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Ultralight Solo Micro Tarp

Ultralight Solo Micro Tarp

■発端
行き倒れBivy派としては、以前からBivyの頭部だけを覆う最小限のタープが欲しいと思っていた。頭部というか、Bivyの弱点は雨天時の出入りなので、その部分だけ保護できれば結構な気分で、雨がない時はタープも不要だから自然と最小限のものを求めることになる。雨天時Bivy用タープ(と女性の水着)は最小限の布で構成できれば上等だ。
先日、八幡平で使ったアライのシングルツェルトは、あれはあれでステキだが、素材がいま一つそそられないのと、ちんまりとした閉空間を張ってしまうというのは行き倒れ感に乏しいよなぁ...みたいなことを話していたら耳より情報が入ってきた。
英国発の

Ultralight Solo Micro Tarp
というもの。
英国は日本と同様に雨がちなので、野外活動における彼らの動向は米国のそれよりも参考になったりする。古くは極地探検を一人で背負う気概を持っていた国で年季が入っており、スパイ映画でおなじみ極小秘密兵器ガジェット好きなお国柄は日本と似ている気がする。英国紳士は保守的と思いきやUL宿泊系山道具はそこそこ過激だったして、案外とBivy類もお好きなようだ。
傘をキリキリ巻く性格からか、Ultralight Solo Micro Tarpと同じシルエットながらCuben Fiberで作った25g版

も存在しており、彼らの超軽量指向の気合いの入り方が伺える。
私も将来的にCubenで作るとして、これは使える形なのか?先ずは手持ちの材料で作ってみることにした。

■製作
材料は最初はTyvekでやるかなと思ったが、布の幅的に不足で、無用の縫いが必要になるのでRayWayで買ったTarpKitを使うことにした。Kitは失敗に備えて二個買ったが、首尾良く一発目で大物の二人用が出来てしまっており、もう一つ一人用を縫うのもアレな感じで、使うときは二人用を一人で贅沢に使っても良いし、重さが嫌なら二人用を解いて切り詰めて縫い直せば一人用は得られるから、Kitは何か別の形への流用と考えていたところだった。
パターンを見て布から切り出すが、RayのKitからだと二個切り出せる。最初はパターン通り、次はちょと変形させて作ろうと思っている。
パターンを写すのは簡単だった。四角の布を得たら、各頂点からの距離を手近な頂点から測ってマークすればよい。さほど広い作業場所は要らないので助かる。無駄な布が多く出る形状なので、今後は袋類の材料には困らない感じ。手元の布は設計図より10cm広いのだが、きっちり合わせないといけない理由も乏しいので、余った長さは適当に按分した。
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タープの縫製も簡単だった。切り出し後、折り返して縁を縫い、ループ類を縫い付ければお仕舞い。数時間で出来てしまう。腕も少しは上達もしたようだし、迷うことなく一気に縫い上げ、設計通りの120g台で仕上がった。
元のパターンでは左利き文化用になっていたので、裏表ひっくり返して、右手に長い庇が出来るようにした。
今回は#50の糸を使った。上下とも糸の調子を強くして縫い上げたが、調子が強すぎたか、針の速度を上げると上糸が頻繁に切れてしまう..まだ何か変なんだな。全く我流なので試行錯誤の連続だ。

■張り姿
とりあえず、庭で試し張りをした。
SilNylonは良く伸びるので、キリキリ張ると、ねじれの部分にカテナリー曲線のような勝手成り曲線が見られて美しい。
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もっと高く張った方が良いかな?このままでは出入りが辛い。

■Bivyと
運良く雨が降ってきたので、Bivyを持ち込んで庭で寝ることにした。
Ultralight Solo Micro Tarp_e0024555_916325.jpg

