二日目

目が覚めたのは5:30位だったと思う。既に周りは起きていたので、その物音で目を覚ましたのだろう。実によく寝て爽快だ。幸せなのでQuiltをかぶり直して少しの間微睡を楽しんだ。
そのうち、沢を詰めてきたお隣さんが朝食を始めた。メニューは菓子パンと湯を沸かしてコーヒか..朝飯に菓子パンは良い考えだな。押されても中身がはみ出ない定番品を探して真似しよう。さて、私も何か食うかと上半身を起こしたが、昨夜のヒジキと板麩入りアルファ米が意外に腹持ちが良く、空腹ではないのでトレールミックスを一掴みとコーヒーで済ませた。コーヒーはJAVA Juiceを水で薄めて飲んだ。別に熱による澱粉のアルファ化の必要がないし、体も冷えていないから湯を沸かす必要もない。ま、固形燃料を屋外で使うのが朝一番は面倒だったこともある。カフェインを摂取して、これで屋外へ出てニコチンを充填すれば必然的に朝のお勤めが始まるはずだ。外は相変わらず曇っていた。約束が違うじゃないかと思ったが、まだ時間も早いから山の天気はこんなもんだろう。
片付けをして掃除をして挨拶をして小屋を出たのが6:30、今日は長丁場になる予定だ。昨日の雨で笹が濡れているから上下とも雨具を着込んだ。靴も濡れているが、Gore靴下を履いているので問題ない。
出だしからこんな道。
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5m行くと笹が覆い被さって前が見えない道になる。

■雨具
当初はシェルターを兼ねてSixMoon DesignesのGatewoodCapeIntegralDesignsのSilPonchoのポンチョ系とモンベルのレインチャプスで良いかと思ったが、普通の雨具にして正解だった。というのも..濡れた笹を跨いだりすると、レインチャプスでは保護されない股の部分を朝露の葉が通過して濡れてしまう。ポンチョも枝に引っかけてしまいそうだ。天気が良くなって朝露も乾いてくるが、上半身の雨具を先に脱ぎ、下半身が脱げるようになるのは10時くらいだった。今回使ったのはモンベルUSAのピークシェルジャケットで、これは脇腹から腕にかけて大きくPitZipが付いているので全快にすると換気が良い。生地の透湿性も優秀だし、胸元も大きく開けるので、結果としてポンチョと同程度の換気ではなかろうかと思う。ああ、雨具のズボンはチャックを開けて歩く。オヤジっぽいが、換気優先。

■八瀬森山荘へ 6:33-9:57
松川温泉への分岐を通過して7:22に大深山1541mに着いた。この頃になるとやっと空も晴れ、岩手山まで良く見通すことができた。裏側から岩手山を見るのは初めてだが結構不細工。眼下に八幡平樹海ラインがすーっと伸びている。単車のようなエンジン音の車が1台、気持ちよさそうに道を登っていった。この時期の早朝に屋根の開く車で走ったら爽快であろう。
このころ、反対側からの二人組とすれ違った。聞くと、乳頭温泉から入り北上し昨夜は八瀬森山荘泊とのこと。笹藪の中で急に出会うので心臓に良くない。地元の人のようであるので、田代平までの道を聞くと、概ねこんな調子だが次第に良くなる傾向だと教えてくれた。ただ一カ所、相当悪いところがあるらしい。昭文社の地図にも出ている曲崎山のことだろう。やれやれである。
しばらく歩いていたときのこと、突然、背後に気配を感じて振向いた。黒いものが見える。ええええっと思ったが、黒いトレパンに赤いヨットパーカー、普段着系のお兄さんであった。この方も地元の人、足が速い。今日中に田代平小屋まで行って、奥さんを乳頭温泉に迎えにこさせて合流の予定らしい。今日中に田代平小屋へ向かう人が居るとは心強い。一緒に歩こうと思ったが、超軽装で微妙に足が速いので先に行ってもらった。その後、道々このお兄さんのスリップ痕を見て楽しむことができた。すぐに八瀬森山荘からの男女ペアと会う。やはり、さっきのお兄さんに少し驚いたとのこと。気配を消して歩くのが上手いのだろう。
小休止時に撮影。靴は水溜まりで泥になり、笹藪で洗われてきれいになるを繰り返す。
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関東森9:36通過。更に小振りの湿原を通って八瀬森山荘へは3.5時間掛かった。昨日、2時間ロスせずに日没近くまで歩けば何とか到達できた計算だ。
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この山荘はブナの森の中にある。羽目板が黒光りしてなかなか堂々たる姿だ。はしごが掛かり、二階にも出入り口がある。小屋の下が黒いのは長期間雪に埋もれる故の防腐剤を塗っているのであろう。内部は土間にテーブルがあり、ストーブも置かれ、二階の手摺りには布団が干してあった。単行本や鍋釜も残置されているが、整理整頓されているので雑然感はない。寝具があるなら食料だけ担いできて逗留しても良いかもな。
小屋の手前を流れていた小川に水を汲みに戻ったが、なにやら飯粒が漂っている。握り飯でも落としたか、食器を洗ったか..ちょと残念。が、水飲み場を汚すヤツも居るまいと目を転じたら5m程上流に踏み固められた水場があった。今回は荷造り時に塩タブが見つからなかったので三沢基地内のバーガーキングで獲得した塩の小包を持ってきてある。二袋を水に塩を溶かし、大量の水と飲み塩分補給とした。ここの水も旨い。
30分の大休止。雨具の下も脱いだ。
この先、なにやら悪い雰囲気が予想されたので熊鈴をストックのストラップに付けた。鳴らしたい時に腕を振って打ち鳴らすことができるので良い。ザックに付けたままで同じ程度に鳴らすには、かなり奇妙なダンスをする必要がある。
朝飯を食っていなかったが、先ほど、塩水を大量に飲んだこともあり腹は満腹。ナッツバーを食ってエネルギーを補給しておいた。

