Caldera Cone Stove / Trail Designs, AntiGravity Gear

Caldera Cone Stove / Trail Designs, AntiGravity Gear

この変な形のアルコールストーブのセットはTrail Designs社が製作し、AntiGravity Gear(AGG)が販売しているCaldera Cone Stoveという。カルデラ火山のカルデラだ。と思う。
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まだ使い込んでいないのだけれど、First Impressionを書き留めておく。

昨年の後半からか、AGGの手作りっぽい製品は国内のごく一部のお店で手にすることができるようになったのだが、残念ながらCaldera Coneは国内に入っていなかった。実はこれ、以前から少し気になってはいたのだが、まー、わざわざ買うに至らずにいたところ、BPLのフォーラムで知り合った日本在住の米国人の方からデモを見せてくれるというナイスな連絡を頂き、やっと手にする機会を得た。彼は、とある会社のエンジニアでTrail DesignsとAntiGravity Gear双方と友達なのだという。で、一通りデモを見せて貰った後半では、こりゃ使えるかも!と思うようになり、追加でいくつか取り寄せた次第。

これ、要は風防兼五徳とアルコールストーブのシステムなのだが...火炎の煙突の中にポッドをすっぽり収めるわけで、風防とストーブと一体化し、熱を余すことなくポットに伝えることができる。以前「ターボー」さんが作成された煙突君を思い出す。もしかしたらUSの彼らもチェックしていたのかもしれない?カワサキさんも一体化構造は出来ないかとお尋ねであった。ケリーケトル化は難しいが、これは一体型の一つの解であろう。まぁ、加熱された風防から熱が外気に逃げるので、ケリーケトルほどの効率は望めないが、作成が容易だという利点がある。ちょいと計算すれば望む円錐台の諸元は求めることができる。
既出の基本構造なので特にビックリでもないが、安定性を持たせ、かつ運搬性を考慮しつつ精度良く作られており、使える物に仕上がっている。

材質はぺなぺなのアルミ製なのだが、扇形のアルミ板を円錐台形に丸めてカルデラを作り、頂部に水の入ったポッドを埋め込むと(カルデラに上縁が正確に引っ掛かる)重量が掛かりガッチリ安定する。底面が広いから微塵の不安定さも感じられない。これは安全だ。ひっくり返して火傷することがない。こういう安定の仕方はこれまでのどのストーブにも無い感覚だ。重量が掛かって華奢な構造が安定するのはデザイン的に正しい。ただし、それなりに広い底面積を必要とする。
倒れるケースは傾いたことによって重心が足の外に出るから、と言うよりは、傾いたことでカルデラ下部の材料が局所的にひしゃげて崩壊するといった感じだろう。普通に使っている分には鍋一杯の水を入れても危なげがない。鍋一杯に水を入れると沸騰でたいへんなことになるので、普通は半分程度しか入れないものだ。
組み立ての接合部も工夫されており、断面が台形の曲げになっていて、英語で何とか鳥の尻尾の形とか言っていたが..この形は強度が高い。この部分は作るのが難しそうだなぁ。
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ただし、ここを潰さないように気を付けないといけない。
ストーブはキッチリな円錐台な関係上、使用するポットごとにサイズが違う。手元にあるのはスノーピークの600,700,900用で、それぞれ36、40,42gであった。五徳+風防重量なので悪くはない。

組み立ては少しよじって接合部左右の上下を合わせてから溝を通すのだが、その際、手を切らないように気を付けたほうが良い。自分で紙ヤスリで丸めるか軍手をするとか。ポッドの出し入れも取っ手が熱くなるので軍手があった方が良い。

セットに着いてくるストーブ、12-10 Stoveという名前(外筒、内筒の穴の数!)で、2重筒になっている背の低いチムニー型だ。完成度は高い。
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この形式は外筒12穴から外気を取り込み、内筒上部の10穴へ気流を内側へ導いて、絞った口から細く長い炎が上がる。炎は狭い範囲に集中する形式で、Cone外で別な五徳を付けて燃やすと普通なら盛大に不完全燃焼するタイプなのだが、これは酸素不足雰囲気で上手く燃やすためにワザと狙ったデザインと思う。
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重量は別売にもなっている予熱皿と接着された状態で17g。予熱皿をケチればもう少し軽くなる。

