アライ シングルツェルト
アライテントのシングルツェルトは日本発の世界に誇れる変形シェツターだ。 自分的には頭骨入りのBivyザックとツェルトの中間形状だと思っていて、雨天でのBivyでの悩ましい出入りの問題と、ツェルトの頼りなさげ感を解決する形だという期待の高まりはあるのだが、なぜか、ほしい物リスト中での地位は万年3位低迷で不動であった。 スペック的には 重 量 280g サイズ 設営時:間口(入口)90cm×高さ(入口)90cm×奥行200cm 収納時:17×8cm カラー オレンジ 素 材 30dnリップストップナイロンPUコーティング(エスフレッチャー) アライ社的には たった280gのツェルト型ビビィザックです。 と言っている。 ツェルト的に考えるとサイズ的には厳しいものがあるが、Bivyと比べると充分に空間が大きい。Bivyと比べることに若干の違和感はあるのだが、耐候性を持つ最小重量で夜を明かす道具として見れば比較は許されよう。 SingleZeltは居住性という判断基準を持ち込むことができる最小限の大きさと思う。無論、その居住性は期待できないが、無いよりかは遙かに上等だ。具体的には、頭部の空間があって座ることができるから、全てが寝たきりのBivyと異なって雨天でも座って食事ができる余地がある。奥行き200cmというのは横になる最低限の長さで余裕がないけど無駄もない。足下を吊れば三角形に空間を確保でき、下半身も風雨が直接触れないから伝導による冷えを防げる。 頭部と足元にも空間がある軽量BivyとしてはBlackdiamond Lightsabre(793g)とNemo GoGo(1.02kg)を持っているが、空間としてみた場合の決定的な違いは、ARAI SingleZeltは頭から潜り込んでも内部で反転(当然、壁面に触れるが)することができる点だ。Lightsaberは横開きで寝袋に入るスタイルで、雨天なら内部を雨に曝す。GoGoは四つん這いになって後ずさりしないと入ることができず、雨天なら手足を汚す。雨の日は別途屋根が欲しい。 重量的にも、ARAI SingleZeltは頭骨入りBivyとして見た場合はぶっちぎりの軽さである(280g)。というのも、頭骨入りビビと違って、トレッキングポールで吊るから専用骨の重量が不要だ。空気梁のGoGoですら梁とポンプでそれなりの重量が嵩んでしまうのだ。その代わりSingleZeltは自立はしない。リッジラインを張るだけのガイラインを伸ばす敷地と四隅のペグダウンは必須で、多少は張る場所を選ぶ。 ツェルトとして見た場合、足下が絞り込んであるのでその分の布が軽いはずと期待した。ちょうど、同社のスーパーライトツェルトと同じ間口と高さで足元を大胆に絞り込んでいる姿だ。ま、実は重量的にはスーパーライトは280gであり、SingleZeltと同じである。これは生地が28dnリップストップナイロンPUコーティング(東レ「ファリーロ」中空糸)に依るものだろう。同じ素材でシングルツェルトを作ってくれれば240gくらいになるのかしら?量産品だからいろいろと事情はあるのだろうが、どうせ変な形で世界に誇っているのだから素材も切り替えて、うぉ!と驚く重量に仕立ててほしいが、現時点ではSingleZeltの方が多少の耐久性を持っていると期待したい。また、足元が小さいから風に強いことを期待している。 ARAI SingleZelt、売れていないのか?写真や情報が極端に少ない。頭を出したおじさんの写真以外は得られなかった。結局は手にして調べないとよー判らんわけだ。幸いに価格設定が程良かったので、欲しい物リスト中の順位が急上昇して買ってみることにした。Hiker's Depotの開店日に注文して、翌週に手にすることができた。しかも、雑誌で何度か拝見したアライ社の人が手渡し納品に来た場に居合わすことができたので、いろいろとお話を伺うことができた!という特典付きであった。 夏の間にはびこった雑草や茗荷を片付けた裏庭は、まだ蚊どもの帝国なので、こちらはユーカリレモンの防虫剤で武装して臨んだ。 RayWayのTarpに比べれば、小さい分だけ張るのは簡単! 張力が掛かるリッジラインは軽量生地の重ねだけでは強度的に不安が残るらしく、内側がバイアステープで補強されている。こいつに止水機能はなさそうなので先ずはシリコン剤で目止めした。わたし的にはこのシェルターは雨天で使いたいと思っている。 張って観察して判ったが、足元の三角の構成が面白い。これはリッジラインには縫い目が無く、リッジラインは折られているだけで、斜め方向に折った布を中央の縦縫い目でとめている。これなら縫い目の重さと工程を節約できるし、このサイズであれば構造的にも充分だろう。 入り口の稜線一つとサイドにはジッパーが使われているのだが、さすがにツェルトというだけあって、前面の下は紐で結ぶ仕様だ。こやつは足元に通気がないから、ヘタに全部を閉めると窒息するかもしれず、紐結びで隙間ができてしまう構造にしてしまって、下から風を入れて上の筒に導くことで顔面周辺の換気を確保する考のようだ。もちろん軽量化にも役立っているが、雨の跳ね上がり対策や対昆虫戦は気持ちよいほどに無視されている。床の奥行きが少ないから結構ぎりぎりに頭が位置し、雨の跳ね返りは辛い感じ。 わたしが長らく買わなかった理由として、生地の透湿性と足元にベンチレーション必要なのでは?という二点が思い出された。生地は「若干の透湿性能をもった防水コーティングです」となっているが、若干がどのくらいかは全く不明である。これが透湿性に優れるeVentで作られていれば文句無しに即買いであるが、そうなると重量も嵩むから魅力は薄れるので難しいところ。ベンチレーションは、前段で書いたとおり生存用は確保されているのだが、結露的には足元から頭上に抜ける空気の流れが欲しい。足元の構造用の縫い目だけ残してあとは切り抜いてメッシュを張るという手もあるのだが、そうすると耐候性が致命的なことになりそうなので、ちょと考え中。小さな庇が要るかな?あるいは吹き流し型か。いずれにせよ、通気が得られれば生地の透湿性は低くても結露が低減されると思う。元々の形状的から、体温で暖まった空気が上から抜けて足元から吸い込みで気流が起こるんじゃないかという予感。 幸い、裏庭で張っている期間中に降雨を得たので、内部にマットと化繊のQuiltを持ち込んで寝てみた。 入り口にメッシュがついていないので、AntiGravity Gearで買ったBrawny Gear製だったと思う半身用の蚊帳を吊った(廃盤)。唯一、頂点の内部に小さなループがついている。 充分狭いが最低限の広さはある。頭から入ってから反転できたので、雨でもなんとか暮らせそう。暑いのに我慢して数時間寝ていたが結露は見られなかった。気温が高かったので、結露条件を満たしていなかったかな。で、暑かったので私は抜け、SingleZeltだけを雨の中で放置しておいて、あとでヘッドライトを付けて中を見たが、生地に針先ほどの小さな濡れスポットが多数できていた。もしかしたら強い雨で少し漏るかもしれない。Cuben Tarpとの併用が吉かも。紐で結ぶ裾は雨の跳ね返りで少し内部に浸水で水溜まり出来。ま、タオルで拭けば済む程度なので重大な問題ではない。 足元の換気が解決したら、ちょっとお山で使ってみようかなと思う。 あるいは半分でぶった切って、Bivyの屋根として使うか... 時間が取れそうなときに限って台風か...週末はどうしたもんかなぁ とりあえず「登山・キャンプ」へ+1..Click!
by ulgoods
| 2008-09-18 16:20
| 宿泊系
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doting on ultralight gears more than mountains...
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