五竜から唐松

あんな事があってから、いつかは訪れると思っていた五竜岳、機会を得たので行ってきた。

今回は同行者あり。というか、私が彼の同行者...思い切り省略してしまうことで有名な筋金入りULハイカー、MFD(Mount FUJI Designs)を名乗り、Quiltやポーチを縫ってくれたB氏から、山のお声が掛ったのが数日前、最近は忙しくて、なかなか山へ行けないBさんから引きこもりハイカーのULGへのお声掛けというのも滅多にないこと。ちょうど山へ行きたい気持ちのときだったので、日月の変則日程であったが取り敢ず行くことに前向きと言うことにしていたが、その時点ではまだ行く山は決まっていなかった。北岳、塩見岳、北穂などの名前をメールでやりとりしていたが、B氏がポツリと五竜と書くと、そうだいつかは五竜に行かなくちゃの私の気持ちが呼び起こされ、あっさり五竜に決まった次第だが、集合時間もハッキリしないまま行く朝を迎えた。奥多摩に出かけるくらいの時刻に彼を拾って関越から上信越道を通り、間抜けなカーナビに長野市内を引き回されてから五竜に着いたのは、もはや10:30くらい。地図のコースタイム的には怪しい時間帯である。にしても信州も涼しい。稲作は大丈夫かいな?と心配になる。

五竜への最初は当然テレキャビンを使う。こちとら、使えて時短になるなら何なりと使う派だ。というか、ここでこれを使わない人はいないだろう。さすがに、その上までのリフトは費用対効果的に却下。まずはユルユル歩き出した。
天気はまずまず、正面にどーんと唐松岳がキレイに見えた。こちら方面はだいぶ昔にスキーに来て以来。昔滑った八方も夏になれば気持ちよさそうな稜線に見える。
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ザックはZPacksのZ1、水筒は2Lのペットボトルを使用。食料込み水無しで出がけに量ったら5kgチョイ。

今回は初めて締めつけタイツを着用してみた。といっても数年前に買って使っていなかったユニクロのやつ。タイツに短パンはどーも気恥ずかしかったのだが、評判を聞くにつれ試してみたくなり、でもいきなり高価なのでは失敗しそうなのでユニクロ通販だったが、やはり気恥ずかしくて箪笥の肥やしになっていたのだが、最近では自転車のピッチリ短パンに馴れ、というかピッチリでないと気持ち悪いので、この歳になって無理なく山タイツ姿デビューである。
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自転車で育成された太ももを締め上げて歩いてみたが、おお、踏みしめて荷重を次の足に移したときに自動で抜重した足が引き上げられ、ヒョイヒョイと次の足が出る。歩くテンポが速くなった感じがする。と言う訳で順調に歩き
テレキャビン降り 11:11
地蔵の頭 11:30
小遠見山 12:28
大遠見山 13:27
西遠見山 14:22
白岳 15:40
五竜山荘 15:43
五竜山頂付近を横から見る。武田菱と呼ばれる模様が案外複雑な立体構造だとわかった。
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針金などをグチャグチャに曲げて、ある角度から光を当てると影がまったく別物に見える芸術というやつをTVで見たことがあるが、雪形の多くは単なる窪みではなく、夜空の星座もまた然り、枝尾根や岩峰の立体的な造形の平面投影なのだろう。
あそこか...だんだんとその場所が見えてきた。
しかし、順調だった歩みも白岳に掛ってからは心肺的に失速した感じだったのが残念。
白岳に掛るあたりで尾根の向こうに雲が湧き、こちらから射す光と相まってブロッケンを見ることができた。
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影が霧の中を遠くまで3Dで伸び、向こうの頭部に七色の光輪を作る。しばらくは後光射すありがたい自分の影を引き連れて歩いた。

五竜山荘に着いたが、風が結構きついし寒かった。
とりあえず着いて小屋でビールを買って飲んで一休みした。一日ずらして日曜だったが、小屋は結構賑わっている。小屋の酒蔵も充実!事前の調べでは小屋の水は天水と書いてあったのでセイシェル浄水器を持ったが、沢からパイプで引いているようで美味しい水がありがたい。