このストーブのカルデラ内での燃焼だが、ストーブと鍋底の距離が五徳の距離が通常のストーブよりも離れている。SP700用で4cmだから少し長めだ。この距離が完全燃焼に寄与している。実際に不完全燃焼臭はほとんどせず、燃費も良い。
私は従来は風の影響を受けないように、できるだけストーブとポッドの距離を接近させる方向や、小さい炎や、強混合する燃焼を探っていたが、ここまで完全に風からシールドされると、それを気にする必要も無かろう。距離があれば、アルコールは完全燃焼するし、鍋底から漏れた不燃ガスが拡散することもない。全部閉じこめて燃やすのだ。
カルデラ内部での燃焼中の様子は見られないが、内部は高温になりアルコールの蒸発ではプラス側、しかし酸欠気味なので燃焼面では抑制側...ま、いいや、どこかでバランスしているんだろうから、ややこしいことは考えないで放り込んでポン、湯を沸かすだけならとても気楽で良い。

このカルデラの難点は持ち運びし難い点だ。丸めても円錐台をさほど細く巻き込めない。
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別な手としては、展開してザックの背中に入れるのだというが...パッドのないULザックでは痛いかも。それと、蹴飛ばしたりしてきれいな円錐面が崩れると、そこに力が集中して弱点になるだろうから少し気を遣う。この点も考えられており、カルデラを保護する役目も果たす軽量保温カップがセットになった3ピースセットが発売されると聞いている。ただ、カップを使わないなら重量的には不利だが..

細かなデザインの考えを聞いて感心したことがある。展開の写真で分かるが、円錐台下部のスリットが3穴部分、2穴部分、穴無し部分に分かれてる。これは120度毎に配置されており、風向きを考慮して、欲しい火力を勘案した塩梅のよい方向を使ってくれということらしい。
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どう向けると良いかは分からないが、そこは自分でやってくれと言う。この風防自身がストーブの火力調整機能を持っているわけだ。ストーブ自体は風がない状態では酸欠気味の雰囲気で静かに燃えるストーブだが、まだ屋外では試していないが風のある状態ではもう少し活発に燃えるだろう。

このストーブのユニークなところは固形燃料でも燃焼増進の効果があることだ。開発中だというEsbitストーブ台をお願いして送ってもらった。
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厚さ1mmくらいの鋼鉄製のメッシュを折り曲げた台で重量は6g。これがEsbitを良く燃やす。以前作成したYAES(Yet Another Esbit Stove)と同じコンセプトで、できるだけ多くの面を燃焼させて強い火力を得る作戦だ。垂れた燃料がストーブを伝って落ちる間に燃えて底面からも燃料を誘発するようだ。底に敷くアルミ板が添付される。私も、もっと細かなメッシュで同様の物を作成したが、細かいメッシュの方が燃焼ブースト効果は高い。
コーンのお陰で強い炎が出ても炎は完全燃焼して無駄なくポッドを加熱する。しかもEsbitにありがちな匂いや白い煙が出ることがない。高温で完全燃焼に近いと思われ、ポット底面の燃えかすもだいぶマシだ。ネバネバ感は少ないし、少し濡らせば簡単に拭き取れる。一度、網でない普通のEsbit台で大人しく燃やしたのだが、その時はポッド底面にはススしか着いていなかった。ネバっけゼロ!Esbitも上手に燃やせばきれいなモノと再認識させられた。


肝心の湯を沸かすテストをしてみた。
アルコール燃料では1/2 FL oz.(14cc)を使い5:30で400ccの水をほぼ沸騰状態に持っていき、同時に燃え尽きた。私の経験ではこれはかなり効率が高い部類と言える。またEsbitでは驚くことに400ccを4:30で完全沸騰させ!5分丁度で燃え尽きた。約1/3の時間で沸くけども、燃料の消費速度も通常の3倍くらい速い。こりゃEsbitストーブ界のJetBoilと言って良いだろう。

比較で再掲するが、拙作ヲヤジ3号では
3号のタイムトライアル結果
 燃料30cc、水400cc、トランギア五徳、ジェットボイル鍋
 沸騰開始まで 6:30
 沸騰終了まで 16:40
 完全消火まで 18:20
となっており、Caldera Cornの威力がわかる。ただし、燃料消費が速い。
本当の燃費に関しては比較するストーブが400ccを沸騰させた時点の燃料消費を計らなくてはならず、これはまだできていない。

一気に加熱するので煮込みには向かない。湯があれば済む食事向きだ。
ただし、ホントに風のある環境下ではカルデラの保護は沸騰したお湯の供給を約束してくれると思う。風防を使わないと湯が沸かないのはガスストーブも一緒だが、ガスストーブをここまで覆ってしまうと燃料缶が爆発する危険性があり、危険性のない分離型は重い。カルデラシステムの利点は大きいはずだ。
同様の密閉燃焼をさせるトランギアのストームクッカーは持っていないので性能比較できないが、重量的には比較しにくいほど遙かに勝っている。

このストーブ(燃焼部)だが、外筒の吸気口を可変にしてやることでも燃焼が制御できないだろうかと思っている。T_zさんのチムニーストーブの仕組みを導入するのだ。あるいは蓋をかぶせて上部の開口部の面積を変化させるか。付属のストーブ以外にも置き換えで楽しみ方はあると思う。
JetBoilは良いのだが、後半に炎を絞ってラーメンを煮たい...


