定点観測

定点観測と言うわけではないが、いつもの寒いところへ行ってきた。去年より1ヶ月遅い入山。少ないと言われているが、上の方はまあまあ雪もあった。
今回の主要な試験品目は
Moonstone 800 Abruzzi Ridge -40o sleeping bagの性能評価
Bibler Tripod Bivyの性能評価、特にToddTexの低温での霜具合とか
Garmin 60Csxの冠雪した樹林帯での捕捉性能評価
・Petzl Tikka XPのテスト
・ワカンの塩梅
・しつこく液出しの動作確認

12/23 電車バスを乗り継いでピラタスロープウエイ山麓駅へ。もう昼過ぎだしバスは空いていた。高校の山岳部だろうか?先生に引率された一団と一緒。聞くと白駒池でキャンプだそうだ。スーパーの袋から長ネギが3,4本。バスの中では臭う...五辻経由らしいからゴンドラ駅で別れたら会うこともないだろう。引率の先生の靴がビニール紐で巻かれていた。聞き耳を立てると、家を出る時に崩壊が始まったという..替えの靴は無かったらしい。先生大丈夫か?

いつもながら、塙枯山荘の風力発電のブレードが勢いよく回っている横を歩くのは気持ちが良いものではない。外れて飛んできたらと思うとコワイのでさっさと山荘を後にした。

雨池峠でアイゼンを付け、ゴアのズボンを履き、ハードシェルを着て、ピッケル握って登りに掛かる。そういえば、買って3年、初めて使うピッケルだ。BDの入門用軽いヤツ。ホントはミゾーのレインボーというオールチタンのが欲しいのだがお高いから我慢。レインボーも中国のチタン不足の影響らしく、シャフトがチタンではなくなったので、もういいやと、お財布には言い聞かせている。
道は良く踏まれているのでアイゼンがよく効く。ピッケルは..氷ではないから効かない。ダブルストックの方が歩きよいな。ま、仕方ない。
TNFのゴアパンツはサイドのジッパが全開だから靴脱がないでよい、雪が入らない仕組みが心憎い、が重い。サイドのジッパーを完全に開けて知らない人に見せると、それがズボンだったと認識するのに時間が掛かると思う。最初はモンベルのピークシェルとそのパンツにしようと思ったが、行く場所は雪があることは確信できていたので、雨具では心許ない。重いのを我慢して担いできた。ので履く。そんなことしてるからザックが重くなる..
雨池峠は地形的に風の通り道か、風が強い。
そんな装備の割に塙枯山へ登るのは30分もかからない。今回の目的は登山ではないから、それでよい。
樹林帯は静かだったが、頂上では例によってゴウゴウと樹上を風が通っている。

昨年とは違う場所を選んだ。木が目隠しになっている雪原だ。3時過ぎになったから暗くなる前に不時露営の準備に取りかかった。登山道から一歩入ると膝下までの雪だった。しかも非常に軽い。バサバサと音を立てて羽毛のように吹き飛ぶ雪だ。ウサギの足跡を追って少し分け入り、開けた場所を居と決めた。

Tripodを敷く場所作りに掛かったが、書いたとおりの雪質である。踏めども踏めども発泡スチロールビーズの砂場を踏むようで、一向に締まった寝床を得ることができない。これは誤算だ。スコップで掘れば良いのだろうが、今回そこまでは持ってきていない。なんとかごまかして敷く場所を作り、Bivyを広げた。頭と足にテンションを掛けたいが特別に長いアルミパイプのペグも全然役に立たない。仕方ないので、足元はピッケル(役に立った!)頭はストックをペグ代わりに使った。
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この雪は巨大な結晶が見えるのだが、この姿で降ったのだろうか、あるいは降ってから成長したのか?

雪面への断熱はProLite4(1.5インチ厚)の3/4を上半身、下半身はRidgeRestとした。昨年は銀マットで少し冷えを感じたので、今年は上半身には厚めのマットを奢った。これは正解だった。下からの冷えは全く感じなかった。
-40度シュラフと家財道具をBivy内に放り込み、今宵の草の庵を結び終えた。
..と書くと長くなるので要点のみ。

・気象
結構寒かったと思う。昼間、ゴンドラの山頂駅で-3,4度と言っていた。夜にbivy内のポカリスエットが凍みかけたのでシュラフ内に収容した。今度は寒暖計を持ってこよう。夜半風が強く、吹かれた雪の結晶が空を舞い、ライトの光にキラキラ光る。上空はゴウゴウという風だが木に囲まれているのでほぼ無風だ。Bivyは低姿勢なので余計に風の影響を受けないとも思う。

・シュラフ
-40度用と言うだけあって、今回は寒さを感じなかった。フードを閉めると暑いくらい。重いだけある。ただし、-40で快適かは疑問。最初、PatagoniaのMicroPuffを着ていたが、暑いのと窮屈なので脱いだ。上半身はTシャツと薄手のソフトシェル、下半身はモンベルのULサーマラップパンツを履いて、足はテントシューズを履いていたのでヌクヌク。ま、着る物を工夫すれば相当の所までは大丈夫だろう。
着る物と軽いシュラフの組み合わせで乗り切るのがULスタイルだろうが、今回はコイツのテストなので重装備の投入も大目に見よう。

