Wetfireはアルティメイトサバイバル社の固形火口で、前回の記事でも書いたがメーカーの主張としては
・1,300°F(704°C)以上で燃焼し、無毒、無臭、無煙である ・風の影響を受けず、むしろ濡れた状態の方が長く燃える ・他の着火剤のようなベタベタの燃えかすを残さない ・包装状態で最低5年、開封状態で3ヶ月利用できる ・軽量、メーカー希望重量5.67g(実測重量3.5g)/包 開封した感じでは質感は白墨そのもの。サイズの割に、え?っという軽さだった。長いのを作ってポッキリ折った感じの断面。たぶん断面が滑らかよりは火の点きが良い効果を狙って、そう形成しているのだろう。 早速でナンだが、ORショーのビデオでは濡れに強いことを強調していたので水で濡らしてみた。さすがに表面が濡れていると着火しないが、中をほじってやると少々湿った状態でも着火に成功した。水に浮かべて燃えている絵を見たことがあるので真似してみたが、水に浮かべると上手くSparkieの火花を移せず、無駄に火花を散らせただけで最後はライターを使ったのだが、Esbitと違って爆ぜることもなく水に浮かびながら素直に燃えた。が、少し水を吸うようで、湿った状態ではメーカーの言うとおり長い時間燃えるのだろうけど炎が大きくなることはなく、立ち消えてしまった。 無臭とのことだったので室内で燃やしたが、けっこう臭いのが籠ってしまい部屋から臭いが抜けるのに時間が掛った。どのくらいの鼻で嗅いで無臭というのかは分からない。 次に燃料として燃やしてみた。重量が僅か3g程度で、小さなEsbit(4g)よりも軽い。4gEsbitはかろうじて200ccの湯を得ることが出来るのだが、Wetfireはどうだろう? 結果として燃焼時間5'40"、200ccは沸騰に至らなかった。こんなに軽くてガンガン湯が沸いたのではEsbitも困るだろう。サイズ的には16gのEsbitより少し小さいくらいであるから、湯を沸かすなら素直にEsbitを使うべき。 ベタベタ燃えかすが残らないのはその通りで、燃えかすは乾燥したカスのみであった。が、鍋の方に大量の煤が付着し...臭いも出たし煙も出た。無毒かどうかは確認できないが、薪の煤と違ってこの煤の着いた飲み口には唇を触れたくない。というわけで、燃料として使うのは違う気がした。 もともと、非常袋の中の火口(Tinder-Quick)と予備のEsbitを統合してWetfireへの置き換えを狙ったのだが、少なくともEsbitの代用には辛いみたい。一方、Esbitは火花系では着火が難しく、Sparkieでは押し下げた勢いで粉々に砕いてしまったり遠くに飛ばしたりするが着火しなかったが、Wetfireは簡単にほぐせて、その小片にも簡単に着火した。ライターを使うと、即着火だ。しかし、Tinder-Quikと比べて格段に良いわけでもない。重量的はTinder-Quikの6本分くらいに相当する訳で、大きな固まりを砕いてロスを出すよりはTinder-Quikを小さく千切って使った方が、計画が立てられて好ましい。Tinder-Quikも少々の水濡れ(濡らして搾って)でも着火するし。 開封したての新鮮なWetfireをSparkieでほじってみて気がついたのだが、力を掛けると液体が染み出る。小片を指で潰してみたが、ベッタリ油が付き、嗅ぐとベンジンのような臭いがした。こやつの正体は固形燃料というよりは固形で油を保持する仕組みのようだ。道理で水に強いし、炎を近づけるとすぐ燃え上がるワケ。Tinder-Quikもシットリと油で濡れている感じがするのだが絞れるほどは出てこない。ずいぶん長く燃えるからだいぶ油が入っている感じだ。たぶん、あの燃えカス以外は油分なのだろうな。 さて、無理矢理Wetfireを導入するメリットはあるのか...着火剤コレクションにWetfireを一つ追加すれば良いという思いはある。固形燃料で湯を沸かすことがい多いので、Wetfireの小片をEsbitに添わせて着火するのは良い考え。試してみたがイイ感じの着火剤ではある。 この際だから、以前rwalker氏に教わったワセリンを試してみた。コットンボールが切れていたので、細く千切ったぼろ布にワセリンを染みこませて火口にしてみた。Spark-Liteの火花では着火し辛かったが、Sparkieで布を押さえつけるようにして発火させたら2回くらいで着火して良く燃えた。燃え具合はTinder-Quikと同程度である。触った手がベトベトするのが難だが、ワセリンは軟膏であるから布や綿に染みこませて携行すれば容器に書いてあるアカギレの他に股ズレや靴擦れ火傷などにも使えて便利。その他、兼用着火剤としては手の消毒アルコールジェルも良く燃えるが、容器に移すのが面倒だった。 ここにきていきなりTinder-Quickには申し訳ないが、ワセリンを持てばTinder-Quickは要らない雲行きになってきた。 原点に戻って、濡れた場面でしょっちゅう火口を使うか?火口を使うのココロは焚き火をしたいということであって、濡らさないように非常袋に入れた着火剤が濡れるほどでは燃やす相手の薪も濡れている気がする。達人になると濡れた薪でも焚き火を熾すというが、やはり大きなナイフで濡れていない木質を削ぎ出して着火させないと辛いだろう。私の普段のナイフはビクトリノクス・クラシック程の小さい刃しか持ち歩かないから木を削ぐなどの荒技には使えないと考えている。火口の火力で木を乾かし蒸して可燃ガスを出させるまで状態を保持しないと火は起きないわけで、Wetfireの1個くらい燃やしても仕方ない気がしてきた。雨中の焚き火を想定したらそれなりのモノを持つべきなので、救急用具で行うことはひとまず断念する。 というわけで、非常袋の着火系だが、あまり重さにこだわる部分でもないのだが、火口として ワセリンコットンボール数個、FirstAIDと兼用 Wetfire1包 を持つことにした。 発火系は Spark-LiteがあればWetfireの小片に着火できるので、そこから燃やし広げる事は可能なので採用する。 というわけで、Tinder-Quickが割を食った形で決着の感がある。 寒い時期にも試さないといけないが、重いオイル系ライターを省略できる可能性がある。 Wetfireを触った手であちらこちら触るとチョト痒い... Clickたもれ!!
by ulgoods
| 2009-08-22 00:01
| 燃える系
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