石尾根

こうも毎週土曜に降られたのでは、いくら引き籠もりハイカーのULGと言えど山へ行けない憂さを悪天で紛らすのにも飽いていた。
歩かなきゃ。
日曜は晴れるらしい。土曜の一日くらい雨に降られたって日曜を晴れで迎えられたら素敵だろうし、「月様、雨が...濡れて参ろう」くらいの気持ちで歩くかと思った。
というわけで、手っ取り早く石尾根。珍しくちゃんと正しくホリデー快速に乗って、鴨沢西行きのバスにも乗って下から歩くことにした。いつもは小袖乗越までTAXIでズルをするんで、下からは初めてだ。鴨沢下車は3人。カップルは雲取山らしい。
出発は鴨沢バス停トイレ横階段から。
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さて、雨なら雨で試したいことは沢山ある。
主要装備は
ザックはMLDのProphet、リッジレストを中に巻いて骨格にした。
屋根がGossamerGearのSpinnShelter
寝袋はNunatakのArc GhostというQuilt
BivyはTitanium GoatのPtarmigan Bivy
防寒上着にBozeman Mountain Worksの化繊中綿ジャケット
防寒ズボンがMontbellの化繊中綿ズボン
雨具はMontbell USA Peakshell Rain JKT/Pants
靴はMontrail Namche+ROCKY GORE-TEX Socksで耐水試験
火器はEsbitで
QuiltはBivyにセットしてeVentの防水袋に入れてザックの底へ置いた。羽毛の寝具を濡らさずに持ち上げたい。その上に別途30LのSilNylonの防水袋をセットして他の物を入れた。ザック自体はSpinnakerの目止めをしていないので漏ると思うけど中は完全防水になっている。ザックカバーは他に役に立たないので使わない。
足は通気性の良い靴にGore-Texの靴下だ。
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Gore靴もあるがチョイと古くて折れ曲がり箇所で防水が破られていそうだし、明日は晴れるから軽くて通気性の良い靴が幸せだろう。今日の防水は靴下に任せる。
ゲーターはIntegralDesignesのeVentモノで、雨具の中にした。ゲーターを外にするとズボンを伝った雨が中に入って結局は中を濡らしてしまうから。防汚効果はないが、濡れるよりマシだ。
水なし、食料込みで5.2kg。イマイチだが、運動不足の身にも苦にならない重量だ。七ツ石小屋まで水500ccくらいで登り、小屋で補給して尾根を歩くからしんどい登りは水も軽くできる算段をしていた。

鴨沢を出る時は雨は止んでいて、晴れるかも!と期待したが、やはり降ってきた。しばらく樹林帯だから雨具は上下とも前をはだけて、PitZipも全開にして歩いた。乗越まで30分。途中で汗を拭いたり、Prophetのヒップベルトが滑って外れやすいのを直しながら何やかんやで時間が掛かったが、七ツ石小屋まで更に2.5時間。結局3時間。

小屋は300円。払わない人は入れてくれない。300円300円と何度も言われ、払わない人はあっちで休んでと登山道を指差された。小銭、すぐ出ないから、払うからチョト待ってけろ、って感じ。小屋の中は途中で山菜を調達した常連さんで賑やかだった。私の居場所がない..裏では客のおじさんが薪を割っていた。斧を二丁使って、直径60cmくらいの丸太から薪を切り出している。手慣れた感じだが、あの人はあれがやりたくて登ってくるんだろうな。ま、何歳になっても元気で楽しく山遊びができるのは良いことだ。おばさん連が夕飯の仕度をしている。今夜は宴会なんだろう。私はストーブにあたってお茶をいただいて、少し暖まって辞した。

尾根に出ればこっちのもんだ。暗く湿った巻き道に入らずに広い尾根道を歩く。なかなかどうして、雨でも石尾根は気持ちよい道だ。少し冷えているからORのシアトルソンブレロも蒸れずに快適!
途中でカメラのストラップを枝に掛けてセルフタイマーで写真を撮った。
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この辺り一面ワラビが地面から吹き出てました。Montbellのブリーズドライテックの雨具、結構良いね。

