橇敗退
喜々としてパーツを取り付けた橇を曳いてきた。 場所は馴染みの北八ツ、ゴンドラ駅から。新しいスタッドレスの皮剥きも兼ねて空いた中央道を走った。なんせ、デカい橇をい使い、担ぎきれない程の荷物を運ぶためのテストであるから、普段馴染みの電車バスでは荷物が多すぎて移動できない。この先、どんな難関が待ち構えているのか予想はできなかった。 第一の難関は...気持ちよく走っていたらバックミラーに赤色回転灯が...orzやられた!車載レーダー感知器は無反応だったが...一縷の望みを託して減速し走行車線に戻り何事もなかったように走行してみた。赤色灯が併走し、おじさんがちょっと怖い目つきで睨みやがる。観念して誘導を待ったが(初めてじゃないしね)、少し前方に出てフロントのナンバーを確認する視線を投げた後、屋根の赤色灯が引っ込み、そのまま通過していった。ん!助かったのか?その後ゆるゆる走り、でもトンネルの中で流れに任せて追い抜いてしまい、そのうち姿も見えなくなったので流れに乗ってそれなりに走った。 第二の関門は下のゴンドラ乗り場であった。もぎりのお兄さん曰く、橇は禁制の品物と言うことだった。そりゃ、プラ橇でゴンドラ駅から滑り降りられたら危険きわまりない。ゲレンデを曳いて登るのもダメという。ああ、乗る前に敗退かぁぁぁ... ということにならないように、事前に電話で荷物の持ち込みについて問い合わせておいたのだが、橇自体ダメよということは無かったので、XXXさんに確認済みでと、その旨を事務所にお伝えし、滑り降りるのではなく上で橇を曳いて楽しむのだと言うことを力説して、この関門も通過した。 第三の関門..もう、関門だらけだが..乗るときも大変だった。曳くつもりで普段持たないような豪華装備を詰め込んだ主に宿泊用のデカいザックの他に、行動中必要になるモノを詰めた軽いザック、スノーシューのかばん、橇、橇のポールと山ほどの道具、ボーダーやスキーヤーに混じりながらの異端のハイカーは大汗かきつつ両手背中を駆使して何とか乗り込んだのであった。 上は-9℃くらいか、まぁまぁ冷えていた。 さまざまな関門を通り抜けてやっと曳くことができると思ったら感無量である。感極まり、坪庭で休憩中の方に一枚お願いした。 足元は昨年同様、ズック靴(Montrail Namuche)の上にネオプレーンの防寒とした。曳くなら足首のサポートも不要なので、次回は短靴(HardRock)にしようと思う。担いでいるのはGolite Vision Pack、背面にフレームシートが入っているので緩い荷物の時も便利、久々のお声掛かりだ。 とりあえず、雨池峠を通過するのが目標。その後、双子池か白駒池へ向かって天泊の予定だ。 曳いた感じは結構いい感じ。平地ではほとんど抵抗を感じない。そればかりか、慣性が付いた橇に腰を押される感じで歩が捗る。下りは楽の一言。少しもたれるように歩くと良い。上りはさすがに抵抗を感じるが荷物の重量を考えると背負う比ではない。上りも下りも腰で曳く感じ。 サクッと縞枯小屋を通過し、雨池への分岐も通過し、意気揚々とフカフカ雪が残る雨池峠にさしかかった。 少し歩いての経験だが、曲がるときは橇を追従させるために、腰をちょいとひねって橇の先頭を逆方向に向けてやると追従の度合いが宜しいことが分かった。雨池峠の下りもいよいよ急になり、木々を縫うように忙しく腰をひねっていた時だ、橇が横転した。あらら、こっちは橇の前方1.5m、両者の間はカーボンポールであるから、手が届かない。ポールを捻って立て直そうとしたが、結局、これが良くなかったようだ。仕方なくハーネスを外して橇をなおして、ハーネスを着けて下るもすぐに横転する。???と思って橇を見てみると、ああやっぱりここか...取り付け部が破断しており、捻れ方向に力には踏ん張りが利かない状態になっていた。 どう抜けるか、第四の関門が待ち構えていた。 とりあえず、荷物固定のストラップを使って引き千切れることだけは阻止したが、雪の斜面で、今後どうしたものかと考えた。 こうなったら橇もろとも担いで歩いて峠を下りてキャンプを張ることはできるだろうが、帰りが大変だ。準備不備で第一の目標が失われたのだから、山より道具としては撤退して修正して再試行すべきだろう。そうと決まれば、普段持ち込まないような豪華食材や、温い寝袋での快適キャンプに未練はない。橇の割れが悔しくて眠れないはずだ...しっぽを巻いて逃げることにする。 橇の割れがひどくならないように反転させ、カーブの通過も人が轍を回り込むように歩いて峠を登り、雨池分岐にたどり着いた。ここまでくれば橇が割れようと背負って帰るにしろ何とかなるはずだ。まだ日も高い。無駄に時間はあるから縞枯の小屋でコーヒーでも飲もうか。 ちわーーと入った小屋の中はいつもながら暗く、窓からはスノーモビルに並べて停めた橇がよく見える。ストーブ脇に座り安堵したとき、小屋のお兄さんに声を掛けられた。Blogの人?若者は小屋に登る前に橇の記事を読んでくれていたらしい。わはは、敗退の事実がバレてしまった。尤も、彼の口から下界に漏れるのは春の頃だろうと言うことであったが...彼は一冬籠もってテレマーク三昧の日々を送るとのこと、うらやましい。 橇の割れだが、もともと懸念された強度不足が見た目通りに不足だったことに尽きよう。既に轍ができている道では橇は轍に沿って進しかなく、橇の進行が強制され、その度に接合部に捻れ、剪断、伸び圧縮と、あらゆる力が繰り返し作業し、千切れてしまったのだ。今思えば補強を充分に行うべきだったと悔やまれる。なんせ、時間がなかったのでヤッツケでなんて言うのはお山では言い訳にならない。早めに壊れて良かったのだ。 次回、頑張る! 準備不足を山は見逃さない... 腰を据えてやらないとね、捻ってる場合じゃなかった。 続きを読んでみい人がいて、励ましがあるとすればここをClickで→
by ulgoods
| 2008-12-28 12:32
| 山行
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doting on ultralight gears more than mountains...
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