今日の寝床は
Rab Superlight Bivy 465g
MLD Monk Spectralite.60 Tarp 84g
Nunatak Arc Ghost Quilt (Quantum) OverFill 460g
Therm A Rest RIDGE REST 3/4 253g
Tyvek sheet 140g
という、少し頼りなさげな構成。テント場は下から吹き上げる風が強い。風速計を持って行かなかったが、旗ならバタバタと擦り切れ旗めく風速である。同行のB氏は風と格闘しながらもツェルトを張っていたが、心肺的に弱った私は即ゴロリと、放り出したBivyに潜り込んで休んだ。実は強風の予感もあり、ベッタリ地ベタに寝るのは風をやり過ごせる読みがあった。読みは成功したが、以前、硫黄岳下で野宿したときと異なって這松による風の緩和がなかったので、Bivyを舐めていく冷たい風に体温が奪われる感じだ。何とか生成熱と奪われる熱が拮抗しているようで日が射すとそのぶんだけ温かい。夜を思うと不安が残ったが、とりあえず寝た。2時間くらい寝た。
目を覚まし、Bivyから顔を出し、風でひしゃげたツェルトの中身の人に声を掛けた。B氏もよく眠っていたようだ。彼のQuiltはBPLのCocoon90、それにUL 60 Pantを穿き、UL 60 Parkaを着ていた。Quiltは同程度と思うが、私も保温材入りのズボンを持ってくるんだった。タイツのままにmontbellのwind pantを穿いただけなので寝ていて少し寒かった。
B氏の薦めもあり、暗くなる前に風よけの膜を張ることにした。張り方は出来るだけ低く、あまり風の抵抗にならず、翼のように風をやり過ごすよう心掛けた。この天場、案外にペグが素直に効いたので助かった。低く張ったCuben Fiberの薄い膜は見事に風をやりすごし、Bivyから熱が奪われるのを完璧に阻止してくれる。中に入ったが、今までとは異なり、ほんわか温かさを感じた。中間から綱を張って内部を凸型にしようとしたが、風が乱れて上縁が剥離渦でうなるので止めた。変に凝った形に張るよりは単純な面で張った方が風を乱さずに凹型で安定した。
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ポールから下げた温度計も、張り綱も風で振えている。

これで夜も大丈夫と安心したので飯にした。湯を固形燃料のカルデラコーンで沸かし、ドライカレーを仕込んだ袋飯を食った。今回は大豆肉も仕込んできたので豪華版だ。
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B氏は湯の道具を持たない人。人としてどうかとも思うが(笑)餡パンさえあれば生きて行かれるらしい。今回は私もそのスタイルを真似て、明日の朝飯は餡パンの予定だ。
簡単に飯を食い、することもないのでBivyに潜って寝た。呼気で中を濡らさぬよう、口と目を出してBivyを被っていたが、84gのCuben膜は強風を受けピタリと安定し、風を遮りよく働いてくれた。お陰で温かい。今回の功労者だ。
9時過ぎ、山荘の発電機も止まり、あるのは風の音と天の川。地ベタに寝転び、覆いもなく、風を感じながら星を眺めた。
念のため、就寝中は雷監視にStrikeAlertを稼働させて任せておいた。小屋の発電機が止まってからは電磁波的に乱されることもなく、緑の安全LEDが継続したので安心できた。
二、三度目が覚めたが、強風の中、合計で僅か540g程の膜システムに守られてよーく寝た夜。

翌日の寝床はふっくら乾いた状態、さすがeVent。4時に起きて、寝転びながら餡パンを食い、即座に五竜へ登った。温かい飲み物を採らないのはどうかとも思ったが、朝方は4度チョイの気温の冷たい風の中、飯の支度で震えるよりは餡パンを体に放り込んで水を飲んで、さっさと体を動かす方が手っ取り早くて温かい事が分かった。15分も登ると体が温まり、うっすら汗もかき、もう寒さは感じない。さすがB式始動術、朝が早い!
いずれ日も昇って急激に温かくなるはず。腹を満たすならその機会に休憩兼ねてやればよい事。

五竜山荘 04:20
五龍岳 05:09
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山頂から切り立った直下を眺めた。やっぱり落ちたら死ぬな...速すぎた彼の最後を想い黙祷す。やはり、この場に立ててよかったと思う。
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山頂ではQuiltにくるまってしばらく時を過ごした。ここでカルデラコーンで湯を沸かしてたっぷり砂糖入りの紅茶を作り、相変わらずここでも餡パンを食っているB氏に振る舞った。日頃お世話になっているせめてものお礼のつもり。再充填式のガスライターにプロパン入りのガスを継ぎ足しで詰めてきたので冷たい強風の高所でもEsbitに着火できたし、強風の中、カルデラコーンに守られたEsbitは充分に燃料を残して湯を沸かしてくれた。

降りて手早く撤収し、
五竜山荘 07:03
唐松山荘 08:57
八方池 10:45
八方山荘 11:16
あとはリフトとゴンドラを乗り継いで下りた。
白岳から大黒岳へは気持ちのよい道を軽快に歩いた。また、下るだけの唐松山荘から丸山ケルンも良い道だった。雪の残る扇雪渓で暫し休んだが、この辺に来ると観光の人も増え、八方池から先は人混みで大変なことになっていた。

まずまず、良い山歩き。B氏と同じ速度で歩けたことが嬉しかった。


やっと行くことができました...


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by ulgoods | 2009-08-26 14:54 | 山行
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