二日目、大弛から雁坂峠まで

二日目の記録

11月1日、
大弛峠発 06:02
国師ケ岳 07:03
両門ノ頭 09:47
甲武信岳着 11:35
甲武信岳発 12:02
甲武信小屋着 12:12
甲武信小屋発 12:31
破風小屋 13:27
破風山 14:41
雁坂嶺 15:54
雁坂峠 16:30
雁坂小屋 16:41

沿面距離18.933km
所要時間 10:39

なんとか波乱の初日をやり過ごし、本来の山歩きに移ったのは11/1の06:00であった。こんな時刻であるが峠の駐車場はほぼ満車である。車道にはテントも張られ、少し年季の入ったカップルが朝餉の最中であった。また、6時丁度に活動開始を予定していた人もいたようで、青年が独りディパックを担いで金峰山方向へ向かっていったりと、日の出後の切りの良い時刻には人の動きががある。タクシーで時間とお金をやり繰りした私も歩き始めることにした。
大弛小屋は峠から梢越しに赤い屋根の見える小屋である。幸いタクシー仮眠所で水を汲んで来たので、ここは小屋のラジオ体操組みに軽く会釈をして素通りした。小屋の前からは夢の庭園と名付けられた木道の階段が続く。出だしから木道は少し萎えるが、峠に来た山の用意のない人でも展望を楽しめるようにと整備されたのだろう、立派な階段だ。カツカツと乾いた音を立てて夢の庭園へと向かったが、樹木が繁茂して展望は今イチと思う。
大弛から甲武信岳までは一旦国師ヶ岳2591.8mに上げられ、国師のタルまでは下降一辺倒、400mも下げられるのは悔しい。辺りは数日前に降ったという初雪が所々に残り、水の流れる場所は凍結もしており、ガシガシ下るには少し気を遣う。国師ヶ岳に登るのに軽く汗をかいたが、それ以降は気温が低いので汗もかかず、また平坦な道や陽の差す開けた空間もあり、気持ち良い尾根道歩きができた。歩が捗る。
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途中、両門ノ頭という絶壁の上に出る。眼前の塩山(これが塩山の由来?)と両門ノ滝の上流部である西俣がキラキラ光った筋に見えて美しい。
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あの先に両門ノ滝やナメ滝の宝庫がある。下から入るにしろ多少なりとも沢屋さんの真似をしなければ辿り着けまいが、それだけに全くの平和な土地のように見えた。
途中で膝や脹ら脛に違和感を覚えた。もしやアレか?と思ったが、甲武信岳に着くまで靴の点検は見送った。やがて千曲川源流への分岐辺りから空荷の人々も増え、おばさま方の途切れることのない声が明瞭になってくるその先の開けた空を目指して岩場をひと登りすると、そこが甲武信岳の山頂である。私もMariposa Plusの背からリッジレストを抜き取って敷き、大休止をとった。
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山頂というより、各方面の分岐として重要な場所だ。
靴を脱ぎ足を乾かし、トレールミックスを囓って水を飲んだが、やはり...靴の中敷きが無い。忘れ物をするのにも程がある。クッションの無いせいと踵が沈み込んでいるせいで脹ら脛と膝に違和感を生じたのだろう。困った...かと思ったが、実はあまり困っていない。クッション性の高い土の道だし、踵の沈み込みと言っても傾斜ばかりで基準になる水平が希な道を歩くのだから問題ないはずである。その昔、ワラジで歩いた人々はいかばかりであろうかと思えばゴア膜もない現代ワラジでこの道を歩くのも一興である。何より軽いじゃないか!中敷きがないことが分かった以上は、意識してヒタヒタと足と地面に優しく歩くことにして、筋や腱に障害が出るようなら下山することにした。ああ、飯と中敷きに敏感な村上さんに更にお目玉を頂戴しそうな気がする。
甲武信岳から国師岳や金峰山は見上げる形になる。ざっと一回り見てみたが、この辺の山は金峰山頂の五丈岩ばかりでなく、頂に小さな岩の突起を持っている山が幾つか確認できた。みな似た成因の似た風化過程を経てきたのだろう。
天気も良いし山頂は賑やかだ。今回は高さに満足せずに距離を稼ぎたい。木の実を食い水をゴクゴクと飲んだ私は早々に山頂を辞して甲武信小屋に向かった。途中、警察のパトロール隊とすれ違ったが、山を登る時くらいは暴走族の特攻服みたいな服から解放されて欲しいと思った。暑いだろうと思う。いついかなる時でもあの服のあの靴でヤル!という訓練なのだろうか?そういえば上高地でもJ隊の登山訓練に会ったことがあるが、軍靴だった。軍靴は万能なのか、軍靴で何処でも行けるようになる訓練なのかは分からない。下で会って、翌朝奥穂の上で寝て起きたら丁度登って来たところだったので、さほど歩みは速くないようだが。いずれもご苦労様である。

