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Vapor Barrier / カワサキさん翻訳(後編)

地下鉄階段で前を上る女の子、私は強く指摘したかった、そのミニスカの中心線はちょっとズレ過ぎではないかと..
ま、どっち向きでも不便は無いのだろうが。


カワサキさん翻訳の後編です。

さて、VBクロージング(衣類)について述べてみよう。
VBの衣類は、その表面から汗を吸わないので不快に感じる事が多いと思う。その結果頻繁に衣服をレイヤリングしなおす(着脱する)事になるか、あるいはVBそのものを拒絶してVBのメリットを享受しそこなう事になる。VBを適切に快適に使用するには、より敏感にならないといけないし、より頭脳を使う事も要求される。しかし、現代のVBの素材はFUZZY STUFFの様に、内面が汗を吸う様に出来ており、かなり使いやすくなっている。

VBを使用する事によって、蒸気や水分をスリーピングバッグや衣服の中に持ち込まないで済むので、吸水性を全く気にする事無く、どんなファブリックでもどんな中綿でも使用する事ができる。又、『Breathability透湿性』を全く気にせずに、アウターシェルにはどんな素材を用いる事も可能となる。

では、VBユーザーはどんな反応を示したか?
一般的には、更にVB衣類やVBライナーを注文し、友人にVBを推薦すると言った反応を示した。1967年から1998年まで約9500個のVBライナーを使ったスリーピングバッグを売ってきた。そして僅か0.5%のヒトが、意識的にインシュレーションを調節する作業に反対した。しかし彼らでさえ、VBが暖かさを加え、衣類や寝袋を湿気から守ると言うメリットを認めた。そして彼らの大部分が、他人には熱心にVBの有効性を説くエバンジェリストになったのだ。

我々の経験では、そうした人々はほとんど低い代謝率を持ち、より多くのインシュレーションを必要とし、むしろ最もVBを必要とする人たちであった。
元々の代謝がどうであれ、運動から生じる熱は同じなので、非活動時に厚い衣服を着ている人々は、活動時にその衣服の為により多くの汗をかいてしまう。したがってドライで居る為には、彼らはより頻繁にレイヤリングを調節しなければならない(衣服の着脱)のだ。

VBアンダーウェアは、レイヤリング調節の必要に早めに気づかせてくれるし、例え温度調節に失敗したとしても保温層は濡らさないで済むのだ。
起きて活動している時の方が、VB衣類を開けて換気しなくても、温度調節をするのは容易だ(レイヤリング)。一方、眠っている時は、オーバーヒートの時の生理的な反応としては、掛け布団(VBバリアーが一体になった)を押しのけて、余分な熱を逃がすのが普通だが、それでもなお、スリーピングバッグは結露と発汗から守られる。スリーピングバッグは外からは滅多に濡れないが、VBの無いスリーピングバッグは内側から結露と発汗によって『常に』濡れ続けているのだ。


VBシャツを着る実験をしてみると良い。まず、保温性の下着や中間着、そして暖かい保温ジャケットを着てもまだ寒いと感じられる条件に身体を置いてみて欲しい。そうしておいて、一番内側のシャツをVBシャツに着替えてみるのだ(もしVBを持っていなければ、ビニールゴミ袋に穴をあけてシャツみたいに被ってみて欲しい)。すると、途端に汗をかき始めて濡れた感じがしてくるだろう。ジャケットを脱いでみると、、、オーバーヒートは止まり、発汗も止まる。そしてジャケットを脱いだのに、最初と同じくらいの暖かさを感じる筈だ。


VBシャツは皮膚近傍の湿度が下がるのを防ぎ、蒸発冷却が起きるのを防ぐ。湿度が高い夏の日の様に感じるだろう。
どんな時でも、『汗で濡れた感じ』のみが、オーバーヒートを教えてくれるメッセージだと言う事を忘れないように。我々の体は、絶対的な暖かさや冷たさの判定があまり出来ない。皮膚の温度覚も相対的な条件によって変化してしまうのだ。


VBクロージングのメリット。
(1)テント内の結露を防いでくれる。もしも、3日以内に下着を着替えないといけない位、汗くさくなったとしたら、テント内に過剰な結露を引き起こしている可能性が大だ。VBを着る事によって、オーバーヒートを避け、不必要な汗をかかずに済む。

(2)衣服やあなた自身の汗くさい臭いを取り除いてくれる。
  VBの外に衣服が汗から守られるのは明かだが、発汗の素早い感知によって過剰な発汗を避ける事が可能になる。プラス、汗を異臭に変化させるのに必要な空気の循環をストップさせるので、あなたとVBクロージング両方を異臭から守ることができる。
ポリプロピレンは、汗をかくとひどい悪臭になる事で有名だが、それは汗を吸収しすぎて、過剰な発汗に気づかせないと言う事と、汗に含まれる油分も吸収し、その油分が更に悪臭の元になり、ポリプロピレンに吸着するからだ。

