又鬼山刀 / ナガサ

ずいぶん前から欲しかったマタギの山刀、ナガサをやっと手に入れた。
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これは買うに当たっては数年に渡り何度も躊躇していた。果たして自分がこれを持つに相応しいか...マタギの魂といわれる刀、軽々しく手にすべきモノではないと感じていたが、最近ではポチッと一発で買うことができるから、そう深く考えなくても良いのだろう。想いは発酵しており、手にして感じることがあればそれも収穫だ。
ポチッとしてから僅か二日目の朝、それはあっけなく届いた。作り置きの在庫があったのだろう。私のような者でも買うことで作り続けてもらえれば、それも佳しかとも思う。

どうせなので、一生モノということで七寸の本格的なモノにした。少し重いが刃が厚く峰の部分で5mm程、枝打ちなども出来るとあるから普段でも使えるだろう。
刃物の表現はよく解らないのだが..ありきたりと思うが、凄みのある光沢と質感とでも書こうか、これは文字通り刀である。
試しに文庫本の表紙に刃を当ててみた。刃の重みだけでスーッと切れていく。適度な重さがあり、手首のスナップで大概のモノは断ち切れそうな感じだ。重量396g、握った感じバランスがよいので重さは感じない。ハガネに軟鉄を合わせてある日本刀の製法か、刃の部分に微かに金属の合わせ目の波紋が見て取れる。装飾性はないが、実用一点張りなのも気に入った。

銘は阿仁 西根正剛、丸に誠の印があるので四代目西根正剛(西根登氏)の物である。氏の一代保証とのこと。誠の文字はご内儀の名前の一文字らしい。その名に懸けて打った物なら尚更に安心して使えよう。
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私のはフクロナガサといい、柄の部分は刃と一体化した金属を巻いて出来ている。
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この部分を棒に差し、目打ち釘で止めて槍にもなる。かつてマタギの銃が先込めで一発しか発射できなかった時代に、打ち損じたときに手負いの凶暴化したクマと戦う武器であったらしい。実際、マタギの写真を見ると、目打ち釘を紛失しないように長い柄に紐でくくってある(http://www.geocities.jp/yamapon65/tisantisyou_dougu_ani_matagi.html)。これならとっさの時に槍モードに出来るはずだ。
鞘は柾目の秋田杉。紐付きで115g。桜の樹皮だろうか、巻かれており、木地に鼻を付けると微かに芳香が残っている。絶妙な寸法加減なのだろう、最後の一押し5mmくらいでキュっと抵抗が増して、挿した後は逆さにしても刃が抜けない。こんなもの足に落としたら大変なことになるのである。指が何本あっても間に合わない...
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普段のハイキングで、これを腰に下げて山を歩くことはありえないが...先日、父親の13回忌で帰郷した折、今年は何度か戻って母親について山菜採りなど学ぼうと思い、その時は腰から下げて山に入りたいと思う。藪払いや山葡萄を採る時に役立つかもしれない。その昔ガキの頃、大人の山仕事に連れられて山へ行ったことがあったが、大人達は木の鞘に入った鉈を紐で腰から下げていたものだ。妙に印象に残っているが、やっと私も手に入れた。ガキの頃、出刃包丁を持ち出して裏山の藪を払って基地を作り、出刃の刃を駄目にしてこっぴどく叱られたが、やっと自分の刀を手に入れた。尤も、もう叱る人もいないのだがね。
まずは、庭木の枝払いなどして慣れておこう。柄には滑り止めを巻かないとな。自転車のハンドル用かテニスのラケット用が良さそうだ。本家に頼むと名入れしてくれるという。後からでもいいのかな?問い合わせてやってもらおうかなとも思う。
研ぎも練習しないとな...これはいい先生の当てがある;-)
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以前書いた山の民俗誌は遅々とではあるが読み続けている。マタギ刀の本物を手元に置いて山に暮らした人々に思いを馳せてみたい。
ああ、ドブロク作りも習わないと...


以前、マグロの頭をホイル焼きにしようと格闘し、包丁を駄目にしたことがある。これなら心配ないがまな板を割らないようにしないとな..
更新をサボっていました。ここは一献、Clickでテコ入れと

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by ulgoods | 2009-02-07 00:36 | 生活系 | Comments(28)
Commented by 亮介 at 2009-02-07 01:40 x
これは又、ULの対極にあるものを(笑)
と、お約束の突っ込みをしてみます。でも、いいですね。いつだかダガーナイフの事件があった時、実物を写真で見て、思わず魅入ってしまいました。やはり、惹きつけられますね。実用性はともかく。
Commented by rwalker at 2009-02-07 01:49
遂に購入されましたか。

