奥多摩酔仙


日曜は日帰りで奥多摩の低山を歩いた。
奥多摩のそうは高くない山々も今頃は萌えて新緑。こんもりした山肌に桜もちょうど満開で、期せずして三度目の花見に目じりも緩む。
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朝、飯を握って軽く焼いてから味噌を塗って持ってきた。網も持参し、山で炙って食うと旨い。
下りは渓谷沿いに歩き、山肌から流れ出すその場所で旨い水を堪能した。川の始まるその一滴をククサに受け溜め、念のために紫外線で殺菌すれば冷たいままに後々の憂いも無い。
それなりに気持ちの良い山歩きであった。

さて、奥多摩のもう一つのお楽しみは山を降りてから始まる。さっさと電車で帰らずに、毎度道草しては奥多摩の産物で奥多摩の酒を飲むことになっている。駅周辺の小さな飲食街、狭い路地にひしめき合っているのだが、今回はお初の店の戸を開けてみる気になった。ちょっと良さそうなその店は、まだ日は高いが暖簾は出ている。中が見えないから不安もあるが意を決してガラガラと開け、偵察がてらザックを担いだままの顔だけ入れて挨拶をした。

間口一間そのままの幅の店内は狭い。女将さんと常連とおぼしき3人が既に結構デキ上がりのグラス片手にこちらを振り向く。ども!空いてますか?と尋ねると、いいよいいよと運良く空いている席を指してくれる。空席越しに盛り上がっているようなので、詰めてもらった方が良いですかね?と言うと、良いから間に座れと言う。せっかくだから有り難く座らせてもらった。ここの流儀、中は狭いのでザックは路地に出しておく。案の定、話に巻き込まれるが話が面白い。こっちも半分その気で来てるから、あれよという間に澤乃井の小瓶が並んだ。

やがて、昨日飲んだという岩魚の骨酒の話となる。なんでも釣りの名人から天然物の差し入れがあって昨日は痛飲したらしい。ほーと思っていたら、女将さんが昨日の残りがあるからと塩焼きにして出してくれた。釣り上げた天然物、大きさは不揃いなのだが、生臭みなく淡泊かつ焦げた皮の風味が香ばしい。女将さんの焼き具合もよろしいが、これはその釣り師に指南されてのことらしい。と、舌鼓を打っていたちょうどその時、ガラガラと戸が開き、運良くか毎日のことかは分からぬが、件の釣り師が顔だけ入れて中を覗った。待ってましたと皆で席を詰めて釣り師のために隅っこを空けて補助椅子で座ってもらうことになった。岩魚の礼を言い、話はご馳走になった岩魚から再び昨日の骨酒へ...なんでも釣り師殿、毎晩二尾を焼いては骨酒で六合を飲むという。皆ウンウンと聞いているが、話すほどに皆の視線が物語る何かを感じてしまった釣り師殿、一寸待て、家からとっておきを持ってくるからと席を立った。ほどなくして釣り師殿は型の良い岩魚四尾と共にご帰還だ。

女将さんが焼く。釣り師殿がカウンターに入り、どれ!と絶妙の焼き加減を見計らって素手でにぎって鍋に沸かしてある酒に放り込む。ジュっと音がして見る間に酒が飴色になってくる。あとは鍋がカウンターに出てきて、お玉ですくって飲めと言うことになった。
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いや、濃厚。ほんのり香りと言うもんじゃなく、岩魚のお出汁にほんのり酒香と言うべきか。酒も岩魚の脂でとろみが出ており、まさに甘露。
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うまい!うめっ!と、たちまちにして鍋は空き、鍋に継ぎ足し煮出しての二番酒となる。通に言わせると二番が旨いらしい。なるほど二番は酒の味もしっかりしており飲んだ気になる。さすがに三番となると岩魚も精根尽きるのだろう、しかし風味も残ってまだ飲める。四番まではやれるという...

やれやれ、初めての店で大いに飲み笑い、気がつくと終電を気にする時間が近づいて来て、慌てて辞することになった。
隣で飲んでいたオヤジさん、住所を知らせてくれて遊びに来いと仰る。だけれども来るときは少し前に葉書で知らせてくれよとも。電話もないし、テレビもない家で絵を描いて暮らしているらしい。

わはは!都内なら葉書は二日もあれば届くという。確かに!
どうやら私は奥多摩酔仙たちの宴に紛れ込んでいたのだろうね。
秋の個展も楽しみだ。



奥多摩は、山も良いが渓も佳い。人も好いから私も宵から酔いました。
一献...Clickどんどん!!

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by ulgoods | 2009-04-21 11:33 | 山行
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