(3)脱水を防ぎ、持ち運んで飲まなければいけない水の量を減らしてくれる。
  脱水は、凍傷、低体温症、高山病の主要な元凶である。血液をどろどろにし、微小循環を損なう。その結果、適切な酸素運搬、熱の分布を妨げ、酸素の摂取を減らしてしまう。VBを着用していないと、必要な水分を全て雪を溶かしてまかなうのは極めて困難だ。数日間もすれば、VBによって節約できる燃料の重さは、優にVBの重量を超えてしまう。

(4)VBを1stレイヤーに着ていれば、アウターレイヤーにどんな素材を着る事もできる。透湿性があろうがなかろうが気にしないで済む。重量が最も重要な関心事であれば、重量あたり最もロフトのある素材を使えば良い。そしてウィンドブレーカーにはコーティングされたナイロンを使えば宜しい。

(5)手足の末梢循環が良く無いヒトが居るが、VBグローブやVBソックスを使えば手を足を暖かく保つ事ができる。(他の素材、方法論は暖かなマイクロクライメイトを奪ってしまう)

ここまでカワサキさん訳文


カワサキさん、
普段の生活を数値を挙げて科学すると多くの事柄が関連して起きていることがわかりました。お山や寒地でVBするしないはそれぞれですが、自分が何をしているのか、コントロールできることは何か、どういう結論に向かうのか、など頭に思い浮かべられるようになるのは貴重な知識であり、何をすべきかのヒントになります。
判りやすく翻訳して頂き感謝致します。
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by ulgoods | 2005-11-02 04:22 | カワサキさん | Comments(11)

Vapor Barrier / カワサキさん翻訳(前編)

UltraLight Backpackingの概念を日本に紹介して下さった
狩野川のほとりにて...で有名な川崎一さん、(本Blogにはカワサキのハンドル名(そのまま..)で常に的確で深いコメントをお寄せ下さいます)
http://www12.ocn.ne.jp/~nature1/index.htm

VBLパイオニア
http://www.warmlite.com/vb.htm
の記事を
翻訳要約して下さいました。
お忙しい中、大感謝!

前編、後編二本立てですが、本日は前編を掲載させて頂きます。
参考として、飽和水蒸気量に関して、Webですぐに見つかりますが
体表温度を30度とすると30g/m3、外気0度とすると5g/m3、気圧の影響は少ないらしいです。
以下、カワサキさんの訳文掲載


Vapor Barrier

さてさて、VBを実際製品ラインに載せた最古のメーカーは Stephenson's Warmliteですが、1957年から現在まで続いて一定のファンが居るので、やはりこれは何かあるだろう、、有効性が。と言う事で、ホームページに載っている『Why Vapor Barrier ?』と言う文を、要約して引用したいと思います。
非常に面白かったです。

単位を換算するのはメンドウクサイので原文のままにしておきます。

ー17℃の氷を溶かすのに必要なエネルギーよりも、水を蒸発させるのに要するエネルギーの方が、7倍以上も大きい。
汗は体を冷やそうとする生体反応から生じるもので、発汗すると言う事はすなわちオーバーヒートであると言う事だ。
しかも汗には塩分と油分が含まれており、この濃度が高まると蒸発しにくくなる。こうした濃い汗を蒸発させるのには、純水を蒸発させるエネルギーの3倍要する。
発汗初期の汗の方が冷却効果が高く、発汗が続き、塩分と油分の濃度が高くなって行くと、冷却効果が低下する様に感じるのはこの為である。

綺麗な水で汗を洗い流すと、この冷却作用はリセットされ、また涼しく感じるようになるだろう。

とにかく、発汗の目的とするものは、体を冷却する以外に無いと言う事を銘記すべきだ。他の動物に無い、発汗と言う現象で人類は問題を抱えることになる。皮膚上にある水分が蒸発し熱と水分を失う、これを『不感蒸泄』と言う。『不感蒸泄』は『汗』(液体)では無く蒸気であり、不感でも無い。皮膚が冷えるのを感じる事ができるだろう。但し濡れた感じはしないので『不感蒸泄』と呼ばれている。

そしてこの蒸気は、たちまちにして衣服内で結露する事になる。通常、冷たい外気では相対湿度はほぼ100%に達するので、外気はこれ以上の蒸気を受け取る事ができない。従って殆どの不感蒸泄は結露して冷たい水となり、衣服を濡らし、保温能力を奪いさる。そして再び相対湿度が下がると、更に凍えるような不感蒸泄が皮膚から起きる。この、蒸発→結露→蒸発のサイクルが繰り返し起きるのである。