使ったBivyは英国製、RabのSuper Light Bivi(米国ではBivy、英国ではBiviというようだ)。7月に硫黄岳下でも使ったeVent製の軽量Bivyだ。作り的には防水されており、雨天でも使えるはず。もっと軽いRabのPertex Endurance製のUltra Biviと合わせることを考えていたが、縫い目は溶着で止水なのだが、メーカー曰く生地自体が防水ではない&ジッパーが雨蓋のない普通の物なので、今夜の雨では保たないだろうと思いヤメた。マットは、MontbellのU.L.コンフォートシステムパッド150に枕を連結して使った。枕を連結すれば身長174cmの私は、膝を少し曲げるだけで全身が乗っかる。寝袋はNunatakのArc GhostというダウンQuiltを入れた。ダウンの湿り具合からeVentの透湿具合を見るのも目的である。0度用のBivyなので、短パンTシャツで充分だろう。

雨中に具を仕込んだBivyを投げ出して定位置にセットして潜り込んでみた。Superlight Bivyの出入りは頭部U字型ジッパーであり、大きく開かないので、出入りに少し難儀する。Tarpはやはり低く、長手の庇は出入り時に利用できなかった。が、出来るだけ体をTarpの奥に押し込んで、少しの間Bivy内部を雨に曝して潜り込んだ。傘があればだいぶ良いだろう。雨で使う場合は、体を起こして雨具の着脱が出来ねばならないと考えていた。が、今回の物はちょと辛いなぁ。少なくとも90cm以上の高さが欲しい。ま、一枚物なので、張り方で所要の高さは得られるはずで、次回はもう少し高く張ってみる。高さがあって、開閉可能な小さな庇が付いているとステキかも、など考えながら時を過ごしていたら寝てしまった。
このBivyは蚊帳が付いていないのを買ってしまった。うちの庭にはまだ蚊がいるので、ツバ付きのキャップを被り、その上からモスキートネットを被って、首元はBivyを締めて保護するで充分機能していた。

時折、雨音で目が覚めた。雨は大粒でかなり強い。Bivyは大丈夫かと内部を触ってみたが、浸水は見られなかった。そりゃ、雨具に使うeVentをシールしてあるのだから、そうそう簡単には漏れないはずだ。湿り具は?eVent部分はさらりとしていて湿りがない。さすがは最強透湿素材と安心したが、床部分は10000mm laminated nylon 40D waterproof baseと言うことで耐水圧は問題ないが、地面は結構冷えていたので、床材が冷やされ、内部の湿気が結露している手触りであった。横寝すると腰の部分のダウンがBivyに圧迫され、かつその位置は直接雨に打たれているので、Quilt表面付近の内部で結露していたかもしれない。結露自体は素材の透湿性とは関係なく、その場の湿度と温度で決まる現象だ。が、腰部分以外は問題なく、それ以外の部分は乾いてフカフカであった。横寝をやめて仰向けに寝て、Quiltとの密着度合いをゆるめて、結局そのまま朝まで寝てしまった。

雨は朝にはあがっていた。もぞもぞ起き出し、Bivyを引っ張り出して、具を取り出した。Quiltは概ね乾いていたが、足元に若干の濡れが見られた。ま、足は温度が上がらないから結露の標的になるので仕方がない。重量を量ったら505g,投入前の493gに比べて12g程増加していた。雨の中で一晩過ごしたにしては悪くないだろう。二泊目に突入しても大丈夫な感じだ。
ああ、Bivy内の環境を測っておくんだった。温度と湿度..センサーを数個投入して、足元と、他の部位で同時に測ってみたいなぁ。

■今後
今回の形状は雨天での出入りが必ずしも便利ではなかった。後頭部が地面に直接ペグダウンなので高さが取れずに有効に利用されていない。幅はあまり要らないので、頭部だけ高くて、小さな庇があって、右側に多めの空間がある形...次回はそんなのを縫おう。アライのシングルツェルトをぶった切って頭部だけ使う手もあるが、アレはアレで軽いので、そんなことしてBivyと合わせても重量が嵩むだけ意味がない。将来的にCuben Fiberで縫えるよう、独自の形を作り上げたい。50g程度なら、持って出ても悔やむことは無かろう。


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eVentでシングルツェルトを作ってくれないかなぁ...

by ulgoods | 2008-10-09 09:17 | MYOG
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