北八つ偵察行

北八つ偵察行

12月の縞枯野宿で久々に気持ちの良い寒さを味わったのだが、やり残したことがある。
買っておいたスノーシューが2シーズン使われていない(涙)。保温材が入った山靴が1シーズン使われていない..(号泣)何とか雪のある所をこいつらをおろして歩きたかった。
それと、冬季における野宿能性の偵察もしたい。

正月は8日まで仕事は休みだったのだが、いろいろ用事で出るにでられず、やっと連休の最終日に日帰りだが何とか山へ行ける機会が巡ってきた。日帰りで雪があって、アクセスの良いところとなると、やはり縞枯しかない。というわけで、発達した低気圧のせいで北日本は大荒れという予報であったが、天気が良ければ出ようと決めていた。幸い、関東平野は朝から晴れ、荒れた感じは微塵も感じさせない。ま、小屋もあるし、坪庭を歩くくらいなら何とかなるでしょ。
ピラタススキー場は日に何度か積雪情報を写真入りで更新してくれている。前日にまとまって降ったらしく、新雪を踏む期待が膨らむ。

いつもの調子で5分前に新宿駅到着。8時丁度のあずさに無事乗れて茅野に向かった。途中寝ていたのだが甲府近くで目が覚めると、おおお、雪ではないか!茅野駅からバスでピラタスへ向かうが、車の屋根に新鮮な雪が30cmくらい積もっていた。こりゃお山はもっと積もっていそう。

と書くと長くなるので、端折って..
スキー場に近づくに連れて曇ってきて、山頂駅では視界が悪かった。気楽な快晴の関東平野とはエライ違いだ。気温は-14度。
着たのは上は
フラッドラッシュ・スキンメッシュシャツ
アウトラストの長袖下着
TNFのAPEXソフトシェル
防寒着としてPatagoniaのMicroPuff P/O
シェルとしてNikeACGのPITジッパーのあるやつ
下は
化繊ぱんつ
いつもの登山ズボン
montbell サーマラップULパンツ
TNFのGoretexシェル
ちょっと着込みすぎたかも。出がけにタイツが見つからなかったのが敗因か。
手袋は3組+Goreのオーバー手袋。替え靴下1、被り物はバラクラバとBUFF、BUFF Visor、ター帽2つ。あとはゴーグル。一応、吹雪かれることは想定しておいた。
スノーシューはMSRのDenali Evo Ascent+6"テール
靴はVasque Super Alpinista
だ。
食料お茶用にMSR WindProを持ち、ラーメン、薄餅、ナッツバー、アメ、チョコ、コーヒーも持った。
Garmin 60CSxにはエネループを入れて低温で動作するかの検証とした。
これらをリジッドレストを円筒にしてフレーム代わりとしたGoliteのJamに入れて背負った。やはり泊まり装備がないと軽い。天気が良ければマットを敷いて昼寝してコーヒーを飲もうという趣向。
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ポカリのペットボトルを2本と、テルモスに湯を入れて出発した。