たとえアウターレイヤーが『Breathable 透湿性』のものであろうとも、衣服の上で蒸気が露点にまで温度が下がると結露してしまうのだ。
この不感蒸泄による、冷却作用と水分喪失は、皮膚近傍の空気の相対湿度にのみ依存している。つまりあなた自身はコントロールできないと言う訳だ。

もう一つ、大事なのは我々の温度感覚は相対感覚しか無いと言う事だ。
そして温度変化を感知する事ができるのは皮膚しかない。
例えば、がたがた震えるほど(Shivering)寒くなった後で、温水の浴槽につかると、実際にはまだ温度が低いのに、とっても熱く感じるだろう。自分の体が暖まるにつれて、皮膚はもう熱いと感じなくなる。そして今度は浴槽から出ると、蒸発が起き、すぐに寒く感じる。しかし体を拭いて乾かすと、又すぐに暖かく感じてしまう。
我々が、オーバーヒートを感じるのは、皮膚が汗で『濡れる感じ』に頼っている。
吸汗性の下着を着ていると、オーバーヒートから来る汗をすぐに吸い取って皮膚から移動させてしまう。だからさらっとして快適ではあるが、オーバーヒートに気づきにくくなると言う皮肉な結果になる。こうした吸汗性の下着は、冷却が必要な時に気化熱による冷却作用を阻害し、保温層に水分を移動させ、後で必要なときには保温層が濡れてその役目を果たせないと言う仕儀に相成る。

ここで注意して欲しいのは、快適さを保つのに役立っているのは吸汗性であって、透湿性では無いと言う事だ。だから吸水性の無いポリエステルやゴアテックスにはこうした快適さは備わっていない訳なのだ。
オーバーヒートから来る皮膚の発汗で湿った感じがしたら、すぐに換気をして余分な熱を排除しなければならない。こうした事を適切な時に行う知識と技術が必要だ。
熱中症や熱疲労は、オーバーヒートに気づかない為に起きるのでは無いが、吸汗性のある衣服は発汗に気づくのを遅らせ、危険な状態になる可能性を増すと言える。

必要な時に発汗の冷却作用を発揮するのを阻害し、保温層の衣服を濡らしてロフトをつぶし、後で暖かさが必要な時にあなたを凍えさせてしまうのだ。

大げさに言うと、ずぶ濡れになるまでオーバーヒートに気づかず、気づいた時はすっかり手遅れ、、と言う事だ。
結露によって保温層が濡れてしまうと言う現象は、ほぼ外気温にのみ依存しており、アウターレイヤーが透湿性があるとか無いとかには関係が無い。
あなたが、『濡れても保温性を保つ』等と言う間違った広告文句の為に疲労凍死してしまう前に、是非一度、保温ジャケットをずぶ濡れにしてしぼり、それを着てみる実験をオススメする。
間違った広告文句はあなたを暖かくしてはくれない。

こうした事は、ごく短い野外活動であれば通常問題にはならないだろう。しかし! 長時間~複数日に渡って野外にとどまって活動をするスキーヤーやハイカー登山家にとっては大変シリアスな問題になりうる。
吸水性のある下着は不感蒸泄を防ぐ訳では無い。不感蒸泄を防ぐ唯一の方法は、皮膚の周りの空気(micro climate)の相対湿度を上げるしか無い。それは皮膚に接したVapor Barrierによって可能になる。Vapor Barrierは、気化熱と水分喪失を94%抑制する事ができれば上等である。ゴアテックスはなんと97%をブロックする。のこりの3%をしてゴア社は『breathable 透湿性』と称しているのだ。

仮に皮膚近傍の空気の湿度が100%だったら、蒸発はストップする、つまり不感蒸泄も凍える事もストップする訳だ。乾燥した日よりも湿気のある日の方が暖かく感じるのはそうした理由があるからだ。一方、雨の降る日は冷たく感じるのは、雨滴が結露促進作用(condenser)として働くので空気中から湿気を取り除き、結果的にドライなコンディションに近づくからと言える。

皮膚に発汗が起きても、蒸発に追いつかなければ、皮膚はドライになり、凍傷にかかりやすくなる。蒸発による冷却作用があると、0℃の気温でも体感温度はー11℃にもなるのだ。
『Breathable透湿性』のあるスリーピングバッグに寝た時、一晩の不感蒸泄で最高1800gもの水分を失うと報告されている。翌朝、スリーピングバッグの重量を測定してみると、900g~1800g も増加している事が分かる。
この事実は、発汗とその蒸気はスリーピングバッグから外に排出されずに中綿の中で結露してしまう事を示している。
1800gもの水が蒸発すると言う事は、あなたから4320BTUもの熱量が奪われ、同時に中綿内に結露した水分によってインシュレーションも失うと言う結果になる。
1ポンド(450g)の氷を溶かすのに144BTUの熱量が必要だが、4ポンド(1800g)の水が気化するのに必要な熱は実に30ポンド(13.6kg)もの氷を溶かす熱に相当する。30ポンドの氷を抱いてベッドに寝てみたいと思いますか?
Vapor Barrier無しにスリーピングバッグに寝ると言う事は、まさにこうした事なのだ!