柄に巻くのはゴルフクラブ用のグリップテープが良いと聞きました。
巻く前には、何かを塗ってしっかりと防錆加工をした方が良いと思います。
研ぎは、水砥石でベタ砥ぎするとプロ風で切れ味も良いですが欠けやすいです。
簡単な方法だと、板にマウスパッドを貼り、その上に耐水ペーパーを張ったもので研ぎます。

鞘は、雪の上で休む時尻の下に敷くと濡れや冷えを防ぐと聞きました。
付属の丸紐よりも、林業用品店で売っている鉈用の平紐にしたほうが使いやすいです。

ナガサはバランスが良く、重さを感じにくいのはその通りなのですが、その反面チョッピングパワーが小さく、重さで切る作業では普通の角鉈に劣ります。
あまり無いとは思いますが、一日中鉈を振るうような時はナガサはけっこう疲れますね。
それでも、手首くらいの太さの枝なら慣れれば一振り、少なくとも二振りで切断できます。
Commented by ★joxter@自称山菜研究家 at 2009-02-07 01:55 x
烏口だけは学生時代にとことん研ぎましたが、刃物は何故か駄目ですね。研ぐ前よりもなまくらにしてしまいます。
小生に買われる刃物は例外なく皆可哀想な末路を辿っていますので、
断ちました。。。

ご帰郷の折りには是非お供して学びたく。。。
Commented by ulgoods at 2009-02-07 10:55
亮介さん、そちらの雪山(ソリ遊びも)、いいなぁ!!
ナガサは軽くないですが、blogのタイトル的には範疇かと...
今度、帰国の際には買い求められてはいかがですか。小振りなやつを、秋田杉の鞘を腰に下げてアルプスの山を..実用性はゼロに近そうですが(笑
刃物は魅入られるとヤバイので、これ一本きりにします。
Commented by Gen. at 2009-02-07 11:05 x
剣鉈、妖艶にして鬼気を放ちますね。

ただ、使うのがもったいないんですよね。。。貧乏性な自分…。
さすがにコチラでも腰からさげて出歩くわけにもいかず。
地味げなシースを作ってもらう? とか考え中です。

Gen.
Commented by ulgoods at 2009-02-07 11:11
rwalkerさん、アドバイスをお待ちしておりました。
耐水ペーパーでの研ぎ、今度実演して下さいまし。
錆止め塗料とゴルフのテープですね!順次準備します。
鉈用の平紐ってあるですか!林業用品のサイトを見ましたが、紐の類の小物は発見できず。
紐は携行時の安全のためにと、鞘に収めた状態で柄に巻いて、試しに刃を引き出してみましたが..あっさりと刃が引き出せて、そのせいでスッパリ切れてしまいました。取り替えないとと思っていた矢先です(涙

Commented by ulgoods at 2009-02-07 11:18
★joxter@自称山菜研究家さま、
烏口は砥石の上に油をひいて円を描くように研ぐんでしたね。設計製図実習の度に墨入れで何度泣いたことか..ので、すぐにステッドラーにしてしまいました。

交通機関に持ち込むのは憚られるので、予め宅急便で送っておかないと。
タラの芽の頃に一度行きたいと思っているのですが...
なんやら、小さな林もあるらしい(植林に行った記憶がありました)、それも見に行かないと。
せっかくのド田舎生まれなのでね、師匠もいることだから、やってみないと勿体ない。
Commented by ulgoods at 2009-02-07 11:26
Gen.さん、ごぶさた。
耐寒試験やり放題でしょうか?

使って(滅多にないと思うけど)大きく刃が欠けたら阿仁を訪れてみる機会になるかもしれません。昨年夏に歩いた八幡平・田沢湖辺りから近いんですよね..

銃刀法がアレですから、人前で腰に提げてているとショ引かれますよね。
シース作りに於いては、ター某師匠やrwalker師匠などいらっしゃるので...でも、和な刃物には木の鞘は良いですよ。削って火口にでもしてしまったら、作り直しを考えます。

刃物に魅入られないように用心します。

Commented by 信ちゃん at 2009-02-07 13:28 x
こんにちは(^^。
ハモノの類は以前●イフマガジンを毎月買っていたくらいの中毒者でした。いまはコレクションの大部分を処分して、スイスアーミー等実用品が何点か残ってるだけです。
かつてフクロナガサのデッドコピー(?)で、COLDSTEELのBUSHMANというやつを持っていましたが、錆びやすい炭素鋼系はズボラな自分には合わないということをそれで知りまして(笑
でもこのお品は何ともヤバげな輝きです。ぼくも再び沼にはまらないよう注意せねば(^^;;

