Alcohol Jet Stove / 高圧力型 ジェット ストーブ

高圧力型のストーブ試作第3弾、くらい。

空き缶アルコールストーブは燃料蒸発、燃焼、燃料を加熱、燃料蒸発...のサイクルが維持されないと立ち消えてしまう。それではストーブとは言えない。ので、そのサイクルを如何に維持するかを考えなければならない。盛大に炎を上げるとストーブも暖まるから心配は要らないが効率化を求めると不要な火柱は避けるべきで、なおかつ熱サイクルの維持を必要とする。兼ね合いが難しい。

そこでぢゃ。今回は今まで温めた構想を具体化した秘密兵器、ついに!特製アイアンひげヲヤヂを投入してみた。
アイアンひげヲヤヂの写真。
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ひげヲヤヂの実体は、スチールウールをアルミで束ねたものである。この束ねアルミ部に穴を開けてストーブ上面の内面にネジ止めする。ストーブ上面の熱をアルコールに届るのがヲヤヂの役目だ。スチールウールはグラスウールとは異なり熱伝導も良い。グラスウールほどではないが細い繊維状だから表面積も大きく、毛細管現象も期待できるから充分に加熱されればアルコールをガンガン蒸発させてくれるだろう。と言う目論見。
計画倒れに終わったらアルミ部で鼻を挟んでヒゲダンスでもしようかと思った..ってウソ。私、元々ヒゲづらなので..いつもドタバタとヒゲダンスしているようなもの。
ストーブは前作のような内側側面からの水平噴射をやめ、中央部2カ所と缶底の縁の内側4カ所から上にガスを吹くようにした。4カ所の穴は穴と周囲の壁の向きを少し横向きに捻って炎が中心向きでなく、オフセットさせることで渦巻くサイクロンの形成を狙った。この炎にはフォトンストーブのようにストーブ躯体を加熱する効果も期待した。初等の流体力学で習うパスカルの原理によると、圧力は均等に壁面に垂直に働くから、穴ではなく、周辺の壁を捻ってやればその面の垂線方向にジェットが出ると思った。JSBさんのサイクロンストーブのエアインテークホールのオフセットで思い出させてもらった。
ストーブ躯体は空き缶の底部を2つ合わせたいつもの作り。Φ0.8mm穴が6カ所しかないので高温になるとかなり内圧が高くなるジェットストーブである。あまりのジェットの速さで炎が消えてしまうこともある。缶の接合には、ここでもJSBさんの焼き鈍し術を利用させていただいた。おかげでキッチり漏れない圧力ストーブが作れる。感謝。
最初は2穴だったが、缶の温度を維持するのが難しかったので4穴追加した。ジェットも弱まり取扱も容易で塩梅良い。純粋な?ジェットストーブと普通のストーブの中間くらいか。
ドキドキしながら流し台で着火の練習を何度かした後に、いつもの試験台であるトランギア五徳&ジェットボイル鍋にセットした。
ちょいとジェットの試運転にも慣れた。Φ0.8mm穴が2つも開いていれば、どんなに加熱しても充分爆発しないでいてくれるようだ。しかし、急速に加熱すると沸騰して?液体アルコールが噴出し、着地&燃焼することもあるので気が抜けない。火事になる。

与えた燃料はいつもと同じ30cc、水は400ccである。
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湯沸かし試験結果は
沸騰に要した時間 5:30
沸騰終了までの時間 16:00
消火までの時間 18:30
(前の燃料が残っているとズルいのでガス火にかけてカラカラに乾燥させてから燃料注入した。)

