アルミ箔緊急時寝袋 / Emergency Sleeping Bag

Adventure Medical Kits社のEmergency Sleeping Bag、再使用可能と言うことなので買ってみた。
体から放射する熱の90%以上を反射するという。
スヤスヤ寝ているおじさんの写真が安心感を誘う一品だ。
e0024555_7321955.jpg

この手のアルミ寝袋は実はこれで3つ目だ。最初の購入は忘れたが、NASAで開発された技術云々の宣伝文句に惹かれて十年以上前に購入して車のトランクに放り込んでおいた。山歩きを始める前だが、雪道でエンジンが止まった際の緊急用のつもりであった。
私(我々?)どーも、アポロ11号の世代なのでNASAには無条件で降参してしまう傾向がある、と思う。凄いモノから胡散臭いモノまで、少年雑誌の裏表紙の広告でさえNASAの云々と書いていた時代もあったっけ。
ま、それは置いておいて..アルミ寝袋は一度展張するともう使えない?というイメージがあったので買ったは良いが使ったことがなかった。2個目は山屋で買った。さすがに1発目が10年以上経っているので、お山で使うイザというときにボロボロでは困る。1発目は結構お高かった記憶があるが、2個目は安価だった。NASAの文字も踊っていない。1発目はNASAに名義使用料でも払っていたのかしら?
こやつら、ピンチ袋の常連だが、もちろん使ったことがない。展張するとダメだと思ったので..で、3個目、これはRe-usableという文字が目に留まった。再使用できるなら試せるよね。袋の口がジップロックになっていて、再使用可を主張している。
e0024555_7365783.jpg

書いていることは「体温低下の埋め合わせ」でいいのかな?
幾重にも折り畳まれている..ああ、仕舞うのが大変そう。
e0024555_739321.jpg

なんせ90%以上を反射するということだから、どんなに暖かいのか?でも、こんな薄い膜でそんなに暖かい訳ないし、という解けない疑問が続いていたのだ。いざ、お世話になる時にコイツの性能を知っていなくては困った事になる。期待して良いモノか、期待しては危険なのか..

東京も今日はさほど冷えないらしい。テストであまり寒くても凍えるので、少しだけ寒い程度がよいと思い、いつものように裏庭で試してみた。
想定したのは晩秋の日帰り山歩きなので、上半身は、下着、長袖シャツ、フリース、薄い合成綿入りの防寒着(Patagomia MicroPuff)とした。下半身は下着に厚手のフリースパンツ(山ズボンとタイツ相当のココロ)にゴアレインウエアを重ねてはいた。足元は、非常時は靴を履いたままなのだろうが、袋を再利用したいので、汚れを避けるためにGoliteのULTRA-LITE Vapor Barrier Socksを履いた。
e0024555_7403454.jpg

関係ないが、昨日、床屋で髪を短くしたのでバラクラバを被った。地面にはテントのグランドシートを敷いた。断熱マット類は無し。
開始時刻は午前1時、気温は約7度、微風。
Vapor Barrier Socksは履いた瞬間からムレが始まったことが実感できた。これは効きそうだが、本件では余談。

変な時刻に目出し帽を被ったオヤジがバサバサと音を立て、某ファミレスのアルミ包みハンバーグのような袋に潜り込む。家人や近隣の方にはお目に掛けたくない姿だ。
あれ、透けて向こうが見える..夜目にも向こうが見えるのである。可視光を通すということは赤外線に対して急激に反射特性が向上する訳もないか?と少し90%も不安になりながら..頭にも覆って首元で絞って手で握り何が起きるのか待った。内部は結構な量の空気を含んでおり、体にベッタリという感じはない。大量の空気層による断熱も期待できるかもと思った。

自作自演なので包み焼きハンバーグ状態の写真は撮れなかった。
まず、地面からの冷えが背中を伝ってきた。この場合、冷えが来たというより、体温が奪われていくということだろう。やはり断熱マットが欲しいが、普通の日帰り山歩きの場合は断熱マットは持たないので仕方がない。本番でも冷えるんだろうなと覚悟しなければならない。せめて接地面積を減らすために半身になった。ザックを座布団にして座るのも良いだろう。
次の変化は10分くらい経過してから..やはりどことなく寒い。時々ゾクゾクっとしてくる。風が吹くと首元を絞っている手が冷たく感じる。アルミ箔の表面の極々近傍の暖まった空気の層がはぎ取られて冷たい風が当たるのだろう。だが、風が止むと冷えも止まる。この場合、暖まっているというよりは、こーやって次々と体温が奪われていくんだなと実感した。体からの放射熱の90%は反射している筈だが、遠赤外線効果でポカポカというようなことはない。どんどん容赦なく冷えた。
次に、内面に結露がつき始めた。最初じんわーり湿り、次第に手で触って濡れが判るほど。これが不感蒸泄の凝結ね。なんせ、透湿性ゼロの素材だからこの濡れはどんどん増える一方である。水滴にまで成長していないが、触るとはっきりと濡れが判る。ゴアの雨具を着たのは正解だ。衣類表面自体は結露していない。
外気に放置してあった腕時計を中に引き入れしばらく放置し体付近の気温を測ってみた。7.9度、外も7.9度..空気は全然暖まっていない。反射90%というのは直接体に作用するのであろうか?よくわからない。

結局2時間ほど頑張ったが、ポカポカしてくる気配もないので止めた。外に出たが、温度は変わらないように思う。外の方が濡れが無い分爽快だ。
アルミ寝袋無しで横たわってみると違いが分かるのだろうが、そこまで酔狂ではないのでやらなかった。

判ったことは、
・ポカポカはしない。
・濡れる。
ということである。
以前やったVapor Barrierの議論の素材としては使えそう。

90%反射の意味が、遠赤外効果で体の心から暖まるが途中の空気は熱しない、ということなら、少し効果があったのかも知れない。が、元々放射熱自体の寄与が小さいのかも知れない。その90%を取り立てて宣伝したとしても、オーダーとして卓越しているのは地面や身に接した箇所からの熱伝導による損失だろう。
その他、直接体に当たる風を防いで衣類の保温性を保つという効果もあるかも。

ま、コイツに限ったことではないだろうし、気温にもよるが、晩秋のお山なら寒さで震えて夜を過ごすことは請け負う。過大な期待をしてはいけない。ピンチ袋にはツェルトも入っているが、ツェルトがある場合はコイツは不要だろう。袋に入っていると安心感はあるかな。ま、この程度と理解して、保険を二重に掛けるつもりがあれば、重さ的にも許せるのでピンチ袋に保留させるか..
でも他の使い道もあるかも知れない。細引きでアルコールランプを吊って熱気球にして救助を待つとか..、そり代わりにして遊ぶとか..逆さに被ってポンチョ代わりにするとかね。

畳んで再使用性を試したいのだが、内部がベッタリ濡れて乾いていないので、畳めないでいる。汗で濡れたまま畳むと次回の本番時は本来の必要以上に苦痛の種が増えそうだから..
ま、ザックや車のトランクに放り込んでも重さや容積で邪魔になるモノでもないが、車には毛布を積んでおいた方が良いと思う。キレイに折り畳めなければ捨ててしまおうか。

そこだけ妙に具体的に90%とか言われても困ってしまう。
[PR]
by ulgoods | 2006-01-13 07:45 | 宿泊系
<< アルミ箔緊急時寝袋その2 / ... ビクトリノクス クラシック /... >>