湯を沸かしてくれた。200ccくらいを湧かすだけなら固形は扱い易いからいいね。
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チタンフォイルの風防は必須。

寝床に入ったら猛烈に歯が痛くなった。金曜にアレ?と思い、久々に歯医者に予約を入れたんだが、受付のおばちゃんが私が9:30の人だと覚えていてくれて、「9:30が空いているのは水曜ね」なんて悠長なことを言う。ま、曜日と時刻を換えるのは診察すっぽかしの素なので「水曜9:30」と頭の中で3回繰り返して電話を切ったのだが、ホントはすぐにでも行くべきだった...気圧が下がって神経が膨張したのか?とか思いながら、救急セットにイブプロフェンを入れているのを思い出すこともできず、ぐががぁぁと呻いてた。薬は忘れていたのだが、チタンフラスコにバーボンがあるのを思い出し、口に含んで患部が浸るように奇妙な姿勢を保ちつつちょっとずつ飲むという麻痺療法をしていたのだが、神様の計らいか、10回目くらいでやがて気を失っていたようだ。ふと目が覚めたら2時間ほど時間が飛んでおり、おまけに歯痛も消えていた。ああ、幸せってこんなことかと、肩の力が抜けてホッと寝直した。
結露しないようにシェルターの後部を開け放ち、入り口の上部も開けたが、無風、濡れた地面に屋根を掛けたわけだから結露した。が、Bivyにくるまってたし、垂れるほどの結露でもないので気にしなければ大丈夫。最低気温は4.8度となっていた。結構冷えるんだね。

朝日がきれいに見える場所に張ったのだが、起きたら8時だった。外は良く晴れ、地面からは湯気が上がっている。まだ何処からも人は上がってこないと思う。のんびり雨具を干しながら朝飯のオートミール用の湯を沸かした。
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朝飯は袋に小分けしたドロドロのオートミールにフジッコを掛けたモノ。ま、食えるし充分。食後にコーヒーと思っていた袋がココアだったことに気が付いて、ちょとガッカリしたが2袋を300ccくらいの湯に溶いて濃厚なのなをいただいた。
いい天気だ。昨日濡れた甲斐がある。

鷹ノ巣は面倒なので巻いた。巻き道は風通しも悪いし、濡れた笹が垂れて濡らす。やはり巻き道人生いはある種の暗さがつきまとうなと思い、鷹ノ巣を過ぎてから尾根に出たら、じゃんじゃか熊鈴を鳴らす夫婦が歩いてきた。青森ねぶたのハネトじゃないんだから..勘弁して欲しい。まるで歩く神社の鈴緒状態だ。ま、神社でも鈴は鳴らすし、ねぶたも神事なんだろうし、山も信仰の対象だったから、鈴はつきモノんだろうが、よくぞ自分の頭の中が滅茶苦茶にならないもんだと感心する。ちなみに青森ねぶたではハネト(跳人?)は体中に鈴を付けて跳ねまくる。激しく振ったり、人とぶつかったりで沿道にはたくさんの鈴が撒かれることになり、一度娘らを連れて行ったが10分もすれば両手に一杯の鈴の山ができて喜んでいたっけ。

鷹ノ巣からはホントに気持ちよいナラの尾根が続く。花も咲いていた。ツツジっぽい花だね。高度が下がるとオレンジ色のが咲いていた。大概は日陰っぽい北斜面に咲いている。そんなところで見る鮮やかな花はドキッとするほど美しいと思うのは、飲みに行ってお酌をしてくれるお姉さんに通じるものがあるのかとか、愚にも付かないことを考えながら歩いていた。
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いつも六石山からが結構長い。杉林で下がぬかっていて、もう尾根の明るさはないが、時々枝打ちした杉の芳香がしていた。
廃屋をいくつか越して街が見えてくる。街が近づくと、特にその方面にチューンしたと思われるバイクや車の爆音が耳障りだ。ちぇ、とか思いつつも駅前で飲むビールのことを考えて足を速め、やがて石尾根歩きは終わる。


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いよいよ梅雨入りか...梅雨が明けたら少し高い山へ行かないと暑いな。
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by ulgoods | 2008-06-03 03:38 | 山行