Commented by ulgoods at 2009-02-07 17:03
信ちゃん、ども。
ハモノ系の人でしたか...処分なさったコレクションも一財産だったのでは!UL系グッズは買った時点で二束三文ですが、刃物は再販価格良さそうです。

ご紹介のCOLDSTEELをYouTubeで見てみましたが、エグイもの作っていますね。あちらの国で出回っているとしたら銃よりこわいかも。

ナガサ、錆びさせないようにしないと。ミシン油で良いのかな?
先ほど庭で木の剪定をしましたが、うまく当たると恐ろしくきれいな断面でスパっと。思いっきり打ち付けましたが刃こぼれもなく。
これ握って庭から出るとヤバそう...ってか、即座にヤバイ人にされちゃいますよね。
注意します(^^;;


Commented by 理事長 at 2009-02-07 18:43 x
ははは、!
買っちゃいましたね。
男の子?は皆同じ事を考えるんですね。
私もずいぶん前ですが同じのを(と言っても6寸モノですが・・・)買っちゃいましたよ。
しかし、買った時はワクワクして庭で植木相手に振り回したりしたのですが・・・、1回沢に持って行ったきりで、家を新築した時以来お目にかかっていません。どっかに有るはずなんですが・・・。
それから、あの鞘も好いのですが、山に持っていくのでしたら“カイデックス”を使ってシースを自作するといいですよ。
カイデックス板と、合板と固めのスポンジ、それからCクランプがあれば軽くてコンパクトな実用的なシースが簡単に自作できます。
では!
Commented by rwalker at 2009-02-07 19:20
鉈用の紐は予備があるので送ります。

最近は、鞘に取り付けるベルト通しを使用する方が多く、紐で吊る人は少なくなりました。
確かにベルト押しを使うと、作業ベルトに吊るせるので、燃料や工具、手斧などを収めた腰袋と一緒に装着でき、便利では有りますが、荷物置いて行動する時に面倒なので、私は紐を使ってます。
ベルト通しはサイズが合うかどうか確認しておきますね。

ナガサは鉈の一種ですが、私は包丁代わりに使うことが多いです。
熊や鹿もばらしたこと有りますが、こちらは小型ナイフの方が使いやすく、どちらかと言えばナガサは、鮭のような大型の魚をさばく時や、鳥をぶつ切りにする時使いやすかったです。
Commented by ulgoods at 2009-02-08 04:32
理事長殿,
へへへ、買っちゃいましたっ。
しかし、理事長殿も全く管理不行届で...私のナガサの行く末を暗示しているようでもありますが、今日はこれから娘を連れてスキーに行くのですが、理事長殿の轍を踏まないように気をつけます。

カイデックスのシス-は...心当たりの師匠筋がいますので、指導を仰ぎながらやってみる予定。近所の刃物屋に素材があったと思います。

せっかくなので鞘まで作って楽しみ倍増計画で行きましょうか(笑
Commented by ulgoods at 2009-02-08 05:25
rwalkerさん、紐、ありがとうございます。
急がないので、次回で結構です。感謝。

私もやはり紐ぶら下げ派です。紐の方が和で良いです。

鉈というより包丁の使い方、私も再度マグロの頭に挑戦してみます。
では、ゲレンデですが、スキーに行ってきます!
Commented by rwalker at 2009-02-08 21:49
了解です、近日中に発送します。

この紐の鞘への取り付け方は、鞘の穴を通すよりも、突起部の上下に巻いて固定する方が良いです。
この結び方は、文で説明するのが難しいので、年配の林業経験者に聞くと良いです。
腰に付けるときは、外科結びにすると緩み難く解きやすいですね。

>スキー
奇遇ですね、私もゲレンデに行ってきました。
暴風警報が出るほどの強風で大変でした。
Commented by yasler at 2009-02-08 22:04
ごぶさたしております。
ナガサですか、やはりそこに行きますよね。
遠藤ケイ氏の「熊を殺すと雨が降る」によると木の加工をするには剣鉈も良いそうです。
でもやはり槍になるというギミックを持ったフクロナガサは魅かれます。

ボクのヴィクトリノックス・クラシックと比べると笑けますね。
Commented by 『ターボー』 at 2009-02-09 06:32 x
とてもよい物をお買いになりましたね。
ナガサ系は当方も大好きな物。
当方は柄に籐巻き/漆塗りのハンドルに作り替えています。

研ぎはうまくやらないと「波紋」が消えますので、「消えてしまったら」はご相談ください。(^^)

どぶろく? このような奥が深い物までご興味があるとは…
今が作り時ですが、、、
次にお会いした時に「話題」がたくさんありそうです。(^^♪

Commented by ひで at 2009-02-09 08:22 x
いいですね~刃物は・・・・・
岐阜県は、刃物の産地の関市があります。刃物市だと結構面白い物があります^^