■大白森山荘へ 10:29-14:05
八瀬森山荘を出てすぐ、ブナの森の中、日の差し込む所にヒラヒラと雪のように舞うものがあり、しばし見とれた。羽を広げて2cmにも満たない蝶?私の通過に伴ってどこからか湧いてきてまたすぐ消える。よーく見ていると、ブナの幹から現れまた消えていく。どうやらブナの幹と保護色になっており容易には気がつかないタイプだ。一匹を目で追って止まったところを観察したが、触覚の形から蛾だと思う。その後も数カ所で雪の舞を楽しむことが出来た。
途中、こんな手形を発見。
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ああ、ちゃんと居るんだなという感じ。

曲崎山11:50、笹で覆われた結構急なピークだが、眺めはまずまず。見渡す限り目に入る一面が森、なだらかな起伏が樹木で覆い尽くされている。私も森深いところへ来たものだと嬉しくなった。
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小突起が畚岳でその奥が八幡平頂上付近。あそこから来たのだ。
曲崎山からの下りは背の高い藪と掘れた急斜面で難儀した。ちょうど足の幅くらい掘れており、無造作に足を置くと漏斗状の掘れの底に向かって足が滑り、その後尻餅をつく。足元だけ見て歩くと危うく獣道に入りそうになる。しかも雰囲気も悪い。熊と鉢合わせしないようにと、手首にある鈴を打ち鳴らしながら歩いた。
大沢森12:48を経て、標高1000m未満の低いところへ下がる。その辺りは下草が藪からシダに変わってスッキリした山歩きができた。途中、道とGPSの乖離が大きい箇所があり、大沢へ向かう道に入ってしまったが、沢の音を聞いてこりゃ違うと引き返したら標識を見つけた。いかん、だいぶ疲れてきたようで注意力が落ちている。トレールミックスを食って一服して小休止とした。20分ロス。分岐から30分ほどで大白森山荘に着いた。ここも新しいログハウスである。窓ガラスに反射させてポートレートを撮った。
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ここの水場は一見涸れており諦めようと思ったが、近づいて見ると集水升のオリフィスから升の壁にへばり付いて少し水が流れていた。升の底の奥にシェラカップを差し入れるとありがたいことに1分ほどで満たされた。飲んでみたがここの水も旨い。シェラカップを満たし、ナルゲン袋に移す作業を繰り返して、2Lの水を補給した。口が広いナルゲンの袋は水を移すのに都合が良かった。