8時間の睡眠中に1800gの水分が失われると言う事は、次に続く活動中の16時間にはもっと多くの水分が失われるであろう事は容易に想像がつくだろう。こうして起きる脱水は深刻な循環障害を引き起こし、凍傷に至る事になる。寒くて乾燥した気候の時は、たくさんの水を飲むようにと言う、昔ながらのアドバイスは実に当を得たモノだと言う事が分かる。Vapor Barrierを使えば、一日中、皮膚の周囲に暖かくて湿気のある空気を作り出すことが出来る。この作用が脱水の進行を食い止めるのに役立つだろう。

第2次世界大戦中、寒冷地に赴く部隊はVapor Barrier(VB)のソックスと手袋が支給された。そして凍傷を防いだ実績がある。やがてこのVBが『Korean Bunny Boots』となり、現在なお、寒冷地でのスタンダードになっている。
我々は1957年からVBソックスを販売し始めた。それから手袋、シャツ、やがてスリーピングバッグにVBを使い出したのが1967年の事だった。他のメーカーもVBの衣類やライナーを販売したり、販売を止めたりしていた。
それは、不快なコーティングされたナイロン生地の使い心地のせいであったり、使い方を殆ど教育しなかったせいだったり、ライナーをスリーピングバッグに連結する方法に問題があったりしたせいだった。そして、殆どのヒトがVBを使わなくなっていった。
メーカーや販売店は、イージーな物を売りたがる。そしてカスタマーを教育する必要がある道具は避けるのだ。
『Breathable透湿性のある』素材に関して強力な広告戦略が展開されれば、販売店もカスタマーに真実を全部告げる事は、販売成績にリスクを負う事になるので、やりたがらなくなる。彼らは売らない物については語らないものなのだ。
VBライナーを売ろうとしないメーカーと販売店の最も良く聞く言い訳は『顧客を教育している時間が無い』と言う物だ。 なんたる思慮の無さ!

スリーピングバッグにVBライナーを加えても、換気を頻繁に行えば、暖かさが増す事にはならない。しかし、少なくとも、汗や結露によって中綿を濡らす事だけは防げる。これが、全てのシーズンでVBを推薦する理由だ。
Stephensonの FUZZY STUFF は、表面が起毛して吸汗性があるので、オーバーヒートが予想されるような夏の時期には好ましいだろう。

VBに対する最も良く聞く議論は、過剰な期待によるものだ。つまり、VBは常にオーバーヒートをもたらすと思っているのだ。湿気をコントロールするだけで温度管理が全てまかなえたら楽でいいのだが、物理的にVBから得られる暖かさは、最高で11℃がせいぜいだ。VBの真のメリットの一つは、オーバーヒートを感知させる役目をする事なのだ。つまり汗をかきだしたら、すぐに湿った感じがして気がつく訳だ。体からのメッセージに敏感になれると言う事はメリットなのだと知って欲しい。

ウィル・スターガーは、スポンサーから与えられた『Breathable』な『Quallofil』のスリーピングバッグを使って北極
まで犬ぞりで到達する冒険を行った。当初17ポンド(7.7kg)のスリーピングバッグ(Stephenson's Warmliteの2kgのダウン寝袋と同じくらいのロフト)は、最も乾燥しやすいように犬ぞりの一番上に乗せて運ばれたが、2~3週間の旅の間に、結露と氷によって52ポンド(23.6kg)にもなってしまった。
一方カナダーソビエト連合チームはStephenson's Warmliteのダウンシュラフを買ってクロスカントリーで北極を横断したが、旅全体を通して、暖かく、ドライな寝心地だった。
その後、ウィル・スターガーは、我々から FUZZY STUFF Vapor Barrierを購入し、彼のQuallofilの寝袋に使用して、もっと長い旅の南極横断の旅に出た。(Duponから50万ドルものサポートを貰って!)
その結果、旅の間ずっと暖かくドライな状態で居られたと言う。


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by ulgoods | 2005-11-01 07:43 | カワサキさん | Comments(14)