高丸を越えて日陰名栗の本峰と書いたところを過ぎたあたりで、さっと自分の陰が伸びたののが分かった。おお、日が差している。僅かに水滴は落ちてくるが青空が広がっていた。ちょうど鷹ノ巣山の上に虹が架かる。
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下は雲で真っ白だ。1000mくらいか、境して下は真綿のような雲に埋もれ、向こうの山の頂が海に浮かぶ小島のようだ。鷹ノ巣避難小屋のある鞍部を白い気流がべったりと流れている。あそこは日原側から奥多摩湖側への雲の通路なんだ。お気の毒に、小屋の人はまだ天気が悪いと思っているに違いない。
おお、もうこんな時間だ。鷹ノ巣小屋は近いけど、あの絡みつくような、べったりした気流の底へ潜って下りるのはまっぴらだ。昨年、エスパースの人から教えてもらった朝日を見るのに一等地あたりにシェルターを張ることにした。もう人は来ないだろうからトレイルに張らせてもらう。トレイルは適度に踏まれているからペグが刺さりやすいし、植生も少ない。
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固形燃料で湯を沸かして、袋に小分けしたアルファ米に入れた。袋飯の予定。おかずはフジッコの塩昆布のみ。アストロフォイルで蒸らしている間にシェルターの張りの調整などし、先ほど吹き消した残りの燃料で200ccほど沸かし直して松茸の味お吸い物をカップに作った。去年の使い残しの2/3カケくらいのエスビットだが、無事に湯を沸かしてくれた。200ccくらいを湧かすだけなら固形は扱い易いからいいね。
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チタンフォイルの風防は必須。

寝床に入ったら猛烈に歯が痛くなった。金曜にアレ?と思い、久々に歯医者に予約を入れたんだが、受付のおばちゃんが私が9:30の人だと覚えていてくれて、「9:30が空いているのは水曜ね」なんて悠長なことを言う。ま、曜日と時刻を換えるのは診察すっぽかしの素なので「水曜9:30」と頭の中で3回繰り返して電話を切ったのだが、ホントはすぐにでも行くべきだった...気圧が下がって神経が膨張したのか?とか思いながら、救急セットにイブプロフェンを入れているのを思い出すこともできず、ぐががぁぁと呻いてた。薬は忘れていたのだが、チタンフラスコにバーボンがあるのを思い出し、口に含んで患部が浸るように奇妙な姿勢を保ちつつちょっとずつ飲むという麻痺療法をしていたのだが、神様の計らいか、10回目くらいでやがて気を失っていたようだ。ふと目が覚めたら2時間ほど時間が飛んでおり、おまけに歯痛も消えていた。ああ、幸せってこんなことかと、肩の力が抜けてホッと寝直した。
結露しないようにシェルターの後部を開け放ち、入り口の上部も開けたが、無風、濡れた地面に屋根を掛けたわけだから結露した。が、Bivyにくるまってたし、垂れるほどの結露でもないので気にしなければ大丈夫。最低気温は4.8度となっていた。結構冷えるんだね。

朝日がきれいに見える場所に張ったのだが、起きたら8時だった。外は良く晴れ、地面からは湯気が上がっている。まだ何処からも人は上がってこないと思う。のんびり雨具を干しながら朝飯のオートミール用の湯を沸かした。
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朝飯は袋に小分けしたドロドロのオートミールにフジッコを掛けたモノ。ま、食えるし充分。食後にコーヒーと思っていた袋がココアだったことに気が付いて、ちょとガッカリしたが2袋を300ccくらいの湯に溶いて濃厚なのなをいただいた。
いい天気だ。昨日濡れた甲斐がある。

鷹ノ巣は面倒なので巻いた。巻き道は風通しも悪いし、濡れた笹が垂れて濡らす。やはり巻き道人生いはある種の暗さがつきまとうなと思い、鷹ノ巣を過ぎてから尾根に出たら、じゃんじゃか熊鈴を鳴らす夫婦が歩いてきた。青森ねぶたのハネトじゃないんだから..勘弁して欲しい。まるで歩く神社の鈴緒状態だ。ま、神社でも鈴は鳴らすし、ねぶたも神事なんだろうし、山も信仰の対象だったから、鈴はつきモノんだろうが、よくぞ自分の頭の中が滅茶苦茶にならないもんだと感心する。ちなみに青森ねぶたではハネト(跳人?)は体中に鈴を付けて跳ねまくる。激しく振ったり、人とぶつかったりで沿道にはたくさんの鈴が撒かれることになり、一度娘らを連れて行ったが10分もすれば両手に一杯の鈴の山ができて喜んでいたっけ。

鷹ノ巣からはホントに気持ちよいナラの尾根が続く。花も咲いていた。ツツジっぽい花だね。高度が下がるとオレンジ色のが咲いていた。大概は日陰っぽい北斜面に咲いている。そんなところで見る鮮やかな花はドキッとするほど美しいと思うのは、飲みに行ってお酌をしてくれるお姉さんに通じるものがあるのかとか、愚にも付かないことを考えながら歩いていた。
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いつも六石山からが結構長い。杉林で下がぬかっていて、もう尾根の明るさはないが、時々枝打ちした杉の芳香がしていた。
廃屋をいくつか越して街が見えてくる。街が近づくと、特にその方面にチューンしたと思われるバイクや車の爆音が耳障りだ。ちぇ、とか思いつつも駅前で飲むビールのことを考えて足を速め、やがて石尾根歩きは終わる。


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いよいよ梅雨入りか...梅雨が明けたら少し高い山へ行かないと暑いな。
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by ulgoods | 2008-06-03 03:38 | 山行
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