■大白森山荘から大白森 14:33-15:00
途中、シャリバテを自覚し、立ち止まってトレイルミックスを食った。シャリバテは少しの登りでも息が上がり足が重くなる。前回の赤岳断念の時と同じ状態だから自覚できるようになった。5分くらいの休憩だが、チョコレートが効いたか、すぐに回復した。とは言え、もう14:30、ちょっと田代平小屋へ着くのは危なくなってきた。
大白森の湿原は忽然と現れた。かなり大規模だ。山の鞍部ではなく頂上付近の起伏のある地形に存在するのも不思議な感じ。長い時間を掛けて形成された湿原にずっと延びる木道をただ一人、秋色の草原を風に吹かれて歩いた。気持ちよい。
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■日没へ
大白森から一旦少し下って登り返すと小白森の湿原がある。ここは湿原の中ではなく脇を通るのだが、湿原に少し入った木道の終点から先に踏み跡があり、乾燥していたのは残念だ。まったく、残念な人が居るものだ。
さて、この辺から日没を意識しなければならない。
案としては、
A案:鶴の湯分岐から温泉へ降りて投宿し、翌日にトレールに戻る。
B案:5時を過ぎて、適地があれば不時露営を行う。
C案:残業をして田代平山荘まで頑張る。
の3つ。A案はあまりに残念だ。一旦降りて温泉でふぬけになれば登り返しなどできようはずもないことは自分が知っている。B案は悪くはないというか、その可能性への対処できる装備で来た。C案では恐らく日没から1時間くらいは歩くだろう、道の状況によっては採用しないこともない。とりあえずA案は破棄と決め、鶴の湯分岐を16:28通過した。
人里に近いと道は広い箇所が増えて歩きやすいが、喜んでいるとすぐに笹藪でがっかりという繰り返しの道が続いた。時計を見ると不時露営を選定する17時になっていた。すぐに1063.4mのピークがあるはずで、山頂辺りは等高線的になだらかであったので、第一候補とした。着いてみるとその場所は道幅も広くなっており、良く踏まれ、おそらく人が休むのだろう、瓶の破片なども落ちていた。取り敢ずその場をチェックして前進したが、その先は緩い下りになっており、先は地図的には鞍部で湿っていることが予想されたので戻って17:03、1063.4mピークで露営と決した。

■野宿
アライのシングルツェルトは出発当日に足元に換気口を開けてメッシュを張る改造をしてあった。こんなに早くにテストする機会を得るとは、不意の露営ではあるが好都合であった。手早く設営を済ませて、必要な物のみ出し残りはザック諸共Sea to Summitの防水袋に入れてシェルター脇に転がしておいた。汗で濡れたパンツを脱いでタイツに穿き替え、これまたSea to Summitの洗濯物干しロープを張って濡れたTシャツやパンツを乾かしに掛かった。ま、乾かないだろうが..
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飯は不思議に腹が減っていないのと、獣のことを考えるとこの場所で食い物を調理したくない気持ちだったので、トレールミックスを食っただけで済ませてしまった。

■熊用心
友人の弘前大学探検部OBのKにこの山域に入るに当たって電話で情報を仕入れてのだが(Kは登録前だが大学の近くの白神山地を釣り竿を担いで縦横に泊まり歩いた果報者)、地元の人は熊避けに蚊取り線香を使うと言うことであった。幸い夏の残りがあったので私も持参した。要は煙なのね!と思い、小さな焚き火を思いついた。道沿いに枝を数本拾ったが湿っている。こういうのは煙が良く出る。親指大の枝を数本組んだだけの小さな焚き火であったが湿った枝では点火には難儀した。燃えやすい樹皮が得られる植生でもなく、小さなビクトリノクスではナイフで削ぐことも出来ない。代わりに持参の単行本と蝋燭を使って何とか点火に成功した。単行本はカバーと巻末の書籍の宣伝ページを使い本文に至らなかったのは幸い。読んだページまでは燃やしても良いのだが、わたし的には本を傷つけるのは嫌な気分な人だ。蝋燭は寝かせて使うと蝋が流出して消耗が激しいので上から蝋を垂らした方が火興しには良かった。チョロチョロだが煙ぼうぼうの焚き火脇に寝そべって小さな炎に魅入って小一時間過ごした。顔を上げると、ほの暗かった筈が既に真っ暗に暮れており、ブナの枝の間からは星の瞬きが認められた。明日も晴れればよいが。その後、持参の蚊取り線香に点火し、シェルターに潜ってラジオを点けた。
さて、人の気配をぶんぶんに振りまいて眠りに入るわけだが、一つ頭を過ぎった心配は、里が近いので残飯などの味をしめた人擦れした獣が餌の期待を持って寄ってくることだった。とは言え、その対抗手段は畢竟、山を下りることに他ならず、私は山に居たいので忘れることにした。蚊取り線香はまだ仕事をしているようであったので、ラジオも煩いから10時くらいには消して寝てしまった。