下った小屋ではご主人の徳さんが大工仕事に精を出しておられた。入り口の左側一階を全面改装中。屋根を支える?つっかえ棒が新しくなっていた。以前伺ったときは徳さんは休暇で下山しており、小屋番の爪さんだけだったので徳さんとは面識がない。水を汲ませて下さい。ああ、50円ねと、大工仕事の手も休めずに最初はちょっとぶっきら棒であったが、以前来たときにお会いできなかったこと、爪さんに大いに飲ませてもらったことなどから話しが始まった。前回買い忘れた25周年記念の手ぬぐいが欲しいと言ったら、残念ながら先日売り切れたからこれでよいかと「日本百名山甲武信岳」と無骨に書かれた手ぬぐいを渡してもらい、更に小屋で作ったDVDも前回は品切れだったので在るかと聞くと、ここがツボだったのだろうか、奥から出してくれ、表面の印刷がないからマケとくよ!とか、いろいろ説明をしてもらった。と奥からギターの音が聞こえてきた。昼休みの爪さんが弾いているのだという。邪魔しても悪いので小屋を出ようとしたら徳さんが、おーい、○×さんが来ているぞー、と声を掛けてくれた。ら、ギターの手が止まり、ああ○×さん!と爪さんが出てきてくれたのは嬉しかった。一泊、しかもテントで小屋泊まりではなく、そのくせ図々しく飲ませてもらったのだが、覚えてくれていたのだ。本来なら芋焼酎の1本でも担いできたかったのだが、今回は先を急ぐのでまた次回と気の利かなさを詫び、でも表まで出てきてくれた爪さんを交え、徳さんも大工の手を休め三人で歓談した。爪さんは徳さんに私が道具マニアだと紹介してくれたが、何か話が合わないので良く聞くと徳さんは大工道具の人だと思っていたようで笑ったり、自転車でダイエット頑張って入ると話したら、自分の足で歩けるなら少々肉が付いていても良いんだよ、と言ってくれた。徳さんは膝を悪くして、ちょっと辛いと言うことだった。11月も末になれば小屋を閉めて下界に下りるだろう。爪さんの帰路の冒険が安全に成功するよう祈っている。このまま泊まろうかとも思ったが、次回ゆっくり飲もうと約束し、小屋を背にして再び歩き始めた。ああ、爪さんと徳さんと写真を撮っておくんだった。次回お願いしよう。
甲武信から破風山への鞍部の小屋辺りまでは更に300mも下げられる。ああ勿体ない勿体ないと言いながら降りた破風小屋は改装工事中で壁のみ、屋根のない状態で、中には朽ちた薪ストーブがそのまま置かれていた。
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甲武信に行くにも破風山に行くにも気持ちの挫けた人には重要な休憩所になる場所だから早期の完成が望まれる。後で聞いたが、ここは雁坂小屋のご主人が管理しているらしい。
破風山に登り返す途中でシャリバテを自覚。急に動悸が速くなり足が重くなるのだ。登る気が失せる。そーいえば炭水化物も採っていなかった。先は急ぐがカーボン系の食料をインストールし、飴をなめた。また、今夜に備えて甲武信小屋で3Lほど調達した水も、この先の雁坂小屋で汲みなおすことにして1Lを残して廃棄した。腹も張ったし、急に身軽になったので歩く気が戻り、もはや夕方が意識される刻限なので先を急いだ。黒い雲が甲武信岳方面に沸いてきている。雨になるかもしれないと思って歩いていたら、丁度、雁赤嶺頂上ベンチの辺りで雨になった。本降りになりそうなので雨具装着。今夜はここで張るかと思いふと見ると頂上看板の裏で張っている先客が居た。細い尾根道が続くが、支尾根を発する頂上箇所は平坦地もあり、なかなか良い場所なのだ。同じ場所に二人はアレかと思い、私はこの先の張れる場所を探すことにして、更に歩いた。良い一夜を!
水を捨てた罰なので小屋に寄らなければならない。雨は止まず日も落ちてきた。雁坂峠も雨でかすんで何も見えやしない。