な、なんと超長持ち燃焼ストーブができてしまった。
初期は五徳内にアルコールを撒いて盛大に燃やして予熱するのだが、さすがにそのときは花火ほどのジェットが噴出するも、それを過ぎると炎も安定しジェットボイル鍋中心に比較的強い炎がぶち当たる。しかも、炎が中心に収束していないのでジェットボイル鍋のフィンに良い具合に絡むようだ。しかも鍋からはみ出す無駄な炎は無い。おまけに、私の嗅覚テストの結果では不完全燃焼ガスの生成は極めて少ないことが判明した。刺激臭&目が痛いの無いナイの生体に優しいストーブと評価される。
通常、盛大に炎が上がるストーブでは炎の内部は不完全ガスが渦巻き、鍋をセットすると燃え切らずに鍋と炎の隙間から漏れてしまう(と思ってる)。そしてかなりキツイ刺激臭と目への刺激がある。下手な作りのストーブだと、鍋を持ち上げると鍋底周辺に溜まった不完全燃焼アルコール蒸気(あるいは鍋底で冷やされて液体化しているかもしれない)が慌てて燃焼し、本体の炎から離しても鍋底辺りで火の玉を作って燃えていたりすることもある。いかに床無しシェルターの中とはいへ、それではかなり辛いものがある。お馬鹿になりそうなガスだ。が、このストーブ、ほぼ完全燃焼しているらしい。初期の無謀なジェットさえ着火法の工夫で何とかすれば充分使えそう。
特筆すべきは燃焼時間の長さ。10分間も沸騰状態を維持したこと(注:沸騰とは湯の表面がグラグラいっている状態)。着火から16分まで実用火力を保っているとは驚異的。普通のストーブの倍以上の燃費のようだ。これならラーメンどころか、煮込みうどんとか、ちょいとした煮物にも使えるかもしれない。しかも後半はやや火力が落ちるから煮込み系には最適だろう。
この、ひげヲヤヂの効用だが、中でブチブチ言って沸騰音がしているのはひげヲヤヂの仕事に違いない。もう少しオヤヂに熱を上手く伝えてやればもっと良いものが作れそうだ。ま、ヲヤヂはどこでもぶちぶち言うもんである。このヲヤヂだけに熱を伝えれば良く、躯体自体は加熱する必要が無いはずである。
未公開の習作で底部まで届く長いネジに加熱用に蝶ネジを3個付けたものがある。蝶ネジに炎を当てると蝶ネジは一部赤熱するも、強力なジェットを持続させることができなかった。今回の定常運転達成はひとえにヲヤヂ様のお陰と思う。

斜めに出て何か渦巻いてそうな気がする炎。パスカルさん、ありがとう。
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ピンボケで炎の構造が明瞭ではないが、実は結構渦巻いている。炎のオフセットが判りやすい一枚。
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簡単デジカメで炎にピントを合わせてもらうのは難しい..

今回は過去のストーブの残骸を再利用したので隙間のあるデキの悪いストーブだったが、高圧時に隙間から漏れた炎が缶を加熱したこともあり(安全弁効果?)、思わぬ高特性を見せてくれたので、今度はキッチリした躯体の第2弾を作ってみることにする。

炎が漏れない+不完全燃焼ガスとして漏れない=高効率
これは燃焼持続時間の長さからも言えていると思う。

追記
ラーメンテストを行ってみた。燃料30cc弱(少しこぼした)、水600cc。鍋はデカいシェラカップ、マッキンレーカップと称してICI石井で売っていたもの。トランギア五徳を使用した。
JetBoilと比較して鍋とストーブの間隔が狭いせいかストーブが過熱される傾向らしく、比較的炎が大きくなり燃焼時間も短かった。
チャルメラなら良いが煮込みを要する辛ラーメンではイマイチ時間不足。ま、600ccだし。
炎が近くても不完全燃焼臭はしなかった。
沸騰は鍋の中心辺りで起きていた。
点火に慣れれば穏やかにジェット定常状態に持ち込むことができた。

ん?消火までの時間、5分間違えていないかな?確認してみます..
2回目湯沸かしトライアル結果は
沸騰に要した時間 5:00
沸騰終了までの時間 14:00
消火までの時間 16:30
5分誤りではなかった。
ラーメンテスト以降は加熱翼を追加したり、その角度を変えたりしたせいか、少し火力が強まり、沸騰に要する時間と燃焼時間が短縮されたようだ。
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by ulgoods | 2005-09-24 13:37 | 燃える系
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