さて、これを今回のSierraへ持って行くかを考えた。14ccで400ccの湯が得られると(高地だしもう少し少なくても済むかもしれない)、一日2回沸かすとして1oz(約23g)、7日でも161g、付属の燃料ボトルが26gなので合計で187g。Esbitが包装込み7日14Tabで210gの重量があるので、この日数では燃料系はアルコールの方が軽い。実は軽そうに見えるBPLのFireLite Titanium Esbit Wing Stoveも計ってみると13g(燃えかすが着くと15gくらい)、カルデラ付属ストーブは17gだからストーブ自体の重量の差は僅差だ。また、いつも使っているチタンホイールの風防も11gありで、ちょっと書き出すと(SP600用)だと、
カルデラ:36g+ストーブ17gで53g
Esbit:Wing Stove13g+チタンホイール11gで24g
だから29gの差だ。これはEsbit(包装含む15g)の2個分(1日分)に相当する。
燃料、ストーブ風防全部込みでは7日間で
カルデラ:23*7+26+36+17=240g
Esbit:30*7+11+15=236g
ほぼ同じで7日が分岐点になるわけだ。どっちを持っていくか悩ましい。お湯を分けて沸かすことを考えると計量することで無駄な燃焼をさせなくて済むアルコールの方が使い勝手は良い。燃えかけのEsbitを吹き消す手もあるが臭いガスが出るので嫌いだ。
一度はEsbitに傾きかけたが、Sierraでは丁度7日を過ごすわけで、わたし的な使い勝手的にアルコールを選択しようかと思い直し始めた。

Caldera Coneのアルミも一度曲がると弱そうなので、チタン版は無いか?と尋ねたら、既に開発予定には上がっているということだった。楽しみだが、ポッド毎に買うと高く付く...ちなみに、ポット毎に作るので在庫とか大変なのかと尋ねたら、実はCADとレーザービームカッターが連動した機器で無駄なく素早く切り出せるとのことだった。すげー!確か寸法を指定して特注の可能とどこかで見た気がした。
暗闇で見るとハロウインのカボチャの顔のようでもある。
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デモの後で発注やなんやでAGGの社長George(Tin Man)さんと何度かメールをやり取りしたが、とても良さそうな人だった。Sierraのうつくしい写真も頂戴し、今私のPCの壁紙になっている。オフィスの住所をGoogleMapで見てみたが、Yosemite公園が目と鼻の先、とても羨ましい。
AGGも2年くらい前の初期の頃は空き缶ストーブだけ売っている何か変わった感じのする店だったが、最近では系統的に品揃えをして他社の製品の販売なども行っており、総合ULコテージメーカーになりつつある。ジップロックのカップと建材の保温材を使った保温システムにしても、軽量で熱を無駄にしない思想のユニークな品揃えで、ただの風変わりではないことを物語っている。
最近の品揃えを見て気づいたのだが、AGGは昨年に店仕舞いしたDancing Light Gearモデルのタープテントを販売している唯一のショップだった。あれはBrawnyさんが作った物か尋ねたところ、彼女はShopを辞めて(いろいろあったらしい..)AGGがデザインと権利を買い取って細かな改良を施して製作販売しているらしい。そういえばDancing LightのタープテントはBPLレビューで少し叩かれていたっけ..そのBrawnyさんも徐々に開発に復帰しているらしく、丁度今頃は試作品のテストのためにバーモントへ2週間のトレッキングに出ているとのこと。どんな製品が出てくるのか楽しみである。という話しも書いてくれた。
Trail Designs社のものもAntiGravityだけが販売しているので何か契約があるのかもしれない。販売にまで手の回らない小さなコテージメーカーと、開発と販売を集約しているAGGは補完する良い関係にあるのだろう。Dancing Light Gearを引き継いだことを見てもそう思える。写真で見たGeorgeさんもShopのノリとは少し違って普通の人だった。

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by ulgoods | 2007-06-26 00:57 | 燃える系
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