小屋へ向かう途中キョーンと鹿が鳴いた。私も負けずに鳴き返したら鳴き返され、しばし鹿とコールのやりとりをしながら暗い道を小屋へ急いだ。今夜は小屋の天場にお世話になるか。
小屋に入るとオヤジがまだ来ぬ4人組みを気遣いながら待っており、私の鹿とのコールを客の到着と思ったらしく、天場を貸してくれという私と暫し話しが噛み合わなかったが、やっと話が通じ、天場は裏の方、雨だから宿泊棟の土間で暫し安めと言ってくれた。宿泊棟には側面が破れた薪ストーブがあり、来る客のために火を落とし気味にしているのか、濛々と煙が漏れている。写真はだいぶ明るく撮ってあるが本当はヘッドライトが必要なほど薄暗い。
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煙に燻され続けて黒光りした木材に裸電球が一点、心細く灯っていた。が、少しでも火の気があるのは何より嬉しい。宿泊棟は先客があり、ちょっと品の良いおばちゃま、自炊素泊まりらしい。私もせっかくなので土間でαドライカレーを食い、Bivyまでセットアップして天場に持って行った。反則かもしれないが、こんな雨の夜だ、使えるモノは有り難く使わせていただく。
土間で休んでいるときに、先客のおばさんが少しストーブの火を大きくしてくれくれないかと、壁に立てかけてあった火掻き棒とちりとりを持って来た。ストーブに触るのは憚られたが、そーお願いされたらせぬ訳にもいかず..といじり始めたらオヤジが入ってきて、「山のストーブに触るもんじゃねぇだ」とこっぴどく叱られた。おばさんは..知らん顔である。確かにいじっていたのは私なので弁解もせず、頭ごなしに叱られるに任せたが、そう悪い気はしなかった。こんなお願い、次回からは断るか、それとも見張りに立ってもらおうか。
天場はもう暗かった。50張り可と地図にあるが、雨で視界も悪く、奥にどれほど開けているのかは分からない。小屋側の良い場所は占拠されていたが、もう暗くて見えないので先客のテントから2mほどの空いた場所に張り、雨の中、エイヤとBivyに潜り込んだ。暗くなってからゴソゴソしたので天場の先客は少し迷惑だったろう。この夜テント3張り、Bivy1張りであった。さすがに10時間も歩くと疲れたようだ。酒も飲まずラジオも聞かず、筋肉の超再生用にアミノ酸錠剤をボリボリと食って寝た。気温がさほど低くないのでよく寝むれた。
翌朝は雨は小康で霧雨状態だった。Bivy内は結露あり。床に垂れていたが、さほど深刻ではない。Bivyの中で餡パンをかじっていたが、撤収前に体を温めたく、Bivyから上半身を起こして傍らのカルデラコーンで湯を沸かし、少し雨風に吹かれながら珈琲を飲み熱源を体に入れた。
撤収の図。Bivyに入りきらない荷物は防水スタッフザックに入れて、一晩横に転がして置いた。
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いよいよ3日目は雨あり雪あり雷まで来た夜を迎える
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昨日、Hiker's Depot主催のタープ・ツェルト教室にちょっとだけお邪魔した。
なかなか盛況!
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奥多摩の紅葉も過ぎつつあり

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by ulgoods | 2009-11-15 14:26 | 山行
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