・Tripod
問題ない。重いだけのことはある。足元のフレームで張られた空間はシュラフが接触せず、空気の層が確保できていた。が、このTripod型、居住性が悪い。庇が大きいので頭を庇から出すためには腹筋運動が必要だ。オマケに下が柔らかいので一層腹筋には堪えた。何度か足が吊った。IDのUniはこの点楽だったなぁ。
ToddTexは不思議に霜が付かない。呼気が直接掛かる部分だけ、少し霜が付いた。体の部分は霜が付かない。霜具合はeVentよりマシ。が、たぶん内部の不撚布状素材に染みこんでいるだけなのかもしれない。さすがに量りは持っていなかったので何とも言えない。が、そんな感じ。
上部を少し開けただけだが息苦しさはない。以前書いたが、きっと暖かな呼気が溜まったら上から間欠的に抜け、下から新鮮な冷気が入れ替えに入ってくるのだろう。冷気の間欠流入さは顔で感じたし、霜の付き具合からも上からだけ呼気が抜けて換気されていたようだ。
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頭部の縦のフレームの壁の向こう側の壁付近は霜が付いていない。少し離れると霜が付き、庇は霜だらけだ。逆に壁の手前には著しく霜が付いているから、呼気(湿気)を含んだ暖気の溜まりと抜けの気流が見えてくる。
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素材の内面は僅かに霜があると言えばあるが、乾いていた。

・液出し
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少し弁が凍り付く傾向があった。弁を少し動かすと勢いが回復する。ま、使えないことはない。ガソリンに比べて取扱は容易だし。写真のとおり雪に埋もれても湯は沸いた。

・Tikka XP
リチウム電池を入れて使った。壊れることはなかった。光量はこのサイズでは十分。Bivy内では散乱光用のレンズを使い、最弱でちょうど良い。
夜中に外を照らした。空気中を浮遊するキラキラした氷の結晶の反射や、木々に付いた結晶がキラキラ反射して美しい。光が揺れると反射する結晶も変わるから点滅しているようだ。街で見る寒々しい青のクリスマスツリーより16倍も美しいと思った。クリスマスツリーの電飾が点滅するのは、北欧などのこの光景の記憶を再現しているのかと思う。この光は残念ながら写真には写らなかった。

・翌朝 12/24
夜明け頃は雲の中だったのだろうが、日が出てから晴れた。良く晴れた。
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明け方雲の中だったせいか、霧氷?で枯れ木も美しいし、ケーキに立つこんな木のプラスチックが今日は沢山売れたことだろう。
十分寝て、撤収したのは10時近かった(^^;;。登山が目的ではないので心地ければそこに留まる。体温で暖まったシュラフは、そりゃもう最高。抜け難い。
見晴らし台辺りからの景色
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南アルプス、御岳、中央アルプス、北アルプス..雲海に浮かぶ山々は地上とは別、天空の王国だ。
茶臼山との鞍部から五辻に降りた。アイゼンを効かせて気持ちよい樹林帯の下りは何とも幸福感を感じる道だった。

・ワカン
下山後、辻でマットを敷いてしばらく寝そべった。直射日光が熱いほど。誰も来ない。静かだ。
いつまでも寝ていても仕方ないので、アイゼンのままワカンを履いてみた。
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ふむ、フィット感は悪くない。浮力はないだろうが湿雪なら効くだろうし、ハイ松を踏み抜くことも減るはずだ。アイゼンの自分の足を踏むことも無くなる。
スノーシューはあるのだが、まだそこまで要らないと思ったし、重いので今回はこれで暫く歩いた。

・下山
良い天気でもったいないのでゴンドラに乗らず登山道で下りた。気持ちの良い下り道。UUDの地図には登山道が入っているから事前に用意しなくても安心だ。この利点は大きい。
下でうどんを食べているとどんどん登山者が下りてきた。スノーシューの人たちが多かったなぁ。今度は私もスノーシューにしよう。

うどんを食べていると、おにいさんが近寄ってきて声を掛けられた。
「ブログやってません?」そりゃ、今日日、石を投げればブロガに当たるのだが..「はあ、やってますが、どのブログ?」と聞いたら「山より道具」..エエ!?何で分かった尋ねたら、グラナイトギアのbelt pocketを見て確信したらしい。あらま、山行に関しては引きこもりと言われても仕方ない私だが、そんな数少ない場面でお目に掛かるとは珍しいと思う。彼は塙枯山荘泊でスノーシューイングを楽しんできたらしい。お互いに情報を交換したが、Bivyで寝たと言ったらLightSabreで?と聞き返された。おお、私の持ち駒までご存じとは。
今回は全然ULで無かったのでお恥ずかしいところを見られてしまった。
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バスで茅野まで戻り、あずさで新宿まで。残ったチタンフラスコのバーボンを飲みながらクリスマスイブの街に戻った。

・60CSx
戻ってGPSの軌跡を見たが、呆れた。帰りのバス、鉄道、全てGPSのトラックが残っていた。電車ではドアに一番近い席の後ろに放りこんで置いたのだが、しっかり位置を記録している。切れたのはトンネルだけだ。60CSx、感度がよい。樹林帯でも全然トラックが切れていなかった。リチウム電池は2日保った。夜、ワザと外に放り出していたがちゃんと動作していた。

道具達は全て予想した性能を発揮してくれた。
ま、一人だし、ピッケル、ザイルを使わない冬山歩き野宿程度を楽しむには充分だな。晴天を狙ってまた行こうと思う。

こ ろ り 寝 こ ろ べ ば 青 空 ...山頭火
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by ulgoods | 2006-12-25 05:27 | 山行
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