■股ズレ
焚き火横で寝そべっていたとき、股の付け根辺りにかゆみを伴った痛みを感じた。股ズレか?思えば、昨夜は雨と汗に濡れたが下着を替えずに寝て乾かした。今日も汗で濡れてしまった。パンツはさっき脱いで干しており、今はタイツだけでかなりフリーな状態なのだが、ふぐりと股の境界辺りの皮膚が痛た痒い。下着はボクサータイプだったので、そこの場所は皮膚、布、布、皮膚となっており、今フリー状態で皮膚と皮膚が触れる状態になって痒みが出たような感じ。早速、ファーストエイドキットから、アルコール綿を出して指と患部を消毒し、抗生剤入り軟膏を塗り込んだ。少しヒリヒリするが、快方に向かう予感。持ってて良かった!股ズレで山行中止では情けない...
使った分は補充せねば。

■シェルターの通気性
今回持参したシェルターは小さいので荷物は大半は外の防水袋に入れ、中には酒と緊急用具くらいしか持ち込めない。ま、Bivy泊と同じだから慣れている。
今回は足元を切り抜いて網を貼って通気口を作った。
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アライのシングルツェルトに長年買わなかった疑問を自己解消したつもり。たぶん換気は効いていた。頑張ってたばこを吸ってみたが煙は抜けているようだった。結露低減に役立つ筈だ。

■翌朝、三日目の朝飯
ぼたぼたという雨音で目が覚めた。あーあ、雨かorz
山では朝方は天候が不安定だが、ラジオを聞くと宮城あたりは晴れらしいので晴れが広がることを期待して、化繊Quiltにくるまって待った。そのうち晴れ間も見えだしたので、穴蔵を抜け出して朝飯の準備を行った。メニューは、アルファ米に顆粒昆布出汁と醤油と削り節、それと大量のヒジキ、大豆で出来た代用肉を投入し、湯を掛けて保温袋で蒸らした物と味噌汁である。乾物は土屋さんの店で入手した。飯は結局はゆかりを掛けて食うのだが、アルファ米に乾物の類を入れると歯触りもあって食ってる感が強まり、かつ腹持ちも良いようだ。これなら富山の先生も文句を言うまい。元々大量の脂肪を携えて歩いているわけだから、脂肪燃焼の点火剤程度に炭水化物が取れればOKよ。
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■出発
食後、また雨が降り出した。もう一晩ここにいても良いのだけれど、そのうち水も切れるから歩かないと。撤収に掛かった。やはりというか、また雨なので干し物は乾いていなかった。先ずはマットを丸めて入れて骨格を作る。その筒の中の底に濡れ物を放り込む。続いて防水袋を入れて完全防水区画を作り、化繊Quiltを投入する。Quiltは特にスタッフザックには詰めない。というか、大きめザックなのでキリキリ詰める必要がないし、その方がザックの無駄な空間も減って好都合で化繊のロフトも失われない。次いで食料の袋、着替えの袋、行動食袋を入れて、その上にGraniteGearのザックに着いていた大きな巾着袋を乗せて防水区画を閉じ、その上に水など濡れても良い物を乗せてザックを閉じる。巾着の中はストーブ袋、エマージェンシー袋、トイレ袋、行動食などの小物が入っている。この袋の中は乱雑で構わない。あまり小分けしてスタッフバッグを多用するとその分の重量が嵩むから。脇のポケットにシェルターとTyvekの敷物、水筒を入れてパッキングは完了する。持ち物と定位置が決まってきたのでサクサクと撤収は進むし、足りない物があればすぐに気がつく。