スノーシューは初めて履いた割りにはストレス無く歩けた。引きずって歩けるのでアイゼンよりは楽だし、ツボ足の深さ30cmを越える踏み抜き跡の上も全然平気で歩けた。
いつもブンブン怖い風力発電が止まっていたので初めて縞枯山荘に入ることにした。薄暗い小屋の中でコーヒーを飲んで、テレマーク練習の女性と小屋のお兄さんとお話をした。雪は連休でかれこれ1mくらい降ったのではないかという話だった。あと、今年の最低気温は-28度という情報も仕入れた。うーん、この状態ではBivyで野宿は辛いかも。
小屋の中は心地よかったが、もう12時半だ。下りのゴンドラが16時でバスが16:45だからそうもゆっくりしていられない。やはり、公共交通機関での日帰りは制約が大きい。が、帰りは飲めるし、渋滞もない。どっちを取るかな...だ。
雨池峠を下って林道を少し歩いてから戻るかな、という気で山荘を後にした。のだが、やはりEvo Ascentなのだから登らなければイケナイと言う気がムラムラ起きて、雨池峠から縞枯山を登ってしまった。
幸い踏み跡があり、スノーシューの爪がサクサク決まって歩きやすい。途中でヒールリフターを上げると、足首が水平歩行状態に近くなるのでとても楽だった。これは効果ありました。
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(ここでは左右逆に履いていたっぽい)
やはり山頂付近は風が強く、ちょっとシバれる感じだったが、うちの田舎の吹雪の方がもっと辛かったっけ。なので、臆することなく前進。山頂からは来た道を戻っても芸がないので、もう少し先まで行って前回同様、茶臼山との鞍部から五辻に下りるコースを予定した。
五辻への分岐には踏み跡があったので、ありがたく進んだのだが、途中で踏み跡が消えた。どうやら前任者は戻ったらしい..前方は鬱蒼とした着雪林だ。でも、GPSでルートは分かるし、スノーシューも履いてるし、距離もさほどないし、ということで、ここは進むことにした。
積雪の分だけ木の梢が近い。
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だいたい膝上くらいのラッセルとなったが、下りなのでさほど苦ではない。GPSは感度良く、UUDの地図が示す林道も正確で、調子良くワッサワッサと下っていった。
ここまでは良かった。
最後、トレールに出る数十メートルが辛かった。というのも、少しルートを間違え低いところに下がってしまい、そこから登りになった。前方に明るい空が見えるから、もう道も近いことは分かったのだが、登りに転じた途端に胸までのラッセルを強いられることになった。あと数十メートルが捗らない。Denali Evo Ascentはヒールリフターは付いているのだが、下り時にかかとを固定する仕組みは付いていない。もう一丁もっているTSLはかかとが固定できるのだが、新雪で荷重に耐えられないと思い置いてきたのだ。雪を崩して一歩数センチを踏み出すも、うまく行かずに足を上げると足は水平で、スノーシューは垂直という状態になる。この状態で足をつくとスノーシューが地面に突き刺さる..進に進めない状態だ。困った..雪が柔らかいのでストックも効かない。足元は笹が見えていた。
こんな所で難渋して遭難しても仕方ない。幸い、携帯の感度はあるようなのだが、ここで救助を求めては、もうお山に来られない..意を決し、大汗かいて少しずつ前進し、最後はもがいて脱出に成功した。
道具系装備もナンだけど、最後は体力がないとダメだなと実感。息を荒げて窮地を脱し、少し休んだが、体のコアから離れた部分が即座に凍り付き、大汗の影響が分かった。インナー類は濡れていないのだが、MicoPuffが汗でベッタリ濡れている。昔昔オークションで買ったACGのシェルはPITジッパーを全開にしていたのだが、やはり素材の透湿性に問題があったかと思う。ここはソフトシェル地系のやつを持ってこないとダメな気がした。服にはお金掛けていなかったが、服も大事だな。あと、こんなに汗で濡れたらBivyのようなタイトなシェルターでは内部が換気できずに濡れ濡れで、シュラフが凍り付くことは容易に想像できる。換気できる空間を持ったテントでなければダメだと思う。
GPSを腕に付けるホルスターを持ってこなかったのも敗因だ。速度が1km/h以下で15秒後にGPSによる北ではなく、電子コンパスが働く設定だったのだが、胸ポケットから出したばかりのGPSは北が定まらず、最後にコースから外れた時にこの15秒が待てずに(というか忘れていて)あっちこっちと彷徨する羽目になった。車や自転車ではなく、こっちは方向が定まらない歩きなので、もっと短い時間で電子コンパスに切り替わる設定にしないとイカンと思った。

五辻からゴンドラ駅までは風に消されながらも踏み跡が識別できたし、踏まれた跡は格段に歩きやすい。時々コースを見失ったが(コースに旗が立っているとあてにしてGPSを見なかった)、踏み込んだ少しクラストした雪は一回目は保ったが、戻る時、2回目は割れた。暗い空の下、16時の最終ゴンドラと時間の勝負である。悠長にお茶などしていられない。疲れて靴とスノーシューが重かったが、GPSでゴンドラ駅までの距離を確認しつつ足を速めた。
幸い、15:40分に到着、最終の下りゴンドラの客は私一人だった。乗車した係員と少し話したのだが、この日はスノーシューの人も多かったが、おおかたは縞枯山荘までの往復だったとか。皆様、賢明です。

BUFF Visorという被り物は面白い。筒状を後ろで結んで被るのだが、薄い化繊生地で汗を吸わず、頭の汗が毛細管現象で、うつむき加減に歩くから帽子のツバ(ネオプレーン)に集まって、そこから滴となるから顔には汗は垂れない。でも、寒いとそこから汗のツララが下がり、更には氷の塊になる。ツバの付いていないBUFFはネックチューブになったり、耳掛けになったりと用途が広い。汗かきの私は重宝している。
タオルのター帽も愛用しているが、夏はよいが冬では凍るだろうな。

まとめ
・Bivyによる野宿は寒さと言うより濡れた衣類から来る制約が問題になる。濡れなければ一泊くらいならBivyでも何とかなるかも。
・前日に大量の降雪があった場合の新雪ではスノーシューでも沈む。特に登りは大変。
・衣類に気を掛けないとダメだ。素材やレイアリング次第では濡れて凍る。
・Denali Evo Ascentはかかとを固定する機構を取り入れた方がよい。
・深く冠雪した樹林帯でも60CSxは高精度でだった。エネループもよく働いた。
・踏み跡のない深雪はご遠慮した方が無難。
・ケブラーで編まれたVasque Super Alpinistaは表面がビニールでコーティングされているのだが蒸れなかったし、靴下も濡れなかった。Vapor Barrierの効果か?
・封を切らないポカリスエットは封を切ったものより不思議に凍りにくい。

ハイキングでも雪のお山をナメてはいかんよな。

雪 へ 足 跡 も が つ ち り と ゆ く ...山頭火
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by ulgoods | 2007-01-12 01:03 | 山行
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