私は、キャンプに使う鉈・ノコギリのセットがお気に入りです。。。
森林組合で使われている、土佐の物です。。。生木でも、(ふぃっふぉっつ)って音をたたえて切れますよ~^^

わたしも、こんなんも欲しいです^^でも高そう~
Commented by ulgoods at 2009-02-09 09:40
rwalkerさんm
>突起部の上下に巻いて固定する
出来れば写真を頂戴いたしたく。身近な林業関係はrさんしかおりませぬ。
スキーは、北八ツのピラタスへ行きました。以前までは川向かいの富士見だったのですが、上の雪の塩梅も確認したかったので。でも雪は少ないですね。
東京も強風だったらしいですが、北八ツは風はなく快晴でした。
数年ぶりに滑りましたが、ま、何とか滑れて安心。
Commented by ulgoods at 2009-02-09 09:45
yaslerさん、久しぶり。
歩いていますか?
遠藤ケイ氏の本、最近読んでいるのですが、熊雨の中の林業系記述の多くが今読んでいる山の歳時記とかぶり、理解が深まっていたところです。
やはり、槍にトランスフォームするからフクロを選んでしまいました。
でかい刀を手に入れましたが、普通のハイキングのときはビクトリノクスのクラシックしか持たないと思います。
ナガサは時々取り出して眺めるくらいにしておきます。
Commented by ulgoods at 2009-02-09 09:55
ターボー師匠、お待ちしておりました。
本格な研ぎのときは..お送りして研いでいただこうかと思っていたくらいです。
ナガサで検索すると以前のターボーさんの記事が出てきますね。私も余力があれば包丁代わりに4.5寸もそろえたいところです。
籐巻き/漆はお見事です。実際に機会はないでしょうが...硬いもので締め付けると槍モードのときに柄が広がらずに困るのではないかと思いまたので、ゴルフの巻くやつで我慢します。

どぶろくは、うちの叔母が名人でして。大人のカルピスと称して馬肉の刺身とやると堪りません。運搬すると破裂するので、飲みたければ作るしかないですね。少量なのでお役所にはお目こぼし願いたい感じ。

今考えると、欲しいと思ったものが郷里にあったことに気が付いたのか、その郷里で育ったので欲しいと思うようになったのか、わからんようになりました。わざわざ東京暮らしをして、田舎のものに惹かれているようでは、何しに来たのか...
Commented by ulgoods at 2009-02-09 10:03
ひでさん、
確かスパイダルコなんかも関で作ってるんでしたよね。ビクトリノクスなどは関のお店から通販で買いました。
刃物市ですか...売っている刃物以上に血眼で捜しそうな自分が怖い(笑
いろんな刃物をWebで見ましたが、ナガサはお買い得価格だと思いました。
いろんな事件があり刃物は悪役ですが、刃物自体には罪はなく、商売が成り立つことで生きた伝統技能が受け継がれ、刃物があっても危険がない世の中になって欲しいものです。包丁は規制のしようがないですからね...
Commented by rwalker at 2009-02-10 21:29
画像小さくて見づらいですが、こんな感じです。
http://www.museum.iwate-u.ac.jp/dfcweb/osanai/o134.htm

>北八ツは風はなく快晴
いいですね。
こちらは吹雪で子供が泣いてました。
最近、毎週、週末は荒れてます。
Commented by ulgoods at 2009-02-11 12:54
rwalkerさん、ありがとう。
紐は穴と出っ張りの上下を留めているようですね。
回転しないようにとか、腰にフィットするようにという感じかと思いました。
Commented by at 2010-04-23 09:01 x
初めまして
又鬼山刀を拝見、ふくろナガサを購入され、一般登山道では腰に下げ無い事を守って下さい。
藪山、ルートを探しながら道無き道を行くには最適な山刃かと思います。
木鞘ナガサは私も20年前から使っております。
Commented by ulgoods at 2010-04-23 10:52
夢さん、こんにちは。
私は軽い装備で歩く派なので、一般登山道でこんなに重いものは持ち歩けないです。御安心下さい。
昨夜はカツオをブツ切りに重宝しました。
郷里に小さな杉林があるので、手入れに行く時は腰に提げます。時々研いでやって長く使いたいと思っております。
Commented by Maxinpains@gmai at 2011-04-14 11:58 x
Is it possible to weld the handle part connections? because chinese manufactures finally start to doing it & I'm sure Japanese can make that much better since this is original. thanks
Commented by ulgoods at 2011-04-15 14:49
Hi Maxinpainsm
It's made as a one-piece. Check this video.
http://www.youtube.com/watch?v=b7Bc7miMT48&feature=player_embedded
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