■熊?
雨風が強まった中、既に10:53、荷造りと身支度が出来て数歩歩き下りに掛かったところ、濡れたせいか熊鈴の音が不調だったので視線を鈴に当てて二三度打ち鳴らしてみた。ら、その時、15m位先であろうか、黒い影が飛んでいって藪の中、バキバキという枝を踏み折る音と、ドスドスという振動が起こった。あ、熊か!一瞬の出来事であった。数秒で笹の鳴りは終わったのでまだ遠くに行っていないかもしれない。首から提げたホイッスルを短く吹いて鈴を鳴らし、「おーい、居るよ-、来るなよー」と声を上げた。そういえば、笹藪は時々口を開けて、大きな獣の通った跡が沢山ある。居るんだなーと納得した。頭上では風が轟々鳴ってるし、雨は強くなったし、暗いし、笹深いし...悪い雰囲気充満なので、その後は積極的に鈴を鳴らし、ホイッスルを吹いたり、「ホーホー」と声を出して歩いた。なぜホーホーか理由はないが、他に良い言葉も考えつかなかった。

■下山
11:18、蟹の湯分岐にさしかかった。ここから下れば乳頭温泉は30分。このまま進めば田代平山荘だ。さて、どうするか。予定では今日は小屋を経由して秋田駒まで進み、阿弥陀池避難小屋まで行くことになっている。が、風雨強く荒れ模様。稜線に出るのは辛そうだ。田代平小屋で停滞するのも良いが、なんといっても30分下れば天国のような温泉がある..暫し辻に立ちすくんで考えたが、考えていたのは進む理由であって、心は既に温泉に向いていることに気がついた。温泉!と歩みを曲げて下りを選択した。
相変わらず雨風強いが、森の中は風はなく、ブナの幹を蕩々と水が伝い流れている。雨の中の森を歩くということ、これはこれで幸せなことだ。
やがて藪から舗装の道に出た。突然目の前には大きな宿が立ち、大釜温泉と書いてある。11:55、森から出たら雨も直撃で一層ひどいので温泉の庇に走り込んだ。

■邂逅
そういえば、来るときにバスではあるが仙台を通過するので領主のrwalkerさんに仁義を入れておいたのだが、氏はアグリなお仕事で、収穫が忙しい時期でも天気が悪ければ顔を出すかもしれないと返信が来ていた。緩く言っていたが律儀者のrwalker氏のこと、来ている気がしていた。早速下山のこと、もし乳頭山でお待ちならご容赦の旨メールして温泉に浸かった。源泉掛け流しの乳濁した良い湯だ。どうせバスは1時間に1本、普段は有名温泉でも行水程度だが今回は諦めてゆったり入った。暫く居ても誰も湯に来ない。外は相変わらず風雨強い。飽きたので道後温泉風に床に寝そべり、時々手桶で湯を掛けて寝ていた。そのうち露天風呂があるのに気がついた。頭を雨に打たれながら湯で過ごすのも風流だろう。底に何やら触るので摘んでみたら沢山の団栗が沈んでいた。上の木から落ちたのだろう。野趣あふれる湯であった。
いい加減、手の甲までふやけたので溶けてはイカンと思って湯から出て、帳場で酒を買って飲んでいたらメールが来た。rwalker氏だ。読んで驚いた。隣の孫六湯に下山したとかいてある。早速電話を入れて大釜温泉にいる旨伝えると、2分後に車が駐車場に滑り込み、ちらっと見た運転手はrwalkerさんだった。玄関で再会の握手をし、rwalkerさんも一風呂浴びるということなので、私もほろ酔いではあるが、また湯に入った。本当は一人一回の入浴で500円なのだが、帳場のオヤジも仕方ないでしょと笑って再入浴を許してくれた。湯の中で聞いたが、やはり律儀者の氏ゆえ、言ったからには朝早くに孫六湯から乳頭山に登り、下って田代平小屋で昼寝しながら私を待ったが、現れないので悪天候もあって下山してきたという。こちらの動きを読んだ見事な包囲網。rwalker氏の網からは逃れられないことを悟る。その後、氏の車によって仙台へ連行され、焼き肉屋と居酒屋ハシゴによる酒池肉林の時を過ごし、帰りは足元ゆったりバスで新宿に送致された。普通バスで3000円、ゆったり贅沢タイプで4000円と嬉しい金額である。バスは仙台へ向かう途中の車内から携帯で申し込みが出来た。便利な世の中だ...

田沢湖までは歩けなかったが、楽しく山歩きが出来てよかった。
日本アルプスでなくとも深い森なら満足は大きい。


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トレラン靴とGore靴下で足の濡れは問題なかったが、バスに乗って気がついたが、濡れたズックは少々臭うのであった..
「登山・キャンプ」へ+1..Click!



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by ulgoods | 2008-10-01 12:31 | 山行
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