Titanium Flask / チタンのフラスコ

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これを山道具と呼んで良いのかは判らない..しかし、私は山へ酒を持っていく。

アルプスの少女ハイジにも出てくるセントバーナード犬が小さな樽を首から下げていることは世界的に有名であり、小さな子供でも知っているはずだ。わたし的には樽を首から下げていないセントバーナードは想像することが難しい。パトラッシュはどうだったかな..?空でも何でもいいから首から樽を下げていて欲しい。で、樽の中身は確かブランデー、知っている範囲ではこの樽酒は山の山岳遭難救助した際に朦朧とした客に気付け薬と飲ませるものだということになっている。いつも首から下げている犬は気の毒だが、この一例を見ても山には酒は必要だと断言して過言ではあるまい。

で、不幸にもウチには山に連れて行くセントバーナードがいない。あやつは山に樽を下げて持たせるために飼うにはちょいとサイズがビックなのだ。そんな私が山岳遭難救助のあかつきに飲ませる酒、あるいは自分が遭難した時に飲む酒、はたまたテントの中で遭難したい時に飲む酒の運搬は畢竟自力に頼らざるを得ない。となれば全ては軽量でなければならないのだから、当然のことながら道具選びの余地が生じる。たいへんだ、人様の命を救う為の酒である、あだやおろそかにして良いはずがない。

さて、その酒だが、セント君のように首から掛けていくのも一案であるが、首や肩が凝っては山への運搬にさしつかえ、救助の際に飲ませることが出来ない(いいかげんくどい!)。
ガラスの瓶では割れてしまう。ザックの中が酒浸しになるのは想像したくない。となれば金属、軽いとなればチタンにとどめを刺すはず。お山にはチタンのフラスコが最上だ。チタンは軽いだけではなく、安定しているため酒を侵さない。味を変えないと言われている。堅いので薄くでき、厚みによる内容量のロスが少ない。ということで一時期チタンのフラスコを探してYahooを頑張った次期がある。チタンモノを探す途中で酒をまろやかにすると言うピュータ(錫合金)、純銀、ステンレスなど、いろんなフラスコに捕まり、それぞれ何個か落札してしまった。人にあげたり、昭和初期の骨董で衛生的な問題から後悔して売り直したりで、結局、今は数個が手放さずに残っただけ。

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酒の小道具と言えばやはり英国で異論はないだろう。UKシェフィールド製ピュータフラスコはどう作るのかは不明だが(板から打ち出すんだろうな)、打ち出しボコボコがそれらしい。フラスコはこうでなくてはいけない。Made in United Kingdomではなく、Made in SHEFFIELDだ。やっぱり酒フラスコは英国製だよねを無言で表している。あるいいはフランスワイン並みに産地統制しているのか?タイ国でもピュータは盛んだが、デザインが仏塔みたいで私はイヤだ。同じ英国ピュータでも平べったく丸いやつもある。ますますどう作るのか?不思議。あと、ステンレス製だがカップ2個と皮のホルスタに収まったものがある。その他、人に差し上げるには恥ずかしいような安物が数個残ってるが、おそらく生涯出番はあるまい。

お山では
「飲んだら登るな、登るなら飲むな」
の自己戒律を律儀に守る私だ。おぼつかない足取りで歩くと何が起こるか判らない。少量であっても車の運転で許されていないのだから、同様の判断や反射を求められるお山で飲んではいけないことは明らかだ。と思っている。私の滑落死体からほのかな芳香が漂っていたのでは危険を冒してお迎えに来て呉れた人に申し訳ないのである。やっぱりな!と、舌打ちされてお仕舞い。
ではいつ飲むか?実は、朦朧とした遭難者のためにいつも持ち歩くほど私は重量の増加に鷹揚ではない。酒は一日の行動を終えた後、自分で挙げるささやかな慰労(酒自体より、そんな場所でフラスコからワイルドに飲む自分に陶酔するのかも?)、高ぶった精神のせいで寝付かれない時に意識を無くさせる睡眠薬、隣のテントがうるさい時は、とりあえず意識を無くさせることにしている..だいたいは逆に鋭敏になるのだが。希に一献差し上げる事もある。少量なれどわざわざ担ぎ上げた酒だ、先様に喜んでいただくことが出来て私も嬉しい。酒は担ぎ上げて損はない。

一升も担ぎ上げる猛者もいると思うが、私のはささやかだ。であるから、ある程度アルコール度数は高くなければならない。これに日本酒やワインでは
アルコール量/汗の量
の割が合わない。当然蒸留酒系を詰める。できれば年代物のマッカランを詰めたいのであるが、これは行く前にお家で飲んでしまうのでダメだ。スピリタスはアルコールストーブの燃料になりそうだが、水を飲まないとやっていられないので無駄が出る。チェイサーに使う水など、場所によっては酒以上に贅沢だ。結局はラッパ飲みでも火を噴かない程度のバーボン辺りに落ち着くことが多い。せっかく運んでも安物のまずい酒では悲しいから、そこそこのモノを買う。のだが、酒の力を借りなくとも寝られる夜もあるから意地汚く酒を全部空けることはない。第一、そんなことしたら救助が出来ないではないか。「そら、気付け薬だ!」とフラスコを開けて数滴しか出ない時、どんな作り笑顔を見せたらよいのか思案に困る。というわけで酒はいつも残るほどは持つ。残った酒は次回山行まで容器の中で眠る。だから酒に影響がないチタン容器は欠かせない。酒をまろやかにすると言うピュータでは少し溶け出しそうな気がしている。脳に悪そうだ。
しかしチタンとは言え、万が一でも山で腹や脳が痛くなっても困るので、結局は古い酒は入れ替えて持つことになる。流す時は良い匂いがするのだが..
1ヶ月前のチタン詰めターキー、勇気を出してテストしてみるか。
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by ulgoods | 2005-11-08 10:55 | 運搬系
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