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自作タープ張り姿

ずいぶんと縫い目ばかりの写真を掲載してきたが、実は私も果たしてこれがタープになるのか?全容を見たことがなかった。30cm四方とばかり格闘していたからだ。

つぼみが開いていくような、昆虫が羽化して羽を伸ばすよな、日の当たらない場所で作り込まれたカオスの中に内包されている筈の出来上がりを日の下で展張し、姿を現そうではないか!と言うわけで、近所の公園で試し張りをしてみた。たぶん、広げればタープになるはず。晴れてるし、ついでに目止めも済ませてしまおう、という目論見もあり、公園へとペダルを急いだ。

やれやれ、なんしかデカい。主稜線の長さが2.7mでくちばしを入れると3mを超える。幅も張った姿で2.3mが予定されている。
張り方は...一端のビークリフターをペグで地面に仮留めする。リッジラインを伸ばした状態で、反対方向のコーナー2つにガイラインを通してペグで留め、ビークリフターに長いガイラインを付けてトレッキングポールで吊り上げて張力を掛け、各ガイラインを調整して片側だけ自立させる。反対に回って仮留めしたペグを外し、リッジラインに張力を掛けてビークリフターをポールで吊り上げる。その後、コーナーをガイラインで張ると最低限の本数での張りが得られる。ビークの先端のガイラインをポールに結びつけて、くちばしを張って、取り敢えずの形ができた。
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デカいタープなので、強風下で安定させるために、最大でガイラインを20本張ることができる。というか、ループを20個も縫い付けた。あと、インテリア用にビークの稜線の中間に4個もループを縫い付けてある。

おおお、タープの形になっているではないかっ!やっと全容を目にした瞬間だ。
素直に嬉しい。
しかし、リッジラインのシワは縫いで曲線になった部分、多少は重力による弛みに起因するが局所的なのは勝手成りカーブだ...

続いて、各側面のサイドリフター2カ所に1本のガイラインを通し、その中間を別のガイラインを使って小枝をポールにして吊った。低く張るとゴキブリのようでもある...が、この姿を見たいばかりに、構想2年、製作は計3日(しかし総工費はお安い!)を費やしてきたのだ。
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各ガイラインの位置を微調整したり一段と張力を掛けて、シワがないように仕上げる。低く張って、縁に付けたループをガイラインで張れば強風にも耐えられるデザインだ。
細部を検査したが、縫い目が崩壊したり裂ける気配はない。きちんと縫えていたようだ。ちゃんと力に耐えている。縫い目も開かない。ゆるゆる縫い目はおさらばだ。
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中に潜ってみる。ビークが低く張り出しているので出入り時には低姿勢を要求されるが、内部は高さもあるし、サイドを吊ったこともあって、とても広い。低く張っても居住性は良く、サイズに余裕があるので雨風をしのいで眠ることができそうだ。
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ああ、幸せだ。地面に寝転んでそう思った。


RayWay Tarp1号であるが、細部を見ると残念な箇所が多い。ふたり用タープなど滅多に?おそらく使う場面はないので、次作、本命の一人用の製作に俄然意欲がわいてきた。1号の残念な点の1/3は裁断の不正確さに依ると思う。縫製自体は作りながら上達したので、次作は型取りと裁断を上手くできる方法を考えてから臨みたい。

サイドリフターの取り付けであるが、力は真下ではなく、ほぼ水平斜め45度くらいに掛かる。その意味で菱形の当て布と縫いの方向はOKなのだが、ループの縫い付け方から、今の取り付け角ではねじれ方向の力が掛かることが判明した。端を揃えて幅方向を水平にして縫い付けるのではなく、V字型に開いて、あるいは縦方向に揃えてい縫い付けるべき。もしかしたら解いて付け直す。

目止めしようと、シンナーと注射器を持って行ったが、シリコン剤の使いかけのSilNet少々は良かったが、いつの物だろう?開封していないSilNetがまるまる一本、内部で硬化していた。使える状態ではなく、ビークリフター周辺のみ目止めしてお仕舞いにせざるを得なかった。お金以外、貯め込みすぎると腐ってしまうのは物の理なのだろう。
炎天下はシール作業は適さなかった。風通しの良い屋内か、完全な日陰で行うべき。

初めて縫い物に挑戦したが、相手は布であるから、針と糸と鋏があれば何でもできる。他の工作に比べて自由度は高い。思いついたらダダダと縫い付ければ良いのだ。が、相手は布、シャンとさせて縫わないと思ったような線が出ないのも事実。縫い作業では段取りや、縫い中の布の捌きなども重要。総合格闘技の一種とも言える。

RayのKitだが、今思えば最初から裁断されていなくて良かったかもしれない。採寸と裁断から関わることで、一枚の布に鋏を入れて裁ち、縫い合わせて大きな面を作り、折り込んで強度ある稜線を形成し、立体に仕上げていくという全行程を体験することができた。一枚の布から全てが始まるというのが重要と思う。
補強材やガイラインなど、全てのパーツを個々に集めたのでは手間とお金が掛かるから、一枚布が入ってきたときは驚いたが、これはやはりKitである。
ガキの頃、雑誌で見た。真鍮を削って蝋付けして実際に走る機関車を作っていたおじさんの記事。型取りされたプラモではなく、ああ、これが趣味の大人の手仕事だと憧れていたのだが、多少なりとも、そんなことがことができたことに満足している。

紫は..写真で見るときれいな青だが、本物はやはりド紫だ。Rayのサイトに出ている縫い上がり自慢の写真達でも紫は1人しか作っていない。そういう意味では希少なタープと思うことにする。
何で紫を選んだんだろう?ポチッとするときにTitanium GoatのPtarmigan Bivyと合わせるとお洒落と思い込んでしまったに違いない...orz

以前、MFDさんにさんに練習用と称して材料を送りつけてQuiltを製作して貰ったが、どーりで最近は縫ってくれないわけだ。とてつもなく神経をすり減らして、目をショボショボさせる作業を要求されることが判った。
多くの場合は...買えるモノなら買った方が安い。
しかし、私の業界の言葉だが、「ある物は使え、無いものは作る」というのがあるが、これも一種のプライスレス。曲がった縫い目も私にとっては価値がある。縫った時が思い出される。


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縫う自由を手にした。あれもこれもと思いは広がるが、次はズボンの裾上げだ。海外通販で買ったやつは少し長いのでね...
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by ulgoods | 2008-09-13 07:05 | MYOG
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