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雪の夜に

雨が雪に変わった2/1の夜を、いつもなら裏庭にシェルターを張って雪見酒といくところを、今回は昨年来テストをしているVapor Barrierに捧げることになった。
従来の寝姿でのVapor Barrier(以下VB)はVapor Barrier Liner(VBL)という不透湿のサックに入って体を蒸らし、余分な発汗を押さえて水分のロスを抑制しつつ寝袋の濡れを防ぐという事をする。昨年は市販のVBLの代わりに全身がスポリ納まる巨大ビニール袋を調達して蒸れ具合を確認したのだが、どーやら見た目の問題があるらしいのでIntegral Designsの製品版SilNylon製VBLを調達して今シーズンの出動を待っていたところ、そんな格好で寝てたら夜の厠へ立てないじゃないのか?という素朴かつ切実な疑問が勃発していて、私としては厠へ立たないという方向を考えていたのだが、beyondxさんから着て寝られる衣服型VBLを採用してその上に防寒着を重ね、着膨れ対策でQuiltに入るという解が提示されテストに供された旨の情報が入った。衣服型VBLというのはいわゆるサウナスーツである。heatsheet blanket を使ってテストしていたbmpさんも未踏分野のテストをすべく既にサウナスーツを入手したらしい...確かにそれならQuiltから身を抜くだけでVB効果を維持したままで厠へ立つことができる。VBL史上画期的な転換点であると感心したので、私も安価なサウナスーツをAmazonで仕込んで到着したのがこの朝だった。何の因果か安物塩化ビニール製サウナスーツが来た夜に雪..これは庭先で試さねばなるまいと、私のGhostがそう囁いた。

日付が変わる頃、雪もワシワシ降っており既に5cm位は積もったか、寝姿の構成が終わった。
体にFineTrackのFloorRush Skinの長いのを着る。これは直接汗のサウナスーツが肌に密着する不快の軽減用だ。
サウナスーツを着る。
足は裸足にGoliteのVB靴下を履く。本来ならcoolmaxの薄手の靴下でも履くべきだろうが、どんくらい不快か試したかった。
上にBMWのcocoon 60 Hoodedを着て、下にmontbellのdown inner pantsを着けた&Possum Downの帽子。
足元はmontbellのテントシューズを履いた。
袋はNunatakのQuilt Arc Alpinist EPICをかぶる。
その上にBMWのVapor Bivyで濡れから保護する。防水ではないが、耐水性をチェックしたかったココロ&Bivyから顔を出さないと呼気でQuiltの外側を湿らせてしまう対策。
屋根は自作のSilNylon製MicroTarpを張って、顔面に雪が積もることを避けた。
マットはmontbellのU.L.コンフォート150、担いで行かないが、たまに使わないと腐るので。
シートには以前使ったデカいポリ袋を。これ、切り裂けば屋根になりそうだし、そのまま潜っても夜露を防げるのでツェルト代わりにも。
以上、失敗しても直ぐに家屋に逃げ込めるので気が楽だ。

これらをセットして庭に横たえて潜り込んだ。
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幸い風はないのでMicroTarpの庇で雪が顔には掛らない。先ず感じることは体の蒸れである。サウナスーツを着ているので当然か。靴下を履いていない足に早くも汗を感じた。やはり熱が籠るので寝袋の最低温度を押し下げる効果はあると実感するが、サウナスーツのバリアが破けるとヤバイので、いまのところは浮いた温度はヌクヌク方向に振り分けておく。何度の得をするとは定量的には言いにくい。
Pertex Quantum製のBMW Vapor Bivyは縫い目を閉鎖してはいないが、土砂降りでないので何とか保つかという気持ちで投入してみたが、積もった雪が表面で融けて水滴になるも良く弾き、生地と縫い目からは浸透はして来ない。今のところ大丈夫だ。VBの効果は朝方に分かるだろう。
目を転じ、雪化粧した殺風景な裏庭を見る。このくらいの雪があれば美しい。厳しさもないが愛でるには悪くない。
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遠くでサイレンの音が鳴り止まない。転んだり車を転ばしたりする人が多いのだろう。雪道で革靴かしら..格好はどうでもいいから長靴でも履けばいいのにと思う。内股に力を入れて地面の摩擦を期待しないで歩かないとダメだよ。とか思っているうちに寝てしまったか。途中何度か目を覚ましたが、VBで蒸れてはいるが一応超薄だが下着も着ているので不快感は少ない。生理的作用で汗が止まり、無限に汗をかき続ける訳でもないので自分の汗で溺れ死ぬ心配もない。どちらかというと少しベッタリした温さ、胎児の記憶なのか?雪の夜の裏庭だが、私にとってはむしろ心地よく、また眠りに落ちるを繰り返した。

最後に目を覚ました時は既に空も明るく、もう雪も止んでいた。ああ、よく寝た...
蒸れの具合であるが、やはり袖口や首の辺り腰の重ね部分から漏れるらしく、袋に潜ったと聞き比べて内部に留まる蒸れは少ない。ビニール袋で寝たときは外気の低さも相まって内部に相当の結露が生じたが今回はサウナスーツ内に液体としての汗の存在は認められなかった。ただ、足だけは完全に密封されたようで、靴下を履いていないことも相まって汗を感じた。
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BivyとQuiltを剥がしてサウナスーツの首を緩めてみたが、盛大な蒸気の放散は起こらなかったのは少し残念。体を抜き取ってQuiltの濡れを見てみたが、これは全く濡れや湿り気が無く良い状態だった。蒸気の漏れはあるものの、発汗自体はある程度抑制されていたのかもしれない。PertexQuantumのBivyもこの程度の条件なら立派に働いた。FineTrackの下着はややこしい部分を除いてはすぐに乾いた。
このサウナスーツは約400gある。暖かさの付加目的ならその分を羽毛に振り分けた方が安心できる。寝袋を濡らさない効果だが、まぁまぁあるような気がする。東京でも氷点下に下がる日が続けば条件を単純化するために室内テストで検証したいと思っているが、幸か不幸か暖かい。ああ、IDのVBLも試さないといけないな。
あまり過酷な条件下でなくともVBの効果はあると思っている。手間の問題だけ。
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個人的は、手足胴首からの漏れを防いで着られて軽いVBLとなるとCuben Fiberで作ったツナギ状のものが欲しいと思っている。靴下と手袋も一体化した、太い徳利首の長いもの。徳利の首の端を寝袋の顔から外に出せれば呼気や蒸気の漏れで内部を濡らさずに済み、適度に絞って顔は露出できよう。で、寝袋も非透湿、ただし収納やロフト作りに空気の出し入れは要るので、いっそORのDownMatが円筒になった物ができないかしらと夢想しているのは私だけではないはず!


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by ulgoods | 2010-02-03 12:49 | 生活系
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